ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

押し隠して来た思い

2018年01月18日 | TV番組関連

1995年に発生した阪神・淡路大震災から23年目を迎えたという事で、昨夜、NHKNHKスペシャルは「遺児たちのいま 阪神・淡路大震災23年」というタイトルで、“3人の遺児の今”を取り上げていた。

 

犠牲者6,434人を出した未曾有の大震災により、400人以上の子供が親を亡くしたと言う。現在34歳の男性・A氏は、当時11歳。母と妹を亡くし、7つ下の双子の弟と共に助かった。離婚していた父は「双子の弟を引き取りたい。」と申し出たが、家族を2人亡くしたA氏は「此れ以上、家族を失いたくない。」と猛反対し、結局、彼等3人は五島列島在住の祖父母に引き取られる事に。

 

母と妹を亡くし、自分自身も辛い中、「弟達には、辛い思いをさせたく無い。」と、必死で彼等を見守って来たA氏。高校時代、担任から内の国立大学への進学を勧められるも、「で、弟達を見守りたい。」という理由から、地元の公務員になる道を選択。

 

そして、“今”はA氏も双子の弟達も皆、立派に独立。「『見守らなければ。』という役割は、何とか果たせたと思う。」と爽やかに語るA氏、そして立派に育ってくれた孫3人を見て涙を流す祖母の姿が、とても印象的だった。

 

大震災の時には0歳だった男性・B氏は、両親と姉を失った。祖父母に引き取られた彼はずっと、「亡くなった家族の分も、立派に生きなければ行けない。」という思いを持ち続けていたが、其の思いが強過ぎて自分を追い込んでしまい、高校卒業後に通っていた専門学校を辞め、引き籠り生活を続けていた。「自分では無く姉が生き残っていた方が、有意義だったのではないか。」等、「『立派に生きなければならない。』という思いと、『思う様に生きられない現実』とのギャップ。」に懊悩する日々。

 

然し、両親達が亡くなった場所等を訪れた事により、自分の中で心の整理が出来た様だ。引き籠り生活から抜け出そうとしている姿にホッとさせられた。

 

そして、一番印象に残ったのは、12歳の時に両親を失い、妹共に生き残った女性・Cさんだ。“川の字に寝る”様な仲の良い家族だったが、Cさんの人生を大きく変えたのは、大震災の前日の出来事だった。父親が子供用に購入した二段ベッドが届き、其の夜から姉妹は両親と別に寝る様になったと言う。翌日の早朝、大きな揺れで家は倒壊し、両親は倒れて来たタンスに押し潰され亡くなった。二段ベッドで寝ていたCさんと妹は、無事救出される。

 

「死んで、両親の所に行きたいと思っていました。」と打ち明けるCさん。遺児達の姿をずっと追い続けていたNHKスペシャルでは、2007年、当時24歳となっていたCさんの姿をカメラに収めていた。結婚した彼女が、最初の子供を産む場面。部屋の外からカメラを回し、中からの声が聞こえていた。無事出産が終わった直後、室内から聞こえて来たのは「パパとママに会いたい!!」と大声で、何度も泣き叫ぶCさんの声。

 

『周りに心配させてはいけない。』と押し隠して来た思いが、自分が“親”になった事で、もう隠し切れなくなった。、そんなCさんの思いが伝わって来る、とても辛い場面で在った。大震災から12年が経ち、“大人”になった状況でも、抱え続けているトラウマ

 

そして、大震災から23年が経った今、Cさんは離婚し、2人の子供を育てるシングル・マザーに。必死になって子供達を育て、子供達も逞しく育っている。大震災で負った心の傷を子供達には見せない様にしているCさんだが、抱えて来たトラウマは、今も消えていない様に感じられた。自分の経験からも「幼くして親を失うという経験は、ずっとトラウマとなって残る物。」で在り、Cさんの事はとても理解出来る。

 

阪神・淡路大震災発生から23年経ったが、心の傷が癒やされない被災者は、今も数多く存在しているのだ。


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2 コメント

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>隆様 (giants-55)
2018-01-19 00:58:22
書き込み有難う御座いました。今回は、此方にレスを付けさせて貰います。

「加害者捜しが出来ない。」というのは、確かに精神的な辛さを増させる一要因だと思います。自分の場合で言えば、乳は病気で急死したのですが、残された家族は「何故、病気に気付かなかったのだろうか?早く気付いていたら、死ぬ事は無かったのではないか?」と責めた部分が正直在りますし、そういう思いはウン十年経った今でも完全払拭出来ていませんし。

不条理な形で片親を亡くすだけでも辛いのに、両親共にとなると、其の辛さは想像を絶する事でしょうね。
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Unknown ()
2018-01-18 21:00:38
家族に対する愛情があるからこそ、人に話せない事を秘密にするのか、家族だけにしか打ち明けられない事があったとしても、いつかは、みんなに知らせたくなるのでしょうね。

震災は、突如とした別れを強いられることで、自然が相手ゆえに、誰も責められない。そうした、加害者探しが出来ないからこそ、誰にも話せない、自分の被害者としての立場を分かってもらえないのではないか、という恐れと悲しみと、孤独に苛まれた、長い我慢の時があった、と思います。

話せるようになるとは、人との関係や生活の環境が好転したから、でもあるのでしょう。良かったのではないでしょうか。
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