ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

挨拶

2010年12月01日 | 其の他
脚本家内館牧子女史が、週刊朝日連載しているコラム暖簾ひじ鉄」。11月19日号は「エレベーターの無礼者」というタイトルで、「挨拶」に付いて書いておられた。

仕事後、女友達の住むマンションに寄った内館さん。用が済んで帰る際、女友達が「1階のエントランス送る。」と言うので、2人してエレベーターに乗る事に。すると途中の階から、三十代半ばと思われる女性が乗り込んで来た。金髪の一歩手前という茶髪を肩迄波打た其の女性、非常に大きなサングラスを掛け、サングラスの奥には濃い付け睫が。此のマンションの住人らしく、内館さんの女友達は直ぐに挨拶したのだが、“巨大サングラス女”は全く返事もしなかった。乗り込む時には明らかに内館さん達と目を合わし、更には目の前で挨拶されているというのに、狭いエレベーターの中で平然と無視して、シャラッと立っていたのだとか。子供では無い、三十代半ばに見える良い年をした大人が、同じマンションに住む住人から挨拶されているのにだ。

やがてエレベーターは1階に到着してドアが開くと、巨大サングラス女は何事も無かったかの様にスタスタとロビーを歩き出した。ロビーを掃除していた人達や、マンションの管理人達が彼女を見て、「今晩は。」とか「行ってらっしゃい。」等と挨拶するも、矢張り一切無視。女友達は苦々しそうに何時もああなの。彼女の御母さんは凄く感じが良くて、挨拶だって向こうからしてくれるのに。私は彼女に出くわすに嫌な思いをする。ちゃんと挨拶出来ないなら、せめて黙礼位すれば良いのに。と語ったそうだ。

挨拶に関して、内館さんはもう1つ経験談を書かれている。

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数年前、私が東北大の大学院生として仙台にいた時のことである。仕事関係者のA氏が来仙し、彼の宿泊しているホテルで一緒に朝食をとることになった。

私がエレベーターでレストランへと昇っていると、客室階から四十代後半かという男が乗って来た。もちろん知らない人だが、目が合ったので、「おはようございます。」と言うと、男は返事をしない。無言である。チラと停止階ボタンを見て、他の階を押さないということは、やはりレストランに行くのだろう。すると次の階でA氏が乗ってきた。彼もその男と目が合ったようで、「おはようございます。」と言った。男は無視である。挨拶を返さない。すると次の瞬間、A氏は頓狂な声をあげた。あれェ!この人、挨拶できないんだァ!

男はあわてて、次の階のボタンを押すと、逃げるように降りて行った。本当はレストランに行くつもりだったのに、挨拶ができなかったがために、何の意味もない客室階に逃げざるを得なかったわけである。しかし、あわてて逃げたということは、挨拶をしないことはよくないのだとわかってはいるのだろう。


結局、男はレストランのモーニングタイムが終わるまで、姿を現さなかった。A氏と鉢合わせするのがイヤだったに違いない。男は挨拶ができなかったがために、朝ごはんを食べそこねたのである。全然気の毒ではないけどね。
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想像すると、思わず笑ってしまう光景だ。男が果たして現れるかどうかを確認する為に、ずっとモーニング・タイムが終わる迄レストランに続けた“のだとしたら”、内館さん達も中々意地が悪い。「あれェ!この人、挨拶できないんだァ!」というA氏の発言も、明らかに嫌味だろうし。

、「挨拶がまともに出来ない人間が、結構多いなあ。」とは自分も感じている。老若男女を問わず、ハッキリ言えば良い年をした大人でまともに挨拶出来ない者が目立つ。「後ろからドンとぶつかって来ても、謝罪の言葉を全く言わない。」、「席を譲ったり、エレベーターの『開』ボタンを押し続けて待って上げたのに、『有難う御座います。』の一言も言えない輩。」等々、そういった連中に出くわしても、以前程意外に感じなくなった事が残念でも在る。「挨拶って『日常生活を送る上での潤滑油』で在り、ほんの少し言葉を発した所で、別に損をする訳でもなかろうに・・・。」と思ってしまうのだが。

街中とは異なり、山歩きをしていると、きちんと挨拶を出来る人が多い様に感じる。見ず知らずの人間と出くわしても、自然と御互いに「こんにちは。」とか「天気良いですね。」等と挨拶。「人が少ない山中では相手の警戒を解くに、又は悪意を持った人間の気先挫く為に、知らぬ者同士でも意識的に挨拶を交わす。」なんていう説も在るけれど、もしかしたら人工的な街中から離れた自然の中だからこそ、すっと挨拶が出来るのかもしれない。

