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聖女伝説が伝わる地方で結婚式中に発生した、毒殺事件。其れは、同じ盃を回し飲みした8人の内3人(+犬)だけが殺害されるという不可解な物だった。
参列した中国人美女の姚扶琳(ヤオ フーリン)と、才気煥発な少年探偵・八ツ星聯(やつほし れん)は事件の捜査に乗り出す。数多の推理と論理的否定の果て、突然、真犯人の名乗りが!?
青髪の探偵・上苙丞(うえおろ じょう)は、進化した「奇蹟の実在」を証明出来るのか?
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「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」では10位、そして「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」では1位を獲得した小説「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」。
著者の井上真偽さんは、2014年に「恋と禁忌の述語論理(プレディケット)」で第51回メフィスト賞を受賞し、文壇デビューを果たす。デビュー第2作の「その可能性はすでに考えた」がミステリー関連の年間ブック・ランキングの上位に軒並み入り、今回読了した「聖女の毒杯 その可能性はすでに考えた」は「その可能性はすでに考えたシリーズ」の第2弾に当たる。
横溝正史の作品を思わせる設定、オリジナリティーの高いキャラクター達、「善くもまあ、こんなに細かい設定が出来た物だ。」と感心してしまう謎解き等、本格ミステリー好きには堪らない作品だろう。「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」で1位に輝いたのも頷ける。
だが、其の一方で、“推理の検証”が微に入り細を穿つ所が在り、自分の様な大雑把な人間には、何度か読み直さないと、頭が整理出来なかった。「2017本格ミステリ・ベスト10【国内編】」では1位になるも、「2016週刊文春ミステリーベスト10【国内編】」では10位、そして「このミステリーがすごい!2017年版【国内編】」では10位内に入らなかった事も、“一般的なミステリー・ファン”には其れ程評価されなかった証左だろう。
又、言い回しがくどくどしかったり、現実的とは思えない設定(幾ら天才少年という設定とはいえ、小学生と思われる八ツ星聯の言動が余りにも大人過ぎる等。)が在ったりする等の面が、読み進めるのを何度かストップさせた。
好き嫌いがはっきり分かれるタイプの作風だと思う。小難しい事が苦手な方には御勧め出来ない。
総合評価は星3つ。