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「『2034年迄に原発全廃』 スイスが国家目標」(5月26日、朝日新聞)
スイス政府は25日、国内に5基在る原子力発電所を、寿命を迎える2034年迄に廃炉とし、改修や新規建設はしないとの国家目標を決めた。福島原発事故後、ドイツに続き「脱原発」政策にかじを切った。
記者会見したロイトハルト環境エネルギー相によると、全閣僚7人が特別会合を開き、「(1)老朽化する原発の改修を含む現在の原発態勢の維持。」、「(2)改修はせず、今の原発の安全性が保てる間に順次廃炉。」、「(3)原発の即時稼働停止。」の3つのシナリオを中心に協議。最終的に(2)を選んだ。ロイトハルト氏は朝日新聞の取材に「福島が、今後数十年のスイスのエネルギー戦略を変えた。」と答えた。
スイスでは電力使用量の約39%を原発が担っている。今後は、約56%を占める水力発電の割合を高める方針。スイスにはアルプスの水源を活用した水力発電所が500ヶ所以上在り、先ずは此れ等の設備を改修する等して効率を高めると言う。更に、太陽光や風力等再生可能エネルギーの導入も進め、原発分の穴埋めを図る。
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我が国の電力使用量の内、原発が担っている割合は実際何の程度なのだろうか?資料によって区々だが、約25%というのが多く挙げられた数値だった。そうなるとスイスは、日本よりも原発依存率が高い事になる。其のスイスがドイツに続いて「脱原発」を打ち出した事で、世界のエネルギー政策は大きく変わって行くのではないだろうか。クリアしなければならない要素が少なくないので「原発は直ちに全廃する。」という訳にはいかないけれど、日本も「脱原発」の方向に向かって欲しいと思う。
「福島原発事故」と言えば東京電力の株式に関して、東京新聞の読者投稿欄「発言」に、日を変えて次の御二方の投書が載っていた。(転載に際しては、名前や住所等は外させて貰った。)
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「個人投資家抹殺するな」(83歳・男性) 【5月19日付け朝刊】
年金生活者は安定した配当を期待し東電株を購入した。株の売買益を狙ったのではない。いわゆる公共株は株価変動リスクも小さいからだ。銀行の定期性預金は超低金利だ。
天災は別にしても、それが人災の原発事故を続発させ、収束迄数ヶ月以上かかる事態までは予測不能。原発は国の安全規制下にあり、国民が信頼するのは当然だろう。
政治家や経済学者の中には「東電の国有化を。」、「株主責任を問うべきだ。」等と発言をする者がいる。
東北電力株の売却では多額の損失を被った。いつの日にか、あるだろう原発の安全宣言を信じ、暴落株価の回復に一縷の望みをかける。個人投資家を抹殺するような発言は許せない。
「個人投資家 責任はある」(37歳・女性) 【5月26日付け朝刊】
19日付け本欄で東京電力株を購入した男性の「個人投資家を抹殺するな」には非常に違和感を持ちます。
私は投資の経験はありませんが、投資というのは会社の経営状態を見るだけでなく、その会社が何をして、この先どうするのかを、株主としてその会社を一緒に経営するのも同然だと思います。
確かに老後の貴重なお金を回しているのでしょう。でも、その責任も一緒に担っているのは当たり前ではないでしょうか。失礼ながら投稿者のご年齢なら戦争を経験したはず。放射性物質の危険性も十分ご理解しているのではと思います。
その上で原子力発電の安全を信じて投資したのであれば、その責任も一緒に取らなくてはいけないのではないでしょうか。
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以前の記事でも書いたけれど、新聞の読者投稿欄を見ていると「世の中には色んな人が居るんだなあ。」と熟思わされる。今回も同じ事柄を取り上げ乍ら、全く相反する見解なのが興味深い。皆様は何方の見解に軍配を上げられるだろうか?自分の場合は、後者の見解に共感を覚える。
乏しい老後の資金を東京電力株に投資していた方々には、気の毒さを感じない訳では無い。「公共株の場合は株価の乱高下が先ず無く、投機的な意味では旨みが無いけれど、手堅く配当が得られる。」というのは昔から言われていた事で、其れ故に東京電力株を購入していた人が少なくないで在ろう事も理解はしている。でも「株式は元本保証されている訳では無いし、投資家は其の投資先の責任を共に担うのは当然の事。」ではないのだろうか?「天災だから」とか「人災だから」というのは無関係に、投資で在る以上は投資家が利益も不利益も被らなければいけないと自分は考える。
今回の件に限らず、投資(投資詐欺も含め。)で不利益を被ると「損失を補填せよ!」的な声を上げる人が居る。そういう主張には、個人的に疑問を感じている。損失が出た際に「補填せよ!」と主張する一方で、逆に儲け過ぎたら「返金します。」と言うのだろうか?
