ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「カウントダウン」

2010年12月08日 | 書籍関連
此の時期になると「ミステリーの年間ベスト10」が発表されるが、自分が毎年注目しているのは「本格ミステリ・ベスト10」(発行元:原書房)、「このミステリーがすごい!」(発行元:宝島社)、そして「週刊文春ミステリーベスト10」(発行元:文藝春秋)の3つ。先陣を切って先週、今年の「本格ミステリベスト10」が発表された様だ。「様だ」と書いたのは、書店に足を運んだものの現物を確認出来なかった此方詳細載っていたので、参考にさせて貰った。

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【2011年版「本格ミステリ・ベスト10(国内編)」】

1位:  「隻眼の少女」(麻耶雄嵩氏)  
2位:  「叫びと祈り」(梓崎優氏)  
3位:  「水魑の如き沈むもの」(三津田信三氏)
4位:  「綺想宮殺人事件」(芦辺拓氏)
5位:  「アルバトロスは羽ばたかない」(七河迦南氏)
6位:  「貴族探偵」(麻耶雄嵩氏)
7位:  「写楽 閉じた国の幻」(島田荘司氏)  
8位:  「丸太町ルヴォワール」(円居挽氏)
9位:  「謎解きはディナーのあとで」(東川篤哉氏)
10位: 「こめぐら」(倉知淳氏)
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此のベスト10の中で、読んだ作品は皆無大体、初めて目にした作家名が殆どで、「どういう読み方をするのか?」や「女性なのか男性なのか?」すら判らないケースも。ミステリー・ファンを名乗るのは痴がましい状況、時間を見付けて少しずつ此れ等の作品を読破したいと思っている。

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北海道夕張市隣接する「幌岡市」。市長として5期目を終えようとしている大田原昭夫は、大手炭坑閉山後、リゾート開発に過剰投資した事で市の財政を悪化させたが、巧み借入金処理で市の債務を隠し続けて来た。しかし北海道庁の調べが入った事で、債務が百億円を超している事が白日の下に晒され、幌岡市は夕張市と同様に「財政再建団体」入りする事に。過酷な負担を課せられる事になる幌岡市民を尻目に、大田原は6期目を目指す意向を明らかにする。最年少市議の森下直樹は仲間や恩師等の応援を受け、打倒大田原を期し期して市長選に立候補するが、大田原の息が掛かった人物が多くの要職を占める状況下、様々な妨害工作を受ける事に。幌岡市民は、誰を市長に選ぶのか?
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「財政再建団体入りした夕張市の市民達に、どれ程の厳しい現実が待っているか。」に付いてを4年前の記事で触れたが、其の夕張市で生まれ育った作家・佐々木譲氏にとっては「故郷が何故、こんな状態になってしまったのか?」という哀しみや寂しさが強く在るのだろう。同氏の小説「カウントダウン」では「幌岡市」という架空の市を登場させ、其の現状を描く事で、複雑な思いの発露している様に感じられた。

大田原派の議員が絶対多数を占める市議会では、市が財政破綻の状態に在る事を以前より認識はしている。しかし「何とかなるさ。」といった無根拠な思いを殆どの議員が持っており、其の事で財政は更なる悪化へと突き進んでしまった。財政再建団体入りする事が明らかになった後ですら、議員達に危機感の欠片も感じられないのだが、「現実問題として、こういった議員は多いのだろうなあ。」という気がする。

ストーリーとして面白くない訳では無いのだけれど、直木賞受賞作家の作品としては如何な物か?言葉は良くないけれど、「安っぽい2時間ドラマの様な、見覚えの在る内容。」といった感じがしたので。

厳しいかもしれないけれど、総合評価は星2.5個とさせて貰う。

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