数多制作された学園ドラマの中でも、何方かと言えば“生徒”よりも“教師”が主人公的な作品に関しては、自分の場合、最初から最後迄通して見た物は、恐らく2つだけ。1つは「『3年B組金八先生』シリーズ」で、此の作品によって結構真剣に「教師になりたいな。」と思った物。結局、教師とは全く無関係な職に就いたけれど。
そして、もう1つの作品は1974年に放送された「われら青春!」【OP】。中村雅俊氏が主役の教師・沖田俊役を演じたのだが、其れ以前に「太陽にほえろ!」【動画】でTV初出演はしていたものの、彼にとって「われら青春!」が本格デビュー作と言って良い。此の作品で彼が歌ったED曲「ふれあい」【歌】(OP曲「帰らざる日のために」【歌】と共に、カラオケで何度歌った事か。)は大ヒットを記録し、中村氏は俳優としてだけでは無く、歌手としても一躍名を馳せる事に。
「教師になりたいな。」と初めて薄ぼんやりと思ったのは、「われら青春!」を見たのが切っ掛けだった。沖田と生徒達との“心の触れ合い”が、実に印象的だったから。
其の「われら青春!」で、教師・塚本信二役を演じていた柳生博氏が、4月16日に亡くなられていた事が明らかとなった。死因は老衰で、享年85。去年だったか、御元気な姿をTV番組で拝見していたので、「えっ!?」と驚いてしまった。
「われら青春!」は、夏目漱石氏の小説「坊つちやん」の世界を思い起こさせる作品。「若くて無鉄砲な教師・坊っちゃんは、中村雅俊氏が演じた沖田俊。」、「陰湿な性格の教頭・赤シャツは、穂積隆信氏が演じた教頭・江川俊介。」、「赤シャツに胡麻摺り許りしている腰巾着の野だいこは、柳生博氏が演じた塚本信二。」、そして「坊っちゃんの憧れの人・マドンナは、島田陽子さんが演じた女性教師・杉田陽子。」といった具合にだ。
校長・杉田良策を演じていた有島一郎氏が亡くなられたのは、35年前の1987年の事。教頭・江川俊介を演じていた穂積隆信氏は、4年前の2018年に亡くなられた。そして、今回の柳生氏の訃報。「われら青春!」に出演していた方々を確認すると、他にも草薙幸二郎氏や菅井きんさん、名古屋章氏、森川正太(沖正夫)氏、佐山俊二氏、塩沢ときさん、下川辰平氏、田崎潤氏、山田康雄氏[ナレーション]など、鬼籍に入られた方も少なく無い。大好きだった番組だけに、一入寂しさを感じる。
「100万円クイズハンター」【動画】で務めた司会者等、TV番組で見せた柳生氏の“顔”は幾つも思い浮かぶが、最も印象深いのは「われら青春!」で演じた胡麻摺り教師役。穂積氏とのコンビは、実に絶妙だった。
「昔から大ファンだった八千草薫さんに、俳優として会った時、『柳生君』って呼んで貰えたのは、本当に嬉しかったなあ。」と顔をくしゃくしゃにして話していた柳生氏の姿が忘れられない。合掌。