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不始末を犯した嘗ての弟分の落とし前を付ける為、兄貴分が取った行動は? - 「最期の晩餐」
元警察官が殺害現場で、綿密な証拠隠滅を図る。親子の刑事は、真相を見破れるのか? - 「ガラスの向こう側」
放火犯として刑事に疑われた知的障害の在る少年。夏休みの予定を時間割として書く事に、容疑と関わりが? - 「夏の終わりの時間割」
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長岡弘樹氏の「救済 SAVE」は、6つの短編小説から構成されている。「登場人物達の或る行為に、“救い”が在るのか否か?」を、読者に問い掛ける様な内容。
全く関係性が感じられない事柄が、後になって密接に関係している事が明らかとなる。こういった意外性がミステリーの“肝”だったりする訳だが、長岡氏の場合、意外性が際立った作品が多い。「動機やトリックを考え出す上での“着眼点の良さ”。」というのも特徴で、「三色の貌」及び「最期の晩餐」、そして「空目虫」の3作品は「良くもまあ、こんな発想が浮かんだなあ。」と感心したが、でも「三色の貌」と「最後の晩餐」に関しては、“現実的な面”で少々無理を感じた。
「作品を書く上で、相当下調べをしているんだろうな。」と思わせる作風。だからこそ、長岡作品は多くの人を魅了するのだろうが、今回の「救済 SAVE」に関して言えば、従来の作品と比べると、全体的にパンチが弱い気がする。
総合評価は、星3つとする。