安倍晋三首相が辞任する意向を表明した事で、“次の首相選び”が加速化しているが、「憎き石破茂だけは、首相にさせてはならない!」という安倍首相&麻生太郎財務大臣の強い意向を忖度してか、露骨な“石破潰し”が出て来ている。と同時に、「安倍首相にとって不都合な事は、全て闇から闇に葬ってくれるだろう。」という期待も在るのだろうが、菅義偉官房長官の名前が最有力候補として急浮上して来た。
2日前の記事「“次の首相”に望む事」の中で書いた様に、次の首相候補として名前が挙がっている中で言えば、石破茂氏が一番良いと考えている。一方、最有力候補となった菅官房長官に関しては、「冗談だろ。」という思いしか無い。“余りにも異常な安倍政権”を中枢で支えて来た1人が菅官房長官で在り、そんな人間が次の首相になるなんて悪い冗談としか思えない。
又、彼が官房長官として記者から厳しい質問を受けた際、無表情で良く口にしていたのが「問題在りません。」、「大丈夫です。」といった全く根拠を示さない“質問打ち切りフレーズ”。「何故問題無いのか?」や「何故大丈夫と判断するのか?」をきちんと説明するのが官房長官の役割だと思うのだけれど、此のフレーズを口にする事で質問を終えさせてしまう。其れを許してしまう記者も記者だが(実際には、更に質問を続けたり、反論したりする記者も少数だが存在する。でも、そういう記者に対して同じ記者の間から「そんな事をすると官房長官の気分を害し、情報が下りて来なくなるから止めろ!」という声が上がるそうだ。日本記者クラブの弊害の1つだが、此の問題に関しては日を改めて書きたいと思う。)、「自分にとって不都合な質問でも、誠実に答える石破氏。」とは全く異なる、政治家として実に不誠実な菅官房長官が次の首相というのは、新たな悪夢だ。
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「ラサール石井の炎上余波東国原英夫が金子恵美に『元国会議員として余りに稚拙。』」(8月30日、東京スポーツ)
元宮崎県知事でタレントの東国原英夫(62歳)が30日、ツイッターを更新。同日「サンデージャポン」(TBS系)に出演した元衆院議員でタレントの金子恵美(42歳)が、タレントのラサール石井(64歳)に対して行った発言に反論した。
28日に安倍首相が辞意を表明した直後に、ラサールは「望んでいた事だが、全く喜びも感慨も無い。何とも言えぬ脱力感。記者会見は温く、丸で 番記者と総理の御別れ会の様。3年B組金八先生か。」等とツイート。此の発言にネット上では「敬意を欠いている。」、「何様なんだ。」等と批判するコメントが数多く寄せられ、炎上する事態になっていた。
東国原は金子がラサールに対して「選挙に出て、総理になってから言って貰いたい。」と発言したとする記事をツイートした上で、「国民・有権者は、総理を経験しないと、政治や政権への意見・批判をしてはいけないのだろうか。」と指摘。続けて「元国会議員として、余りに稚拙で無思考な反論・批判。」とバッサリ。
東国原は「僕は、ラサール氏の意見や考えに必ずしも賛成では無いが、『総理になってから言え。』とは全く思わない。」と自身の見解を述べた。
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ラサール石井氏に関しては、別に好きでも嫌いでも無い。彼がして来た発言に付いては、「其の通りだな。」と納得出来る物も在れば、「其れは違うよ。」という物も。そして、金子恵美さん及び夫の宮崎謙介氏(共に元国会議員。)に関しては、議員を辞めて以降の発言に「結構、正論を言えるんだな。」と見直したりもしていた。
で、今回の件だが、ラサール石井氏のツイートに対し「敬意を欠いている。」とか、「何様なんだ。」等と批判している連中が理解出来ない。「敬意とは、敬意を持つに値する人に対して表す感情。」で在る。「具体的な成果を上げる事無く、して来たのは公私混同の限りを尽くし、我々が大事にして来た道徳心や規範意識を徹底的に破壊し、愛する日本を傾けさせて来た人間。」に対して、何故敬意を持たなければならないのか?「位が上の人間に対しては、無条件で敬意を持ち、どんな事にも服従すべき。」とでも考えているならば、そんな人間は“位が上の人間”から不条理に自身の財産を奪い取られたり、ぼこぼこに殴り倒されたとしても、「有難う御座います!」と笑顔で敬意を示すのだろう。そんな訳の判らない連中ならば、其れこそ「何様?」と思ってしまう。
ラサール石井氏の今回のツイートに関しては、自分も全く同じ思いを持っていたので、批判される意味が理解出来ない。金子さんの指摘に関しては、東国原氏の主張と全く同感。
安倍政権になって以降、「医師に批判するなら、自分が医師になってから言え!」、「政治家でも無いのに、政治家に対して意見するなって生意気!」といった、「〇〇〇で無ければ、物を言ってはならない!」という批判を目にする機会が、非常に多くなった。麻生太郎財務大臣もこういった感じの主張を好んでするが、要するに「不都合な事を指摘する相手を、不条理に黙らせる目的でのフレーズ。」で在る。
