AERA(12月22日号)に「住宅ローン 魔の11年目」という記事が載っていた。今から10年前の1998年、政府は景気浮揚の為の緊急対策として、住宅金融公庫(現在の住宅金融支援機構)の基準金利を史上最低の2%に引き下げを断行。その結果、「今が買い時。」と住宅ローンを組んで新居を購入する人が増えた訳だが、今になって或る“落とし穴”に嵌まり、ローン破綻者となる人が出て来ていると言う。2%という金利は最初の10年間だけで、11年目からは年4%へと倍増するシステムになっており、10年前にはそれ程深く考えていなかったで在ろうこの「段階金利型」の住宅ローンが、今になってボディー・ブローの如く効いて来ているのだ。元記事では、ローン破綻者となった男性の例が紹介されている。
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大阪府に住むAさん(46歳)はローン破綻者となった。9年前に購入して、両親と暮して来たマンションが、11月に差し押さえられ、競売された。
マンション購入の借入額は3,500万円。全額が旧住宅金融公庫(現在住宅金融支援機構)の住宅ローンだ。当時、政府の景気浮揚策によって金利は史上最低に引き下げられ、最初の10年間が2%だった。
だがこれは「段階金利型」という住宅ローン。11年目からは年4%へと一気に倍増する。「10年後は収入も増えているだろうから、返済は問題無い。」と考えていたAさんだが、その後、人生は大きく狂った。
ローン返済額は毎月9万8,000円、年2回のボーナス時に10万円。当時のAさんは、中堅音響機器メーカー子会社の正社員だった。ところが4年後、不況の為に会社が閉鎖。パートやアルバイトで働き続けたが、ボーナス返済が出来なくなった為、毎月の返済額を12万円に増やした。遂に昨夏から、返済が滞り出した。
11年目になる来年からは、金利が年4%となり、毎月の返済額は14万円以上に跳ね上がる。もう無理だった。
Aさんが相談したのが、大阪市の不動産コンサルタント、安田裕次さん(41歳)だ。ローン返済に困っている人を助ける「住宅ローン110番」に取り組んでいる。安田さんはAさんの為に奔走した。
「少しでも残債を減らそうと、何とか1,500万円で任意売却出来る様交渉した。しかし、債権者の金融機関が『1,800万円で競売出来る。』と主張して、譲らない。結局、競売に掛けられ、落札額は1,300万円に留まった。」と、安田さんは悔しがる。任意売却とは、裁判所の競売と違って、債務者から依頼された専門業者が、債権の私的整理を進め乍ら不動産市場で売却する方法の事。一般には、競売より高く売却出来るケースが多いが、Aさんの場合は債権者が認めてくれなかった。
残債は2,950万円も在った。通常の住宅ローンでは、初期の返済は金利部分にばかり充てられる為、元金が殆ど減らない。しかも消費者金融からの借金が300万円。マンションを失い、多額の負債を抱え、Aさんは自己破産を申請した。
景気悪化が深刻だ。ローン破産はこれからも増えると、安田さんは危惧する。一旦収入が減れば、再び増える事は難しいのも現実だ。
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他にも、運送会社で勤務しているB氏(42歳)の例が紹介されている。不動産不況でマンションが売れなくなり、その事で引っ越しが激減。原油高で軽油やガソリンが値上がりする等、重なる悪条件。7年前に30年ローンを組んでマンションを購入するも、実入りが大幅に減った事で、昼間のパートをしていた奥さん(42歳)が、新たに夜遅くからのパチンコ店のロビー清掃をもする事になり、それを知った義母(奥さんの母)から「そんなにして迄・・・。」と泣かれてしまったとか。身が縮み、その場から逃げ出したくなったというB氏。奥さんも気の毒だが、必死で働いているで在ろう彼がそんな思いをしなければならないというのも、同情を覚えてしまう。
高度経済成長期の様に、「働けば働く程、将来の収入は右肩上がりで増え続けて行く。」という程の“夢”は見ていなかったろうが、先の見通しが甘かったと言われてしまえば、それはその通りだろう。だが、此処迄悪い方向にあらゆる環境が激変すると予想した人も居なかったのではないか。住宅ローン破綻者の姿は、将来の自分の姿かもしれない。
そんな中、政府は景気浮揚策の一つとて、史上最大規模の住宅ローン減税を来年断行すると言う。「この道は何時か来た道」にならなければ良いが・・・。
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大阪府に住むAさん(46歳)はローン破綻者となった。9年前に購入して、両親と暮して来たマンションが、11月に差し押さえられ、競売された。
マンション購入の借入額は3,500万円。全額が旧住宅金融公庫(現在住宅金融支援機構)の住宅ローンだ。当時、政府の景気浮揚策によって金利は史上最低に引き下げられ、最初の10年間が2%だった。
だがこれは「段階金利型」という住宅ローン。11年目からは年4%へと一気に倍増する。「10年後は収入も増えているだろうから、返済は問題無い。」と考えていたAさんだが、その後、人生は大きく狂った。
