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「明日雨が降ったら、御父さんを殺す。」。小学5年生の大地(だいち)は、幼馴染みの少女・空(そら)から、そう言われた。翌日、雨は降り、空は予告通りに父を殺した。更に空の兄の悟(さとる)も殺し、大地は空と、悟の死体を地中に埋めた。
其の翌日、大地の前に悟が霊体となって現れた。悟は「何故、自分が殺されたのか?何故、霊体の姿で現世に止まっているのか判らない。」と言う。其れ以降、大地の周囲で様々な事件が起こる様になった。空とも大地とも仲良しの少女・光(ひかり)の下着が、水泳の授業中に盗まれる。矮鶏が猫に襲われる。そして、光と空の歪な関係が明かされる。
様々な事件の真相は?彼等の過去に、何が在ったのか?
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2002年、「『このミステリーがすごい!』大賞」が創設された。そして、“15周年記念企画”として今年、此れ迄に落選した応募作(4,800篇以上)の中から3作品が選ばれ、“超隠し玉”として刊行された。今回紹介する「陽気な死体は、ぼくの知らない空を見ていた」(著者:田中静人氏)は其の1つ。
此のミステリー、探偵役を務めるのは“幽霊”の悟。「幼い頃より幽霊を見る事出来る大地と会話し、そして彼等の周りを探る中で、悟は真実を突き止める。」というストーリー。と言っても、事件が起こったのは「1996年6月」、真実を突き止めたのは「2007年3月」と、約11年もの時間が過ぎ去っている。生きている人間が肉体的にも精神的にも成長して行く一方で、幽霊は亡くなった時点で“時”が止まっている。其のギャップの中で、戸惑う幽霊達。読んでいて、ぐっと来てしまった。
「幽霊ならば何処にでも自由に出入り出来るし、相手から見られる事も無いのだから、簡単に真犯人や真実が判るだろうし、其れを誰かに伝えられるだろうに、何で約11年も掛かったのか?」という疑問は当然出るだろうが、其の辺は上手い設定がされている。
範疇で言えば、“イヤミス”という事になるだろう。「こういう結末で良いの?」と、読後感は良く無い。空が父を殺害した理由は未だしも、悟が殺害された理由は理不尽極まり無いし、「“あんな酷い事”をし続けて来た人間が、こういう結末を迎えるっていうのは納得行かないなあ。」という多いが残る。
こういう作風、人によって好き嫌いがはっきり分かれるだろう。ネット上の評価は概して高いが、自分は余り好きな作風では無い。次の展開が気になる筋立ては評価出来るけれど・・・。
総合評価は、星3つとする。
グーグルやスマホでヒットし、小一時間で読めます。
その1からラストまで無料です。
少し難解ですが歴史ミステリーとして面白いです。
北円堂は古都奈良・興福寺の八角円堂です。
読めば歴史探偵の気分を味わえます。
「ブログを運営していて良かった。」と思う事の1つに、「知らなかった情報を教えて戴ける。」というのが在ります。ミステリー関連で言えば、大崎梢さんという作家の事を知ったのは、此方を覗いて下さっていたブロガーさんの御推奨によって。今では、新作が刊行されると必ず読む作家の1人です。
で、今回「北円堂の秘密」という作品を教えて戴き、本当に有り難う御座います。Web小説は余り詳しく無いので、此の作品は全く知りませんでした。歴史もミステリーも大好きなので、其れ等が融合された作品というのは非常に興味在ります。早速ググってみましたら、「其の1~其の18」迄と、仰る様に小一時間も在れば読める分量。週末に読みたいと思います。
http://nara-fuhito.cocolog-nifty.com/blog/2017/06/post-729a.html
今後とも、何卒宜しく御願い致します。