ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「Nのために」

2010年03月23日 | 書籍関連
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「N」と出逢う時、悲劇は起こる・・・。

大学1年生の秋、杉下希美は運命的な出逢いをする。台風による床上浸水が切っ掛けで、同じアパートの安藤望及び西崎真人と親しくなったのだ。努力家の安藤と、小説家志望の西崎。それぞれにトラウマ屈折が在り、夢を抱く3人は、やがて或る計画に手を染めた。全ては「N」のに。

タワーマンション内の殺人事件は、何故起こってしまったのか?
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2年前に刊行された処女作告白」が大絶賛博し一躍人気作家の仲間入りを果たし湊かなえさん。それ以降「少女」に「贖罪」と、刊行された彼女の作品を読破して来た。処女作の「告白」では彼女の持つ非凡な才能を感じるも、総合評価では「星3.5個」と「中の上レベル」の評価を下した自分。「少女」及び「贖罪」に対しては「星3個」としたのは、「真実がモノローグ形式で解き明かされて行く。」というスタイルも含めて、「告白」の焼き直しの様に感じてしまった事も大きい。今回手に取った第4作「Nのために」は、果たして「告白」を超えられるかどうか楽しみだったのだが・・・。

この小説に登場する主要な人物は、全て苗字か名前のイニシャルが「N」となっている。或るタワーマンションで発生した殺人事件で、当初は「無関係」、乃至は「それ程関係が深くない」と思われていた人々が、徐々に「関係の深さ」をにして行く。「或る『N』が、或る『N』の為に犠牲となっている。」という展開も含め、それはそれで面白い。

唯、相変わらずのモノローグ形式に加え、これの湊作品にも見られた「御都合主義」がこの作品にも散見されて、鼻白んでしまったのも事実。「登場人物の1人が、シャーペンによるノック音の回数で表現していた事。」にはグッとさせられる等、彼女が素晴らしい才能を有しているのを認めているだけに、もっと内容面でを無くして欲しいし、文体も含めたスタイル・チェンジを恐れないで貰いたい。それ無くしては、「告白」を超える作品は生み出せないだろう。

厳しいかもしれないけれど、総合評価は星2.5個とする。

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