コラムの最後に内館さんは次の様に書いておられるが、其の通りだと思う。

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一時は「」という言葉さえ、「子供の人権」などとして忌み嫌う人たちもいたが、やはりなすべき躾は厳然となすべきだと思う。
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14 コメント

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以前の職場で (青空百景)
2010-12-01 10:08:53
当時、30代前半から半ばという年齢の女性(既婚)がぷんぷん怒っていたことがありました。
アパートの隣人に挨拶をされた、というのがその理由です。
「その人とは何も付き合いがないんだよ! それなのに挨拶してくるの! どうかしてると思わない!?」
心から相手の非常識・非礼を糾弾せずにはおかないという態度でした……。
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Unknown (3518)
2010-12-01 12:45:30
部活の中坊たちの全く見ず知らずの通りかかりの大人たちへの挨拶は大変心地よい感じのよいものであるぞ。ただし、普段から挨拶をしないから人格にまで問題があるとか思ってしまうのはどうかと。マスコミからインタビューを受けて、普段はいい人だったのにねえとか答えている人にその人の普段のどれだけのことを果たして知っているのかと。挨拶をしないだけで悪人になってしまう、挨拶していても実は悪党だったり。
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>青空百景様 (giants-55)
2010-12-01 16:48:36
書き込み有難う御座いました。今回はこちらにレスを付けさせて貰います。

付き合いが無い人からの挨拶だったので、御立腹ですか・・・うーん、人って難しいですね。其れでは山道で擦れ違った時の挨拶も、怒りの対象になってしまうし。

前に書いた話ですが、嘗ての自分の上司が非常にエキセントリックな人間で、一緒に出張した際、面食らってしまう経験をしました。出張先で彼が「ゴホゴホ。」と咳き込んでいたので、「風邪ですか?」と何の気無しに聞いた所、「誰が風邪って言った!!!」と激怒。まともな会話が成立しない人というのは以前から認識はしていたけれど、此れ以降は必要最低限の会話しかしない様にしたのは言う迄も在りません。

又、家人が経験した事柄では、サークル活動で一緒に動く事の多いグループの中に、聊か変わり者の人が居たのですが、其の人が痩せたものですから、或る人が何の気無しに「痩せて羨ましいわ。」と言った所、「失礼ね!!」と大激怒したのだとか。後から判った事ですが、彼女は其の時に健康面で不安を抱えており、「痩せた。」の一言が神経に触った様です。事情を知れば「成る程。」と理解出来なくも無いけれど、でも不健康な感じには全く見えなかったし、其れに厭味ったらしく言ったなら別ですが、言った人間は極自然に「羨ましい。」という事で口にした事を、そんな大激怒するというのも大人気無いなあと。

善意(乃至は何の気無し)で言った事ですらも、人によっては悪意に捉えてしまう。本当に難しいです。
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>3518様 (giants-55)
2010-12-01 17:08:33
初めまして。書き込み有難う御座いました。

早朝に散歩をしていると、見ず知らずの人から笑顔で「おはようございます。」と声を掛けられ、こちらも笑顔で「おはようございます。」と返してしまう。何でも無い一言ですが、其れで御互いにホンワカとした思いになれるのですから、挨拶って「社会の潤滑油」なんですよね。

言葉と言えば今、某議員が皇族に対して吐いた言葉が問題になっていますね。マスメディアが報じる様に“強い口調”で言ったのならば「失礼」(「不敬」というのは、どうもしっくり来ません。何か戦前の不気味さを感じてしまうので。)だと自分も思います。(「御座りになれば良いのに。」と言ったと当事者は言っている様ですが、此れが事実ならば問題視する様な発言では無い気が、自分はしていますが。)唯、「失礼」では在るけれど、此の発言“だけ”を取って、「土下座しろ!」とか「議員辞職しろ!」というのは行き過ぎ。そういった発言が正当視されてしまっては、(今回のケースは勿論異なりますが。)皇族に対して親しみを持っての軽い口調を使った場合でも、「不敬だ!腹を切れ!」なんて言いだす人が出兼ねない。此れは非常に怖いし、そういう過度な不寛容さが「イギリス王室に対してイギリス国民が持つ程の親しみ」を少なからずの日本人が皇室に持てなくなってしまう要因の一つではないかという気がします。

「国会の権威を損ねる、不敬な問題発言。」と言っている議員も居る様ですが、では「普段国会で飛び交っている、度を過ぎた下品な野次はどうなのか?不敬な対象で罰しなくて良いのか?」と。「愚か者め!」とか「~だって言ってんだろ!!」等、下劣極まりない発言を連発している某女性議員等は、其れこそ土下座物ではないかと。