投機的な意味合いが在ろうが無かろうが、「投資」とは「損失が出る可能性」を常に念頭に置いてしなければいけないと思う。損失が出るのが嫌ならば、元本保証の商品だけに手を出すべき。内の親も老後の資金はカスカスだけれど、「損失が出るのは絶対に嫌。」という事で元本保証の商品しか手を出していない。普通の人はそんな感じで、何とかかんとか日々を暮しているのではないだろうか。
スイスの取った「寿命が来たら廃炉」は、
非常に現実的でしょう。
急に他の方法に転換するのも、今日明日で
出来ることではないですから。
>株主
g-55さんの意見に同意です。
株に「元本保証」とは書いてません。
株は金融商品でもなんでもなく、会社に「出資」してるのですから。
投稿者のご長寿、ショックなのは判りますが
同情はしかねます・・・
「何でもかんでも反対。」といった悪い意味での「野党的主張」や、又、逆に「御上が決めた事に逆らうとは何事か!」といった悪い意味での「与党的主張」には共感し得ない。原発の在り様に関しても、現状を冷静に勘案した上で「ベターな選択肢」(ベストという選択肢は、普通中々在り得ないと思うので。)を選ぶ必要が在ると思っています。其の意味では「寿命が来たら廃炉。」というスイスの選択は自分も適切に思うし、全基入る前に(可及的速やかに)代替エネルギーを作り上げて行かなければいけない。
株式は元本保証される類いの代物では無く、例え「紙屑」になったとしても、其れは自己責任として受け容れなければならないと考えています。唯、「人災」等の(株主として)どうしても受け容れ難い要因での不利益ならば、其れは株主個々が企業なり何なりを相手に、“自分の責任に於いて”訴訟を起こせば良いだけの話。勿論、其の事が裁判で勝利を収められるかどうかは、又別の話では在りますが。
「投資の意味が判ってない儘、老後の資金を株に注ぎ込んだという典型的な失敗パターン。」というのは、全く同感です。インターネットで株式の売買が出来る様になる等、「株式」という存在が一般的に身近になったのは事実なれど、だからと言って、「株式の売買に於ける危険性」が無くなった訳では全く無い。其の辺を理解していなかったと言えましょう。
何事にも言える事では在りますが、未知なる事柄に手を出す際には十二分以上に検討し、其のメリットとデメリットをきちんと認識した上でしなければ駄目。世の中には「絶対に安心。」なんて事は先ず無いと言って良く、大事な「資金」で在れば尚更注意を払わなければいけない。
今回の件とは全く無関係ですが、「途轍も無い『リターン』を約束する『詐欺商法』にコロッと騙されてしまう人。」が少なく無い。“表現方法”は異なっていても、中身は旧態依然とした「ネズミ講」なのに、引っ掛かってしまう人の余りの多さに唖然とさせられます。美味しい話を見聞した際、「そんなに本当に儲かる話が在るのならば、他者になんか教えないで、自分だけで遣れば良いのではないか?」という当たり前の疑問を持てば、普通は引っ掛からないと思うのだけれど・・・。
>後者の投稿
うーん、この人はいわゆる「原発反対派」なんでしょうね。でも80過ぎの老人で株で資産を・・なんて人は原発推進も反対も何も、基本コンサバな人だろうし、「反対派」的な発想は全くない、東電は国策企業の優良株と考えて買った、それだけのことでしょう。逆にこの老人をいさめるとしたら、「所詮バクチじゃないの」という言い方のほうがシックリくると思います。80過ぎの老人の若い頃は証券会社なんて「株屋」というような言われ方で、真っ当な職業とは思われてなかったでしょう。所詮相場師、バクチ打ちというイメージだった。
財テクだの資産運用だの言うが正直、バクチ、山師の世界と思うことは多々あります。営業のトークなんてホント香具師の世界のようなものがある。所詮そんなもののクセに威張るヤツが多いので株屋は大嫌いなんです。
「投資は博打」、其の通りだと思います。超低金利時代が延々と続く中、「乏しい老後の資金を少しでも増やしたい。」と考える中高年齢者が居られるのは理解出来るけれど、「元本保証」で無い限りは、最悪のケースを考慮した上で投資しなければいけない。他者を糾弾する目的で多用される「自己責任」という言葉は好きじゃないし、「社会的な弱者を、国が“或る程度”救い上げなければいけない。」とは思っているけれど、投資に関しては矢張り「自己責任」だし、其の損失に国が乗り出すというのは御門違いだと思います。
就職活動をしていた頃、内定を貰った企業の1つが所謂「四大証券」でした。周りの人間(特に中高年齢者)からは「博打的な色合いが強いだろうし、業績が悪くなったら直ぐに首を切られそうなので、行くのは止めた方が良い。」と散々言われたもの。悪い意味で「株屋」という意識が強かったのだと思います。
取り敢えず内定後の説明会に行ったのですが、「出社初日迄には、荷物を全て纏めておく事。初日に配属先を通達し、其の足で赴任先に行って貰いますから。」等の説明に、「そんなハードなのか・・・。」といった囁き声が会場内で出ていたのが印象的でした。結局、其処は辞退させて貰いました。当時は「証券会社=勢いが在る。」といった感じでしたので、知り合いで証券会社に進んだ者が数人居りましたけれど、10年内に半分以上辞めた事を考えると、矢張りハードな世界なのでしょうね。逆に其処で生き残れる人というのは、活力が半端では無いとも言えるのでしょうが。