以前にも書いたが、30年以上前に読んだ「生物が一日一種消えてゆく‐滅びの動物学」という本は、内容も然る事乍ら、タイトルの「生物が一日一種消えてゆく」という部分が、非常に衝撃的だった。「そんなにも多く、消えて行っているんだ。」と、強烈に感じさせられたからだ。
11月23日付け東京新聞(朝刊)のサンデー版では、「生まれ変わる廃校」という特集が組まれていた。少子化が進む中、廃校に追い込まれる公立学校が増えていると聞く。近隣でも何年か前、公立小学校が廃校になり、「住人が少ない場所でも無いのに、廃校になる程、子供が少ないのかあ。」と驚いたもの。一方、子供の数が増えたという理由から、近所では公立学校の建設がされたりするのだから、子供の数の多寡も、地域によって極端なのだろう。
元記事によると、1994年から昨年迄の20年間で、日本では約7,600校の公立学校が廃校になったのだとか。平均すると「1日に約1校が廃校」というのだから、「生物が一日一種消えてゆく‐ 滅びの動物学」並みの衝撃度だ。もっと驚くのは、近年で言えば、毎年500校前後の公立学校が廃校となっているそうで、そうなると廃校のスピードは加速化している事になる。
廃校が増えている原因は大きく分けると「少子高齢化」、「過疎化(地場産業の衰退による人口減少。)」、「都市化(オフィス・商業地域として発展。住宅は郊外へ移転し、定住人口が減少。)」、そして「市町村合併による学校の統廃合(“平成の大合併”では、校区再編による学校の統廃合が相次いだ。)」の4つ。
自身の学び舎が廃校となってしまうというのは、とても寂しい事だと思う。廃校となった建家、何等かの形で活用中なのは62.9%。未利用は26.7%で、10.4%は取り壊しになっていると言う。(四捨五入の為、全部合わせても100%にはなっていない。)
活用形式は「体験交流系施設」、「美術系文化施設」、「教育・福祉系施設」、そして「企業施設」に大別される。「企業施設」というのが今一つイメージし難いと思われるが、秋田県大館市の「白神フーズ・本社/大館工場(元は山田小学校)」や東京都世田谷区の「IID世田谷ものづくり学校(元は池尻中学校)」がそうだ。
廃校の活用は「教室、運動場、プールが揃っている。」、「建築時の天井高、廊下の幅、階段の寸法、採光規定が厳格なので安心。」、「母校愛の強い卒業生からのバックアップが期待出来る。」等のメリットが在る一方、「維持管理費(光熱費等)が掛かる。」、「用途に応じた改修費が掛かる。」、「交通の便が悪い。」等のデメリットが在り、未利用だったり取り壊しになったケースは、メリットがデメリットをカヴァーし切れなかったというのが大半なのだろう。
解体するのは無駄銭を喰うだけなので
物の保存場所(要は公共物の倉庫)として有効活用されております。
たぶん来年になると思うのですが四国遍路の度で宿泊したいな、と思っているのは、廃校になった小学校だった施設です。
かなり人気らしいので泊まれるか不安だったりします。
「資産的に余裕が在るので在れば、株式は損をしない。」なんて言いますよね。「株式は値下がりしても、持ち続けていれば、何れは元値に戻ったり、高くなったりする可能性が在り、売らなくて済む“体力”が在るのならば、損はしない。」という理屈なのですが、廃校の場合はそんな訳にはいかない。維持には金が掛かり続ける訳で、然りとて取り壊すのも又、金が掛かる。
唯、子供の数が地域によって偏りが出る以上、廃校を取り壊した後、再び学校の需要が出て来る可能性も在る訳で、安易に取り壊してしまうのは勿体無いなあと思ったりもします。
廃校を利用した宿泊施設、TV番組で何度か取り上げられていましたが、泊まってみたい気はします。「学校」というのは良くも悪くも、深い思い入れを持つ人は少なく無いと思うので、そういう点を考慮したユニークな施設として活用すれば、結構需要が在りそう。