記事を書く上で気を付けているのは、「“同じ題材”を扱う場合は、可能な限り日を置く。」という事。同じ題材を頻繁に取り上げてしまうと、読んで下さる方が「又か・・・。」と飽きてしまうだろうから。でも、「新型コロナウイルス」に関しては、例外的な扱いとなってしまった。先月は30日間に30件の記事を書いたが、内16件(約53.3%)は新型コロナウイルスに付いて触れた記事だったので。2日に1件以上触れざるを得ない程、深刻な状況に在るという事だ。
閑話休題。
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僕は三田村誠(みたむら まこと)。中学1年。父と母、そして妹の智子(ともこ)の4人家族だ。僕達は念願のタウンハウスに引越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ「ミリー」の鳴き声に、終日悩まされる事になった。僕と智子は、家に良く遊びに来る毅彦(たけひこ)叔父さんと組み、ミリーを“誘拐"したのだが・・・。
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今や“文壇の大御所的存在”の宮部みゆきさんの作品「我らが隣人の犯罪」を読んだ。彼女の熱狂的なファンからは、「読んでなかったの!?」という驚きの声が聞こえそうだ。何しろ此の作品、彼女のデビュー作(1987年)なのだから、熱狂的なファンからすれば「今更?」という思いが在ろうから。
5つの短編小説から構成されている。デビュー作の「我らが隣人の犯罪」は、新人とは思えない軽妙なストーリー展開が光り、後に直木賞等、多くの文学賞を受賞する宮部さんの才能を強く感じさせる。
「サボテンの花」という作品は、「小学校6年生の子供達が、周りの大人達の強い反対を押し切り、自分達が決めた事を断行する。」というストーリー。1989年に発表された作品だが、主人公達が中学生という違いは在るものの、23年後の2012年に上梓された「ソロモンの偽証」と似た雰囲気を感じた。
一番好きなのは「この子誰の子」という作品。「どういう事だろう?」と思わせる展開で読者の関心をぐっと掴み、「そういう事だったのか。」と納得させる“落ち”は見事!結末もホンワカさせられ、読後感も良い。
「我らが隣人の犯罪」と「この子誰の子」は合格点で、「サボテンの花」は普通、残り2作品は今一つといった感じか。総合評価は、星3.5個とする。
この記事を見て読んでみたくなり、近くのコミュニティセンターの図書室の在庫を調べたところ、文庫本の在庫アリ。
早速予約して入手、昨日読了しました。
giants-55さんも評価されている3作品、完成度が高いですね。
残る2作が今ひとつというのも同感。
いろんなところに伏線を張りながら、それらを見事に回収していく手腕は、デビュー当時すでに高いレベルにあったんですね。
たいしたストリーテラーです。
が、なぜか彼女の現代ものの長編は手に取る気になれません・・・なぜだろう??
悠々遊様の方は、図書館のみならずコミュニティー・センターも利用可能な状況の様で、本当に羨ましいです。当方は全て、完全休館状態なので。
実は自分、宮部作品はずっと敬遠していました。評価の高い作品を幾つか手に取ったのですが、最初の方だけ読んで「肌合いが合わないなあ。」と感じたからです。でも、「ソロモンの偽証」を読んだ辺りから、少しずつ魅了される様になり、何作品か読んでおります。
優れた作家って、デビュー時から“他者とは違うテースト”を持ってるケースが多いですよね。彼女も又、そんな1人だと思います。