去年、「未だ続いていた事が驚き」という記事で、“リカちゃん電話”が今も存在している事を紹介した。1968年から始まったリカちゃん電話は子供に大人気で、斯く言う自分も幼少期、“ミクロマン電話”や“アイドル電話”と共に、何度か聞いた物。
そして今回、“電話を使った或る取り組み”が、34年以上続いている事を初めて知った。
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「フジパン裏面の電話番号、何故か民話が聞けます 其の意外な理由・・・2代目社長の『或る思い』」(10月29日、withnews)
フジパン(本社:名古屋市)製品のパッケージ裏面に、商品の問い合わせ窓口とは別に、複数の電話番号が記載されているのを御存知ですか?東京、大阪、福岡等、全国8都市の番号で、横には「民話が電話で聞けるヨ!」の文字が。実際に掛けてみると、確かに民話が流れて来ました。パンと民話、一体何の関係が在るのでしょうか?フジパンに聞いた所、其処には2代目社長の「或る思い」が込められていました。
電話を掛けると、「幸せな心の触れ合いを大切にするフジパンが御送りする『とんと昔あったとさ』。今週の御話は・・・。」と音声が流れて来ます。私が聞いた時は秋田県に伝わる民話で、時間は凡そ5分。8都市其れ其れの番号に掛けてみましたが、何れも同じ内容でした。
気になったので調べてみると、フジパンのホームページ内に「民話の部屋」が在りました。其処には、こう書かれています。
「『民話の部屋』は、日本各地に古くから伝わる色々な民話を、音声と文章で御楽しみ戴けます。毎週(年末年始を除く)新しい御話を追加していますので、御子さんと一緒に、御家族と御ゆっくり御過ごし下さい。」。
頁上には500話以上の民話が掲載されていて、原則として毎週1本ずつ更新されている様です。
パンと民話、一体何の関係が在るのでしょうか?気になる疑問を、フジパンの広報担当者に聞きました。
「1981年から続けていて、此れ迄に1,600話以上を流して来ました。基本的に同じ物を再び流す事はしておらず、私共が制作を御願いしている会社が、各地で取材しています。又、ホームページに掲載する民話は、電話と連動している訳では無く、流した物の中から適宜選んでいます。」。
-全てのパンに、電話番号を記載しているんですか?
「昔はそうだったのですが、現在では記載すべき項目が増えた為、食パンやロールパン等、個数が多く入っている商品が中心です。」。
-電話番号が8都市も在る理由は?
「サーヴィスを始めた当初、電話といえば固定電話でした。今の携帯電話では『掛け放題』のプランが主流なので、其れ程問題無いかもしれませんが、固定電話だと、掛ける先の区域に応じて料金が異なります。通話料は御客様負担なので、料金が安くなる様に拠点を増やしました。」。
-パンと民話、どんな関係が在るんですか?
「此のサーヴィスを考案したのは、2代目社長の舟橋正輝(故人)です。戦時中は出征し、戦後は小学校の代用教員として教壇に立った事も在ります。そんな舟橋が、『会社としてパンという物質的な貢献だけで無く、子供達の為に文化的な貢献を出来ないか。』と考えたのです。」。
-此れからも続けて行くんですか?
「勿論、続けます。民話というのは、伝承しないと消えてしまいます。東日本大震災では、多くの民話が残っている東北地方も大きな被害を受けました。民話という文化的な財産を、後世に伝えるのが使命だと思っているので、此れからも御楽しみ下さい。」。
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時代は変われども、子供の好奇心というのは変わらない。パンの袋に「民話が電話で聞けるヨ!」という文字と共に電話番号が記されていたら、「どんな内容だろう?」と興味を惹かれ、実際に電話を掛ける子供も少なく無い事だろう。そうして多くの民話が、子供達に伝わって行く。そんな素晴らしい取り組みを34年以上も続けている企業というのは、凄く好きだ。