ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

歴史は人間ドラマ

2011年07月21日 | 歴史関連

自分で付けておき乍ら、今回の「歴史は人間ドラマ」というタイトルには汗顔の思いが在る。余りにも使い古された、陳腐と言っても良い表現だから。でも、そう思わずにはいられない程、歴史は人間ドラマで溢れ返っているのも事実なのだ。

 

何度も書いている事だが、歴史というのは概して「勝者」の立場から記されているもの。勝者にとって不都合な事実は脇に追い遣られ、「敗者」を殊更悪く記すというのは決して珍しい事では無い。「勝者にとって不都合な事実は脇に追い遣られ」と書いたけれど、時には「其の不都合な事実が、存在していなかった。」事にされてしまったケースだって少なくないのではないか。其の事を良しとしない人間が密かに書き残していた事で、闇に葬られようとしていた事実が明らかとなり、歴史に修正が加えられる事も。

 

「勝者」や「敗者」という視点に限らずとも、歴史上の出来事を別の人間の視点で捉えると、又違った物が見えて来るという事も多い。様々な捉え方が出来るからこそ、歴史は面白いのだ。

 

“学芸会的な乗り”がどうにも好きになれないのが、現在放送中の大河ドラマ江~姫たちの戦国~」(動画)。此のドラマは「茶々(後の淀殿)」、「初(後の常高院)」、そして「江(後の崇源院)」という3姉妹を主人公に据えている。実際にドラマを見ておられる方、又は歴史好きの方ならば「何を今更。」と思われる事だろうが、其れ以外の方々のにザックリと彼女達の“立ち位置”を説明させて貰う。

 

彼女達の伯父織田信長、母は信長の妹・お市の方、そして父は北近江の戦国大名・浅井長政。茶々が長女で、初は次女、そして江は三女。当初は信長と同盟を結んでいたが、後に長政は其れを破棄して信長と戦う事になるのだが、結局は3年後に信長に敗れて自害に追い込まれてしまう。お市の方と3姉妹は落城前に信長の家臣によって救出され、信長のに引き取られる。詰まりお市の方や3姉妹にとって信長は兄や伯父の関係に在るのだけれど、同時に夫で在り父でも在る長政を殺した憎き相手でも在った訳だ。

 

そして信長の死後、お市の方は信長の家臣・柴田勝家と再婚するのだけれど、其の勝家が矢張り信長の家臣だった羽柴秀吉(後の豊臣秀吉)と戦い、敗戦を喫した事で勝家と共に自害。、3姉妹に関しては落城前に秀吉の手の者によって救出され、以降は秀吉の下で暮らす事に。3姉妹は又しても“親”を殺した相手の保護を受ける事になった訳だが、其の後茶々は親ので在る秀吉の側室になるのだから、何とも皮肉な運命。

 

3姉妹を巡る皮肉な運命は、此れで終わらない。2度の結婚が共に哀しい結末を迎えてしまった江は、後に2代将軍となる徳川秀忠と3度目の結婚をする。秀吉亡き後、天下を握ろうとする徳川家康豊臣家と戦う事になるのだが、「徳川側には3女の江」、そして「豊臣側には長女の茶々」が居る訳で、結果として姉妹が敵と味方に分かれてしまった訳だ。

 

若狭小浜藩主・京極高次嫁いでいた次女の初は姉妹の命を救うべく、2人の間を行き来して交渉に当たるも、戦いに敗れ去った豊臣家と共に茶々も命を落とす。此れ程過酷な人生を送った3姉妹というのは、中々居ないだろう。

 

ザックリと説明する積りが、やや冗長な記述となってしまった。話を元に戻すと、「江~姫たちの戦国」は3姉妹を主人公に据えている事から、当たり前だけれど彼女達にスポットライトが当てられている。故に此のドラマだけでしか3姉妹の事を知らない人からすると、「長政には3人の娘しか居ない。」というイメージが出来上がっているかもしれない。(記憶違いで無ければ、ドラマの中で“他の兄弟達”に関して触れられていなかったと思うので。)実は長政には、他にも子供が居るのだ。

 

此方詳細が記されているが、お市の方は「正室」では無く「継室」という位置付けで、正室は平井定武の娘という事になっている。長政と平井定武の娘との間には、長男「万福丸」と次男「万寿丸」という2人の息子が。(「2人共、お市の方との間の子供。」という説“も”在る。)又、側室に八重の方というのが居り、彼女と長政の間には「長明」という息子も。(他にも詳細が判らない息子や、「浅井井頼」なる養子が居たそうだ。)

 

娘に関しても3姉妹以外に、「くす」と「刑部卿局」等が居るけれど、彼女達は庶子(非嫡出子)という立場なのだとか。

 

万福丸は長政の家臣団と共に城から落ち延びるも、信長の探索により捕縛。10歳の幼子だったが、「生かしておいては、後の災いとなる。」と判断した信長の命により、秀吉の手で惨殺されたと言われている。万寿丸や長明は生き延びたそうだが。

 

興味深いのは、くすと刑部卿局という2人の娘。長政には後世になって「京極マリア」と呼ばれる事になる姉が居るのだが、マリアの娘の1人が「京極竜子」といい、夫「元明」を殺した秀吉の側室になるという皮肉な人生を送った女性だ。で、くすは従姉妹で在る竜子の侍女(姥)になったという記録が残っている。又、刑部卿局は家康の孫・千姫乳母になっている。信長の“部下”で在った秀吉と家康にとって、浅井長政は主君の仇な訳だが、其の主君の仇の娘を其れ其れ身近に置いたという事になるのだから、何とも面白い。

 

長政の裏切りを知った信長は、長政の母「小野殿」を捕えて処刑している。知る人ぞ知る話だけれど、「10本の手の指を数日間掛けて切り落として行き、死に到らしめた。」という残酷さだったとか。信頼していた長政に裏切られ、「可愛さ余って憎さが百倍」という事で、其の憤怒矛先が長政の母に向かったのかもしれない。


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