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世界金融危機の前夜。日本のマーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンド・マネージャーの鷲津政彦(大森南朋氏)の元に、嘗ての盟友・芝野健夫(柴田恭平氏)が現れる。「中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー『アカマ自動車』を危機から救って欲しい。」と言うのだ。日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(玉山鉄二氏)。日本企業の高い技術力を奪うべく、潤沢な資金を元に攻勢を掛ける中国ファンド。“巨大な敵”を前にして、苦戦を強いられる鷲津は・・・。
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真山仁氏の同題の小説を元に、2年前に放送されたドラマ「ハゲタカ」。かなり好評を得た様だが、経済関係がどうも苦手な自分は見ないままに来てしまった。そのドラマの時代設定から後を描いたという映画「ハゲタカ」を、先日観る事に。
「ホワイトナイト」やら「敵対的買収」やらと、今となっては懐かしさすら覚える用語が飛び交っている。「ニッポン放送買収騒ぎ」が起こったのは、もう4年前の事。「今更『ハゲタカ』もないのでは?」という声も結構在った様に聞いている。自分も正直「時宜を逸した作品ではないか?」という思いが。
この映画を製作する過程でリーマン・ショックが発生する等、世界の経済環境は大きく揺れ動いた。当初予定されていた脚本も「このままでは時代に合わない。」と、大幅に書き直されたそうだ。「TVドラマの時代設定から4年後の日本」を最初は舞台に考えていたものの、結局は「現在の時間軸に合わせた日本」に変えたとも。結果的に言えば、この製作者サイドの判断は正解だったと思う。この判断が功を奏し、上記した様な「古臭い無いようになるのでは?」という不安が杞憂となったからだ。
経済音痴の自分でも、夢中になってしまうストーリー展開。「経済の世界」を描きつつ、メインでは「様々な思惑を抱えた人間達」を描いているので。「世の中の不幸は2つ在る。1つは『金の無い不幸』で、もう1つは『金の在る不幸』。」といった台詞が登場するが、金に翻弄される者達の姿は、決して他人事では無い。綺麗事を並べ立て乍ら、人事部では無く調達部で派遣社員を集め、安く使い捨てて行く大企業。人間の持つエゴを感じさせられた。
エゴの象徴の如き人物「劉一華」も、その経歴を知ると何とも言えない感情を覚えてしまう。玉山氏は、その微妙さ加減を上手く演じている。又、感情を失ってしまったかの様な冷静さを持つ鷲津を演じた大森氏も、なかなかの雰囲気を持った役者だ。今回の記事を書く上で初めて知ったのだが、彼の父親は舞踏家にして怪優の麿赤児氏との事。「蛙の子は蛙」とは上手く言ったものだ。
芝野と鷲津の遣り取りの中で、次の言葉が特に印象に残った。
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芝野: 「これからどうするんだ?」
鷲津: 「見て行きますよ、焼け野原を。資本主義のね。」
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生き馬の目を抜く経済界を描いたこの作品。余り期待していなかっただけに、満足度は高かった。総合評価は星4つ。
世界金融危機の前夜。日本のマーケットに絶望し、表舞台から姿を消した天才ファンド・マネージャーの鷲津政彦(大森南朋氏)の元に、嘗ての盟友・芝野健夫(柴田恭平氏)が現れる。「中国系巨大ファンドが買収に乗り出した、大手自動車メーカー『アカマ自動車』を危機から救って欲しい。」と言うのだ。日本を代表する大企業「アカマ」の前に突如現れたのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華(玉山鉄二氏)。日本企業の高い技術力を奪うべく、潤沢な資金を元に攻勢を掛ける中国ファンド。“巨大な敵”を前にして、苦戦を強いられる鷲津は・・・。
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真山仁氏の同題の小説を元に、2年前に放送されたドラマ「ハゲタカ」。かなり好評を得た様だが、経済関係がどうも苦手な自分は見ないままに来てしまった。そのドラマの時代設定から後を描いたという映画「ハゲタカ」を、先日観る事に。
「ホワイトナイト」やら「敵対的買収」やらと、今となっては懐かしさすら覚える用語が飛び交っている。「ニッポン放送買収騒ぎ」が起こったのは、もう4年前の事。「今更『ハゲタカ』もないのでは?」という声も結構在った様に聞いている。自分も正直「時宜を逸した作品ではないか?」という思いが。
この映画を製作する過程でリーマン・ショックが発生する等、世界の経済環境は大きく揺れ動いた。当初予定されていた脚本も「このままでは時代に合わない。」と、大幅に書き直されたそうだ。「TVドラマの時代設定から4年後の日本」を最初は舞台に考えていたものの、結局は「現在の時間軸に合わせた日本」に変えたとも。結果的に言えば、この製作者サイドの判断は正解だったと思う。この判断が功を奏し、上記した様な「古臭い無いようになるのでは?」という不安が杞憂となったからだ。
経済音痴の自分でも、夢中になってしまうストーリー展開。「経済の世界」を描きつつ、メインでは「様々な思惑を抱えた人間達」を描いているので。「世の中の不幸は2つ在る。1つは『金の無い不幸』で、もう1つは『金の在る不幸』。」といった台詞が登場するが、金に翻弄される者達の姿は、決して他人事では無い。綺麗事を並べ立て乍ら、人事部では無く調達部で派遣社員を集め、安く使い捨てて行く大企業。人間の持つエゴを感じさせられた。
エゴの象徴の如き人物「劉一華」も、その経歴を知ると何とも言えない感情を覚えてしまう。玉山氏は、その微妙さ加減を上手く演じている。又、感情を失ってしまったかの様な冷静さを持つ鷲津を演じた大森氏も、なかなかの雰囲気を持った役者だ。今回の記事を書く上で初めて知ったのだが、彼の父親は舞踏家にして怪優の麿赤児氏との事。「蛙の子は蛙」とは上手く言ったものだ。
芝野と鷲津の遣り取りの中で、次の言葉が特に印象に残った。
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芝野: 「これからどうするんだ?」
鷲津: 「見て行きますよ、焼け野原を。資本主義のね。」
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生き馬の目を抜く経済界を描いたこの作品。余り期待していなかっただけに、満足度は高かった。総合評価は星4つ。
・・・^±^ノ
気に入っちゃいました、このセリフ。
はやるかもしれませんね。^±^
評価が高く、その後も何度か再放送されましたが、その都度時間が合わなかったり、録画撮りに失敗したり・・・。よほど縁が無いのかなと思っていました。
ところが一昨年の暮れ、癌の手術で入院中に、連夜のアンコール放送があって、一挙に通しで見ることが出来ました。期待にたがわず、見ごたえがありました。
人と人の縁はもちろん、こういった事柄との縁にも不思議なものを感じてしまいます。
映画の方はDVDになってから、家でじっくり見ようと思ってます。
原油市場に投機マネーがどっと流れ込み、その結果、昨年は原油価格の異常な高騰が問題となりました。我々現代人が生活して行く上で、原油は必要不可欠な存在。マネーゲームの一環とはいえ、さもしさを感じてしまう話。そしてサブプライムローンが住宅問題で弾け、世界的な経済危機を迎え、原油市場に流入していたマネーが一旦は止まった。しかし経済危機の底が見え始めると見るや、再び原油市場でのマネーゲームが始まり、原油価格は再び高騰し始めている。こんな不毛な遊びを、一体何時迄続けるつもりなのでしょうかね・・・。