昨夜の「ジャイアンツvs.カープ」戦は、「3対2」でジャイアンツが勝利した。カープの先発はクリス・ジョンソン投手で、昨季のジャイアンツは彼に1つも勝てなかった。打ち崩したとは言えないものの、そんな“不沈空母”を結果的に沈めたのだから、ジャイアンツにとっては大きな勝利と言える。
2本のホームランを食らったものの、ジャイアンツの先発・田口麗斗投手は、7回を良く投げ切ったと思う。決して派手さは無いけれど、登板を重ねる度、確実に成長して行っている。非常に楽しみな選手だ。
試合の解説を務めていたのは桑田真澄氏と野村謙二郎氏だったが、精神論やどうでも良い話許りする解説者が少なく無い中、高度な技術論や選手の心理面を口にする彼等の解説は、聞いていてとても面白かった。
で、試合終了後、先発の田口投手が特設スタジオに呼ばれ、桑田氏から2つの質問を受けた。
1つは、4回表にブラッド・エルドレッド選手に打たれたホームランに付いて。「彼のホームランは、どう感じましたか?」という桑田氏の質問に、「(外角の)良い所に決まったとは思ったのですが、(エルドレッド選手が)腕を伸ばし、上手く打たれてしまいました。」と答えた田口投手。すると桑田氏は、「そうですね。良い所に放ったと、僕も思います。でも、『上手く打たれた。』で終わってしまったら駄目ですよ。プロの選手は、ああいうコースでも打ってしまう。だから、次回はもっと打たれないコースに投げて下さいね。」とアドヴァイス。
そして、「もう1つ、質問しても良いですか?」と断った上、「何で完投しなかったんですか?」と問うた桑田氏。7回を投げ切った時点で、試合は「2対2」の同点。5回以降は失点しておらず、田口投手は未だ未だ投げられそうでは在ったが、7回裏のジャイアンツの攻撃時、2死走者無しで打順が回って来た事で、田口投手に代打が送られてしまったのだ。
「もう目一杯。」と首脳陣が判断し、代打を送ったのだろう。其れを判っているからこそ、桑田氏が質問した瞬間、スタジオ内は「そんな質問するの?」という戸惑いが在り、そしてドッと笑いが沸いた。田口投手も一瞬苦笑いを浮かべていたし、見ていた自分も笑ってしまった。
「首脳陣が変えるという判断をしたのだろうけれど、田口君としては、彼以上投げるのは無理でしたか?肩とか肘とかに、(投げ続ける事での)問題が在りましたか?」と問う桑田氏に、「未だ未だ投げられたと思います。肩や肘は、全く問題在りませんでした。でも、村田(真一)ヘッド・コーチから『御疲れ様。』と言われてしまって・・・。」と返した田口投手。
「此の前のタイガース戦で、田口君はプロ入り初の完投をしましたが、どう感じましたか?」と続けて質問した桑田氏に、「凄く気持ち良かったです。」と田口投手は答えた所、「そうですよね。完投する事で、見えて来る物が在るんですよ。僕も若い頃、首脳陣から代えられそうになった時、『投げさせて下さい!』と直訴した事が在るんです。だから今度、若し同じ様な状況になったら、是非「投げさせて下さい!』と言って欲しいです。頑張って下さいね。」と桑田氏。「はい!」と元気に答える田口投手は、非常に良い表情だった。
2人の会話を思い出し乍ら書いた内容故、多少の違いは在るかもしれないが、趣旨としてはこんな感じ。期待しているからこそ、後輩に対して甘い言葉だけを投げ掛けるののでは無く、時には厳しいアドヴァイスもする。こういう解説者は、凄く貴重。