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張作霖爆殺事件: 1928年6月4日、関東軍によって奉天軍閥の指導者・張作霖の乗る列車が爆破され、張作霖が暗殺された事件で、別名「奉天事件」とも言う。此の事件は後の「満州事変」を生む1つの要因となり、延いては泥沼の「十五年戦争」へと日本を突き進ませてしまう事に。
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浅田次郎氏の小説「マンチュリアン・リポート」は「昭和天皇の命によって満州国に飛び、『張作霖爆殺事件』の“真実”を調査する事になった陸軍中尉・志津邦陽(しづ・くにあき)。」と、「嘗ては西太后の御料車として用いられ、張作霖と共に爆破される事となった『龍鳳号(ドラゴン・フェニックス)』。」という2つの視点からストーリーは進められて行く。擬人化された列車の視点というのもユニークだが、「『天皇は人間では無く、神で在る。』と崇め奉っていた此の時代に、『天皇は人間で在る。』とした上で、治安維持法の改悪に対する意見書を軍隊内に配布し、其の事で『怪文書配布した罪』に問われ、陸軍刑務所に収監されている志津中尉を、昭和天皇が直々に呼び出して『張作霖爆殺事件』の調査を命じる。」という設定も、虚構とは言え、非常にユニークで在る。因みに「マンチュリアン」とは英語で「満州国の」という意味で、タイトルの「マンチュリアン・リポート」は志津中尉が昭和天皇に送った「満州報告書」を指している。
歴史好きの自分だが、特に「昭和初期から戦後に掛けての時代」が好き。だから「張作霖爆殺事件」も非常に興味がそそられる一件で、浅田氏がどういう新説を提示してくれるのか楽しみにしていたのだが、正直言って目新しい話は皆無だった。新説提示というのでは無く、此の事件に関与した人々の「人間臭さ」を描きたかったのかもしれないが、そういった面でも中途半端な気が。
又、列車を擬人化してストーリーを語らせるというのも、テーマがテーマだけに“軽さ”を感じてしまい、しっくり来る物が無かった。人間の視点だけでストーリーを進めた方が、少なくとも此の小説に関してはベターだったのではないか?
あらゆる面で中途半端さを感じてしまった此の小説、総合評価は星2つとする。
張作霖爆殺事件: 1928年6月4日、関東軍によって奉天軍閥の指導者・張作霖の乗る列車が爆破され、張作霖が暗殺された事件で、別名「奉天事件」とも言う。此の事件は後の「満州事変」を生む1つの要因となり、延いては泥沼の「十五年戦争」へと日本を突き進ませてしまう事に。
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浅田次郎氏の小説「マンチュリアン・リポート」は「昭和天皇の命によって満州国に飛び、『張作霖爆殺事件』の“真実”を調査する事になった陸軍中尉・志津邦陽(しづ・くにあき)。」と、「嘗ては西太后の御料車として用いられ、張作霖と共に爆破される事となった『龍鳳号(ドラゴン・フェニックス)』。」という2つの視点からストーリーは進められて行く。擬人化された列車の視点というのもユニークだが、「『天皇は人間では無く、神で在る。』と崇め奉っていた此の時代に、『天皇は人間で在る。』とした上で、治安維持法の改悪に対する意見書を軍隊内に配布し、其の事で『怪文書配布した罪』に問われ、陸軍刑務所に収監されている志津中尉を、昭和天皇が直々に呼び出して『張作霖爆殺事件』の調査を命じる。」という設定も、虚構とは言え、非常にユニークで在る。因みに「マンチュリアン」とは英語で「満州国の」という意味で、タイトルの「マンチュリアン・リポート」は志津中尉が昭和天皇に送った「満州報告書」を指している。
歴史好きの自分だが、特に「昭和初期から戦後に掛けての時代」が好き。だから「張作霖爆殺事件」も非常に興味がそそられる一件で、浅田氏がどういう新説を提示してくれるのか楽しみにしていたのだが、正直言って目新しい話は皆無だった。新説提示というのでは無く、此の事件に関与した人々の「人間臭さ」を描きたかったのかもしれないが、そういった面でも中途半端な気が。
又、列車を擬人化してストーリーを語らせるというのも、テーマがテーマだけに“軽さ”を感じてしまい、しっくり来る物が無かった。人間の視点だけでストーリーを進めた方が、少なくとも此の小説に関してはベターだったのではないか?
あらゆる面で中途半端さを感じてしまった此の小説、総合評価は星2つとする。