「“時間に対して堪え性が無い人”や“タイム・パフォーマンス(タイパ)を過度に重視する人”が、若者を中心に増えている。」という指摘を、良く見聞する。「確かにそうだなあ。」と思う。
以前書いた事だけれど、「“倍速視聴”する人が増えている。」というのもそうだろう。録画したTV番組やレンタルしたDVD、動画サイトのコンテンツ等を倍速で視聴するというのは、自分自身も結構行っている。勿論、全てそういう見方をしている訳では無く、“間”を堪能したい作品は、其の儘見ている。要は「倍速で見ても構わないと判断する物を、倍速で見ているので在って、其の根底には『速く見終えた分、他の事に時間を有効活用したい。』というタイパの思いが在る。」のだ。
所謂“喜劇”が、今は受けないとも聞く。「喜」、「怒」、「哀」、「楽」という感情を盛り込んだ喜劇は、其の絶妙なバランスが在るからこそ、見ている側の心を大きく揺さぶる。「怒」や「哀」、「楽」という場面を挟んでいるからこそ、爆発的に「喜」の感情が発生すると言っても良い。でも、そんな仕組みだからこそ、喜劇を見るのには其れなりの時間を要する。其れなりの時間が堪えられない人が増え、喜劇は衰退し、極めて短い時間で笑わしてくれる“一発芸的な笑い”が幅を利かせる様になった。喜劇好きとしては、とても寂しい話だ。
又、「歌の“イントロ”が苦手な人が増えた。」とも聞く。正確に言えば、「長いイントロが苦手。」という事の様で、昔のヒット曲では在り得ない程にイントロが短かったり、場合によってはイントロが無い様な歌も最近は在ったりするそうだ。以前、TV番組で「若い人達に“昭和のヒット曲”を聞かせて、其の反応を見る。」という企画を遣っていた。多くの若い子が「イントロが長過ぎる。こんなの在り得ない。」といった発言を口にしていたが、自分が非常にショックだったのは「吉幾三氏の名曲『雪國』【動画】を聞いた10代の男子が、『此のイントロを聞いていると、とても気持ち悪くなる。』と言っていた事。」だった。彼の長いイントロが在ってこその名曲だと思うのだが・・・。
「子供の頃より親しんで来たロングセラーの御菓子が、売り上げ低迷により製造中止となった。」というニュースに、此処数年、何度か触れている。其の度に「寂しいなあ。」と感じるのだが、数日前には「明治『チェルシー』の出荷が、月内で終了する。」という発表が在り、「彼のチェルシーがかあ・・・。」と驚きと同時に、一抹の寂しさを感じた。
3月9日付け東京新聞(朝刊)の記事「中年層『思い出』飴 試練の時代 ~チェルシーが消える・・・~」によると、53年の歴史を有する飴「チェルシー」は2月末の時点で既に製造を終えており、店頭から在庫が無くなり次第、販売中止となるそうだ。
チェルシーは「丸っ切り新しいキャンディー」を求めた明治が、イギリス北部スコットランドの伝統的なバタースコッチ・キャンディーをヒントに開発した物。濃厚なバター風味が特徴で、1971年に発売開始となったが、「練り合わせた原料を、其の儘型に流し込む手法で滑らかな味わいを実現したチェルシー。」は、当時の日本では珍しい存在だったと言う。因みに、商品名はロンドンの地名から取られた物とか。
小林亜星氏が作曲した歌をバックに、金髪の少女が「貴方にも、チェルシー、上げたい。」と口にするCM【動画】は当時大流行し、自分の世代で知らない人は居ない事だろう。遠足の御菓子として持って行ったし、昔は良く食べたっけ。
明治の広報は販売終了の理由に付いて、「市場環境や顧客のニーズの変化で、売り上げが低迷し、此れ以上の継続は難しかった。苦渋の決断だった。」と説明している。何でも「チェルシー等の飴の市場は、縮小傾向に在る。飴の中でも喉飴は堅調だが、其れ以外の2020年の国内販売額は357億円(推計)となっており、約20年で約4割減少している。」とか。業界では特に“若者の飴離れ”が指摘されており、「15歳~29歳の若年層で、1年に1度でも飴を買った人の割合。」は、2023年の調査で3割弱と、10年間で2割強も減った。
市場アナリストの木地利光氏によると、「飴は消費するのに時間が掛かる。タイパを重視する若者は、長時間掛けて何かを楽しむより、其の瞬間、瞬間で物事を楽しむ嗜好が在り、飴は敬遠されている。」と分析。
飴に代わって伸びでいるのが、食感も楽しめ、短時間に食べ終わるグミ。元記事には東京都世田谷区の高校1年女子の発言も紹介されており、「同じ味を食べ続けるのは飽きるし、学校の休憩時間に食べ終われない。チェルシーも好きだけど、グミの方が良い。」と。「飴だと、学校の休憩時間に食べ終われない。」というのは、何か判る気がする。
兎にも角にも、若者を中心にして飴離れが進んでいる背景には、「時間に対して堪え性が無かったり、タイパを過度に重視する風潮。」が在る様だ。
明治はチェルシーを最後に、商品ラインアップから飴が消え、今後はグミや主力のチョコレートへのシフトを強めると言う。
タイムパフォーマンスとの関連で「喜劇が廃れ一発芸がもてはやされるようになった」という指摘に、なるほどなと思った次第。
また歌謡曲のイントロが短くなり続けている現象にも、タイパが関わっていることに「せっかちな世相」を感じてしまいます。
歌謡曲のイントロといえば私が真っ先に思い浮かべるのが「丘を越えて」https://www.bing.com/videos/riverview/relatedvideo?&q=%e4%b8%98%e3%82%92%e8%b6%8a%e3%81%88%e3%81%a6&&mid=5EB655BC3F89F2DD158C5EB655BC3F89F2DD158C&&FORM=VRDGAR
年齢を詐称しているのかと疑われそうですが、私の中では歌謡曲のイントロといえば、これが一番です(笑)。
映画やドラマのビデオで早送りして見るという事はまずないですね。
早送りしてみるぐらいつまらない(退屈)な内容なら、途中で見るのを放棄してしまう方なので(苦笑)。
それよりも困るのが最近のテレビ地上波放送のCMの多さと長さ。
昔はCMの間にトイレに行くと言われたものですが、最近ではCMの合間に本放送が挟まっているといえるほど。
どうしても見たいドラマや特集などは録画しておいて、後でCM飛ばしで見るのが正解かなと思っています。
これもタイパといえばそうなのかも(笑)。
古賀メロディーには名曲が多いですが、「丘を越えて」も良いですよね。藤山一郎氏の澄み切った歌声が、実に良くマッチしています。
良く言えば“知識欲旺盛”、悪く言えば「病的に情報に触れたがる。」という所が自分には在り、そんなに重要そうでは無いTVドラマ等でも、取り敢えず録画して、早送りして視聴するという所が在ります。
又、TVドラマを主に、殆ど録画してから見るのは、CMをスキップしたいから。見るに値するCMも在りますが、そうでは無い物が多いので。