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「衛星で風予測 燃費◎飛行」(5月22日付け東京新聞[夕刊])
人工衛星で風の向きや強さを観測し、燃料効率の良い航空機の飛行ルートを決定する。こんなアイデアの実現を目指し、全日空グループが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とタッグを組み、検証を進めている。衛星の活用や実証研究等に関する契約を1月に締結。慶応大等とも、来年1月迄共同研究を重ね、事業性を判断する。
世界の空では、1日約10万便が飛行している。仮に燃料を1%削減出来れば、年間で365万トンの節約になり、経費削減に加えて、温室効果ガス排出の抑制にも繋がる。
考案したのは、ANAホールディングス社員の松本紋子さん(35歳)。2017年、内閣府等が主催して開かれた宇宙関連ビジネスのコンテストに個人で提案し、大賞に選ばれていた。
航空機の燃料消費は、風の向きや強さに大きく左右される上、必要以上の燃料を積むと、其の重みで更に消費量が増えてしまう悪循環になる。上空を流れるジェット気流(偏西風)は、特に影響が大きい。
全日空は10年程前から、日米の航空当局の提案に協力。通常、離陸前に提出する飛行計画の経路通りに飛ぶが、太平洋上を飛行する航空機に関して、離陸後に最新の気象予測データを用いて、追い風が吹いている等、燃費効率の良いルートに変更する運航に取り組み、松本さんも携わった。
一定の燃料削減の効果は確認されたが、地上の様に固定した観測点が置けない洋上では、飛行データや雲の動きから算出する等、得られる上空の風のデータが限られてしまい、効果には限界が在ったと言う。
そうした弱点を改善出来ないか悩んでいた際に目を付けたのが、JAXA等が研究していた人工衛星だ。衛星は、レーザー光を大気中に発射し、微小粒子の動きを測定して、風向や風速を観測する「ドップラー・ライダー」というシステムを搭載。此の観測データを活用する事で、より効率的な飛行ルートの構築が可能になると見ている。
航空各社は通常、各国の気象機関が公表しているデータを基に、民間会社が航空用に解析した数値を利用し、飛行計画を立てる。唯、データの更新はリアル・タイムで無い為、実際に飛行している時の気象状況と誤差が生じる。ドップラー・ライダーのデータを活用出来れば、こうした問題も解消出来るとしている。
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「世界の空では、1日約10万便が飛行している。」という事は、単純計算で「1分間に約69便以上飛行している。」という事になる。こんなにも飛行していたら、燃料削減は大きな問題になろうし、実際、「仮に燃料を1%削減出来れば、年間で365万トンの節約になる。」というのは非常に大きい。温室効果ガス排出の抑制にも繋がるというし、1日も早く実現して欲しいもの。