今後とも何卒宜しく御願い致します。
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挨拶 (しずっぺ)
2010-12-01 18:25:22
今回の挨拶に関する記事には、本当に考えさせられました。特に、「知らない人から挨拶された」と怒る女性には、そんな人も、この世にはいるんだ・・、と吃驚!!!また、エレベーターに乗って来た男性の話、全く笑い話ですね!人から挨拶されて、それを無視するなんて、目茶エネルギーが必要ですよね?なんで、そんなシンドイことをするんでしょう???
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>しずっぺ様 (giants-55)
2010-12-01 19:17:55
書き込み有難う御座いました。

此の世に生まれてから少なからずの年数を過ごしており、「世の中には色んな人が居るんだなあ。」と思わされた事も少なくないのですが、それにしても「付き合いが無い人から挨拶されたのが不快。」と思う人が居るというのは、自分も驚きでした。そういう人って付き合いが無い人で在っても、挨拶が無かったら無かったで文句を言いそうな気もしますが。

挨拶をされたのに無視し続ける、其れも極めて狭い空間でというのは、仰る様に「無意味なエネルギーを相当消費する。」事だと自分も思います。「一寸頭を下げるだけでも、御互いが嫌な思いをしなくて良いのに。」と思ってしまう訳ですが、無視をする人っていうのは「少しでも挨拶を返したら、自分の存在意義が無くなってしまう。」みたいな恐れを感じているんでしょうかね。
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Unknown (クロ)
2010-12-01 21:02:44
山での挨拶といえば、必ず「こんにちは」なのが謎です。午前中にすれ違う場合でも「おはようございます」じゃないですね。なんとなく不思議には思ってますが、習慣になってるし、自分だけオハヨウと言うのも気恥ずかしくて、結局「こんにちは」と挨拶してます。

古のルーツはともかく現在は神様ではありませんが、私は皇室、特に今上陛下には「礼節を重んじる日本人」の象徴たる姿勢を感じて、お慕いしております。ハナタレの小学生でもちゃんと起立礼する日本って凄いですよね。その意味で、腹切る必要はないけど、殿下に限らず来賓や同席者への礼節を軽んじて私語を叩いた人は、言葉のニュアンスはどうであれ恥じるべきです。言い訳は不要ですよ。通常国会の野次もたいがいですけど、今回は式典ですしね。
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>クロ様 (giants-55)
2010-12-01 21:29:31
書き込み有難う御座いました。

確かに山での挨拶って、朝や夕方でも「こんにちは。」ですね。業界人が何時でも「おはようございます。」と挨拶するのと似ているのかもしれません。

以前にも何度か書いているのですが、自分は「皇室を過度に持ち上げる雰囲気」というのが好きでは在りません。「皇室其の物」が嫌いと言うのでは無く、明らかに作り上げたとしか思えない「超人伝説」(「○○様は数千種類のXXの名前や特徴を、全て即座に諳んじる事が出来る。」的な。)や「聖人伝説」の類いを此れでもかと言わんばかりに垂れ流すマスメディアの姿勢が好きではないんです。イギリス王室に対するマスメディアの報道姿勢は逆に行き過ぎだと思うけれど、其れ故にイギリス国民は王室に対して親しみを感じている面“も”在る気がして、マスメディアの過度な持ち上げ姿勢が皇室に対する一般国民の親しみを減じさせている様にも感じています。

でも、だからと言って「皇室が大好き。」という人を否定する気は全く無いし、人其々色んな思いが在って然るべきというのは言う迄も在りません。

今回はたまたま秋篠宮が対象になった訳ですが、彼に限らず当該議員の発言(「マスメディアが報じた通りで在れば」という大前提付ですが。)は失礼に当たると思うし、土下座はする必要は無いけれど、謝罪はすべきでしょうね。「こういう発言をすれば、“一般的には”どう捉えられるか?」、其れが判らない議員が与野党を問わず多過ぎます。国民の代表ならば、下らない足の引っ張り合いや野次合戦に終始するのでは無く、もっともっと実の在る議論をして欲しい。
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相手が元暴走族だったらボコられてますぜ (久保課長)
2010-12-01 23:51:48
挨拶、社会で生きていく上でホント大事ですよね。
ですが、、、2番目の例・・・
知らない人とはいえ挨拶されて無視するのはありえないと思いますけど、いくらなんでも初対面の人間に対して「この人、挨拶できないんだ!」などと言う人のほうがもっとおかしいと思うのは僕だけでしょうか?
まぁ脚色も含んでるんでしょうけど、これはちょっと違うんじゃないかなと。
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>久保課長様 (giants-55)
2010-12-02 02:32:20
書き込み有難う御座いました。

何しろ“あの”内館女史の友人ですから、突拍子の無い事をする可能性は充分在りそう。そう言いたい気持ちは判るけれど、普通の人は言わないですよね。
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