こんな主張が「正しい。」となるならば、「『アドルフ・ヒトラー総統が御前達を虐殺しても、一切抵抗してはならない。抵抗したいなら、自分が総統になってからしろ。』と言われたら、『はい、其の通りです。』と無抵抗で虐殺されるのが正しい。」という事になってしまう。こんな馬鹿な話は無いだろう。
相手の主張が明らかに間違いで在るならば、具体的に誤っているポイントを指摘し、納得させれば良い。「〇〇〇で無ければ、物を言ってはならない!」なんていうのは実に幼稚で、言語道断な物言いで在る。
かようなことをいえば、この世に評論家はいません。
文芸評論家に「小説かいてからいえ」とか映画評論家に「映画を撮ってからいえ」とはいいませね。
凄く良い譬えですね。「経験していない人間は、一切語ってはならない。」という事で在れば、そうなりますもんね。議員を辞めてからの彼女の発言には、「其の通りだな。」と思う事も何度か在ったので、今回の“暴言”にはがっかりでした。
又、「政治家を批判するなら、自分も同じ政治家になってから言え!」といった事を言う人が居ますが、百歩譲って其れを認めるとしても、「だったら、どうしようもない馬鹿でも、世襲候補ならば当選する可能性が非常に高く、能力がとても高くても、そんな世襲候補に勝つのは難しい現状を少しでも変えてからの話だ。」と思いますね。11年前の記事「世襲議員」(https://blog.goo.ne.jp/giants-55/e/6e63ddd5166e469de0e97e748d35416e)の中でも書いたけれど、「世襲候補は政治団体を介在させる事で、親等の財産を略相続税零で相続出来る。即ち、豊富な選挙資金を得られる訳で、此の段階で非世襲候補より圧倒的な有利さを持つ。加えて親等からの圧倒的な知名度も有している。」のだから。
相続税を脱税出来ないシステムを作り、そして「〇親等以内の地盤からは、出馬出来ない。」といった縛りを作らない限り、ぼんくらな世襲議員(全てがそうだとは言わないが、殆どはそんな感じだと思う。)は今後も増殖して行く事でしょう。(金子恵美さんも、形で言えば世襲議員と言えるし。)
でも、そういう改革を世襲議員が訴える事は無い。「言うべき事をきちんと言う人物。」と勘違いされている小泉Jr.も、絶対に言わない。まあ、そんな連中を盲目的に支持してしまう有権者が、一番愚かなのだけれど。
むかし、作品をこき下ろした評論家に「小説のひとつも書いてから文句を言え」と逆切れした作家がいたとか(笑)。
芸能人が政治に口出しするなんて生意気、スポーツ選手が政治的発言をするのはおこがましい。
そんな風潮は日本だけのことではなさそうですね。
専門知識も経験も無い素人が口を出すなという事でしょう。
専門職に関し、確かにそういう一面もあるかとは思いますが、少なくとも政治に関しては誰にも政治参加の権利(参政権)はあるし、自分の生活に密着する事柄を扱っている分野なので、黙っていろというのはお門違い。
こんな基本すらわからない人間が、権力者を甘やかしていることが大問題ではないかと。
安倍首相の“応援団”の1人(知性も教養も感じられない様な野卑な表現を、自分の意見と異なる相手に対して多用する著名人。)が、安倍首相に対して疑問を呈した人に対し、「そんなに安倍首相が気に入らないなら、日本から出て行け!」と言い放っていました。日本人としての義務(納税や勤労等)をきちんと負っている以上、どんな事を主張しても自由だし、「日本から出て行け!」なんて言われる筋合いは無い。「一体、何様なのか?」と呆れ返ってしまいましたが、極左や極右といった“余りにも極端な思想の人”には、こういう頭の螺子が外れた様な連中が多いですね。
専門的な分野に対し、門外漢が口を出すと、頓珍漢な話になってしまうというのは在るでしょうね。でも、だからと言って、「門外漢は、口を出すべからず!」というのも違う。門外漢だからこそ、専門職の人間が気付かないアイデアの糸口を提示してくれるかも知れないし、何よりも「相手が明らかに間違っている事を主張したら、専門職として“具体的な理由”を提示し、教え示す。」というのが真面な在り様。
安倍首相辞任表明で理解出来なかった事の1つに、「体調不良の状態では、首相として誤った判断をしてしまう危険性が在り、そうなると国民に迷惑を掛けるので、首相を辞任する事にした。」という事。国会議員は続けるという事ですが、「だったら、生殺与奪権を有する国会議員なのに、そんな体調で判断を誤るのは不味いのでは?」と思ってしまう。「首相と1国会議員とでは、掛かるストレスの重さが違う。」という反論も在るだろうけれど、「判断を誤る可能性が在る程体調が良く無いので在れば、国会議員を続けるというのは有権者に失礼で在り、一旦辞職した上で、体調が戻ったら、再び国会議員として返り咲けば良い。」と思います。まあ、「どんな輩で在っても、“おらが村”の出世頭は守る!」という連中が少なく無いのが、此の国の病理で在るのですが・・・。