ローン返済額は毎月9万8,000円、年2回のボーナス時に10万円。当時のAさんは、中堅音響機器メーカー子会社の正社員だった。ところが4年後、不況の為に会社が閉鎖。パートやアルバイトで働き続けたが、ボーナス返済が出来なくなった為、毎月の返済額を12万円に増やした。遂に昨夏から、返済が滞り出した。
11年目になる来年からは、金利が年4%となり、毎月の返済額は14万円以上に跳ね上がる。もう無理だった。
Aさんが相談したのが、大阪市の不動産コンサルタント、安田裕次さん(41歳)だ。ローン返済に困っている人を助ける「住宅ローン110番」に取り組んでいる。安田さんはAさんの為に奔走した。
「少しでも残債を減らそうと、何とか1,500万円で任意売却出来る様交渉した。しかし、債権者の金融機関が『1,800万円で競売出来る。』と主張して、譲らない。結局、競売に掛けられ、落札額は1,300万円に留まった。」と、安田さんは悔しがる。任意売却とは、裁判所の競売と違って、債務者から依頼された専門業者が、債権の私的整理を進め乍ら不動産市場で売却する方法の事。一般には、競売より高く売却出来るケースが多いが、Aさんの場合は債権者が認めてくれなかった。
残債は2,950万円も在った。通常の住宅ローンでは、初期の返済は金利部分にばかり充てられる為、元金が殆ど減らない。しかも消費者金融からの借金が300万円。マンションを失い、多額の負債を抱え、Aさんは自己破産を申請した。
景気悪化が深刻だ。ローン破産はこれからも増えると、安田さんは危惧する。一旦収入が減れば、再び増える事は難しいのも現実だ。
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他にも、運送会社で勤務しているB氏(42歳)の例が紹介されている。不動産不況でマンションが売れなくなり、その事で引っ越しが激減。原油高で軽油やガソリンが値上がりする等、重なる悪条件。7年前に30年ローンを組んでマンションを購入するも、実入りが大幅に減った事で、昼間のパートをしていた奥さん(42歳)が、新たに夜遅くからのパチンコ店のロビー清掃をもする事になり、それを知った義母(奥さんの母)から「そんなにして迄・・・。」と泣かれてしまったとか。身が縮み、その場から逃げ出したくなったというB氏。奥さんも気の毒だが、必死で働いているで在ろう彼がそんな思いをしなければならないというのも、同情を覚えてしまう。
高度経済成長期の様に、「働けば働く程、将来の収入は右肩上がりで増え続けて行く。」という程の“夢”は見ていなかったろうが、先の見通しが甘かったと言われてしまえば、それはその通りだろう。だが、此処迄悪い方向にあらゆる環境が激変すると予想した人も居なかったのではないか。住宅ローン破綻者の姿は、将来の自分の姿かもしれない。
そんな中、政府は景気浮揚策の一つとて、史上最大規模の住宅ローン減税を来年断行すると言う。「この道は何時か来た道」にならなければ良いが・・・。
自分も20歳ぐらいの頃、家じゃないけど車のローン200万を組んだことがありました。なぜか書類に年収とか住所を記入し、すぐにローン会社と電話で名前や住所の確認をしてほんの数分で審査が通ったのを覚えてます。
審査にも問題があるんではないでしょうか?
自分は賃貸で十分ですわw定年になったら安い物件でも購入しようと思います。今は貯金ですよ。貯金。
国の住宅政策・・持ち家政策は間違ってるとおりがみは思うですね。
tak様も書かれておられる様に、住居購入は人生に於ける一番大きな買い物で在り、その決断には慎重の上にも慎重を期さないといけないでしょう。又、住宅ローンが他者からの押し付けでは無く、あくまでも自身で決めた事ですので、ローン破綻も自己責任で在るのは確かなのですが、此処迄あらゆる環境が急激に悪化するとは殆どの人が予想し得なかっただろうし、何よりも好い加減な暮らしをしている訳では無い、寧ろ必死で働いている人が全てを失ってしまいかねない状態という事に同情を覚えてしまうんです。
ローンの審査、今はどうなんでしょうね。これだけ世知辛い世の中になると、審査も相当厳しくなっているのではないでしょうか。少なくとも貸し手の側は、取りっぱぐれの無い様な手段は講じている様に思います。
tak様と同じ不安を抱えておられる方は、結構居られるでしょうね。住宅ローンを組み、そしてものもの時に備えて生命保険等に加入するも、この不景気で保険料が払えなくなり、解約せざるを得なくなった人も少なくないかと。自堕落な生活を送っている人は別ですが、必死で働いている人迄もが、ローン破綻で全てを失ってしまうというのは、何とも遣り切れない事です。
上でiorin様宛てに書かせて貰いましたが、住宅ローンは他者から押し付けられたしたものでは無いだろうし、自己責任で在るのは確かだと思っています。唯、自堕落な生活を送っている者は別として、家族を思い、必死で働いている者が急激な環境変化で、全てを失い兼ねない状況にはどうしても同情を覚えてしまいます。
自分の身は自分で守る。この当たり前の事を、再認識させらた人も今年は多かった事でしょう。又、好い加減な気持ちで選挙に臨むと、その報いが自らの生活を危うくする事に気付いた人が少なくなければ良いなとも。「面白いから。」とか「見た目が良いから。」なんていうアホな理由で投票する人間が、少しでも減って欲しいです。