先日、某ラーメン・チェーン店を訪ねた時の話。注文する為、カウンターの前の列に並んだ所、自分の前には80代位の男性が立っていた。で、其の御爺さんの順番が来て、注文を始めたのだが、ラーメンの他に餃子やら何やらと、結構な品目を頼んだ。で、最後に「全て、店内で食べます。」と言って、彼は席に着いた。
自分はラーメンを注文し、席に着いて待っていたのだが、ふとさっきの御爺さんが座った席を見ると、彼1人だけ。「あんなに品目を注文したのに・・・1人で食べるの!?凄いなあ。」と驚いていたら、其の御爺さんがひょこっと席を立ち、カウンターに向かった。そして・・・。
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御爺さん:「さっき、全てを店内で食べるって言ったんだけど、餃子は持ち帰りにして貰えませんか?申し訳無い。」。
スタッフ:「餃子だけを“テークアウト”ですね?」。
御爺さん:「えっ!?」
スタッフ:「餃子だけをテークアウトという事ですよね?」。
御爺さん:「餃子だけを持ち帰りたいんだけど・・・。」。
スタッフ:「ですから、餃子だけをテークアウトという事ですよね?」
御爺さん:「・・・餃子だけを持ち帰りたいんだけど・・・。」。
スタッフ:「餃子だけをテークアウトという事で宜しいんですよね?」。
御爺さん:「・・・はい・・・。」。
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御爺さんは恐らく、「テークアウト」の意味が判らなかったのだろう。一方のスタッフは、20歳前後と思われる日本人の男性。(「見た目は日本人でも、国籍的には日本人では無い。」というケースも在るだろうが、見た目だけでは無く、流暢に日本語を話していた事からも、こてこての日本人なのは間違い無いだろう。)だったら「テークアウト」同様、「持ち帰り」の意味も知らなかったとは思えない。
此のチェーン店では、「客が『持ち帰り』を『テークアウト』と言わなければ、応じてはならない。」という内規でも在るのだろうか?其れだったら「『店内で食べられますか?』では無く、『イートインですか?』とスタッフが尋ねないと、筋が通らない。」だろう。(実際、自分は「店内で食べます。」と言い、スタッフの彼は「判りました。」と答えたし。)
普通の感覚を持っていれば、其の御爺さんが「テークアウトの意味を理解していない。」という事は判る筈。なのに、「持ち帰りたい。」と御爺さんが何度も言っているのに、何度も「テークアウトですね?」と聞き返すのは柔軟性に欠けるし、「御爺さんに恥を掻かせた。」という意味で優しさに欠ける様に感じた。
ちゃんと意味の通じる「日本語」があるのに、どういうつもりかやたら「カタカナ語」を使いたがる風潮があるから、こういうトラブルが起きてしまうのだろうと思います。
日本語に翻訳しにくい外国語や、長年使われてきて日常語化しているカタカナ語まで、あえて日本語を使うべきとは思いませんが、母国語は大事にしたいものです。
こんなことを思うのは、私も老化している証拠なんでしょうかね(苦笑)。
「海外では~。」とか「欧米では~。」なんて言い方を良くしますが、“海外や欧米の基準”が唯一無二的に正しいとは限らない。言葉もそうで、何でも彼んでも片仮名語にするというのは、自分も非常に妙な話だと思います。
大事なのは「少しでも多くの人が、理解し易い言葉を使う。」という事で在り、其れを多くの人が肝に銘じて欲しい物です。