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「亀は人類救う? 海水温予測“甲”上 計器着けデータ収集、成果」(12月19日付け東京新聞[朝刊])
「海亀に温度計を着けて海水温のデータを集め、3ヶ月後の水温変化を高精度で予測する。」事に成功したと、東京大や海洋研究開発機構のチームが発表した。南米沖の水温が上がるエルニーニョ現象が日本に冷夏を齎す様に、海の変化は気候に影響を及ぼす。動物の助けを借りた観測が進めば、異常気象への備えに役立つかも知れない。
従来は海の表面を見る人工衛星と、深い海で2,000m迄自動で潜る装置を使って水温を測り、変化を予測していた。だが、浅い海では装置が底にぶつかる危険が在って使えず、他に継続して水温を測る手段も無い為、データが不足し、予測の精度が低かった。
チームはインドネシアの海岸で、産卵に訪れたヒメウミガメ5匹に、水深と温度を測る機器を着けて放流。餌を取る為、100m以上も潜水を繰り返すのを利用し、オーストラリアやニューギニア島に囲まれたアラフラ海の海中の水温データを3ヶ月分、取得した。
此のデータを基に、アラフラ海の3ヶ月後の温度を計算すると、平年より0.4度高いとの予測になり、衛星で測った実際の値と略一致。一方、海亀のデータを使わないと、0.2度低いという不正確な予測になった。
寒い南極の海では海亀に頼れない為、代わりに海豹に測って貰う試みも始まっている。
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「蝸牛の殻をヒントに、汚れない壁を作り出した。」、「蜻蛉の羽をヒントに、効率の良い風力発電機の開発を目指している。」、「家守の足をヒントに、強烈な粘着テープを作り出した。」、「蚊の“針”をヒントに、痛くない注射針を作り出した。」等々、生き物の生態をヒントにして作り出された(又は開発中の)物は結構在るが、今回の場合は、「他の生き物を利用して、海水温変化の予測精度をアップさせる。」との事。多くの人間は「自分達こそが、全ての生き物の中で最も優れている。」と勘違いしているけれど、他の生き物達から学んだり、頼ったりしなければいけない事は、結構在ると思う。