ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「リバース」

2015年07月22日 | 書籍関連

*********************************

深瀬和久(ふかせ かずひさ)は、平凡を絵に描いた様なサラリーマンで、趣味らしい事と言えば、コーヒーを飲む事だった。其ので、越智美穂子(おち みほこ)という彼女も出来て、漸く自分の人生にも彩りが添えられる・・・と思った矢先、謎の告発文が彼女に送り付けられた。其処にはたった一行、「深瀬和久は人殺しだ。」と書かれていた。深瀬を問い詰める美穂子。深瀬は懊悩する。「遂に、“彼の事”を話す時が来てしまったのか。」と。

*********************************

 

3年前の夏、大学ゼミ仲間だった村井隆明(むらい たかあき)、谷原康生(たにはら やすお)、浅見康介(あさみ こうすけ)、広沢由樹(ひろさわ よしき)、そして深瀬和久の5人は、村上の叔父が所有する別荘を使わせて貰えるという事で、斑丘高原に遊びに行く事になるのだが、其処で広沢が自動車で転落死してしまう。転落死のには或る事実が隠されており、残された4人は皆が皆「自分の所為で、広沢は死んでしまった。」という思いを抱えているのだけれど、暗黙の了解として其の或る事実を、他の人間には一切口外せずに生きて来た。然し、事故から3年が経って、4人の周りに彼等を人殺しと糾弾する告発文が送り付けられる。湊かなえさんの小説リバース」は、そんなストーリーだ。

 

デビュー作「告白」がベスト・セラーとなり、一躍人気作家の仲間入りを果たした湊さんだが、自分は彼女の作品に余り魅力を感じて来なかった。と言うのも、ストーリー自体に深みが感じられなかったし、何よりもワンパターン作風が続いている事に、辟易とした思いが在ったので。

 

けれど、去年刊行された「物語のおわり」から、意識的に作風を変えて来た感じが在り、今回の「リバース」に到っては、「著者名を確認せずに中身を読んだら、湊作品と気付かない人も多そう。」な気がする。“良い意味で”変化した。

 

告発文を送り付けて来た人間に関しては、早い段階で察しが付いた。ミステリーを読み込んでいる人ならば「矢張りなあ。」という感じだろう。でも、最後の最後に判明する「広沢を“殺した”真犯人」には、「うわー、そう来たかあ!」という遣られたが。(後味の悪さは在るけれど)此の点に関しては、伏線の敷き方の上手さに拍手。

 

総合評価は星4つに近い、星3.5個とする。


コメント    この記事についてブログを書く
« 壇蜜さんの意外な“顔” | トップ | イメージと異なる“季語” »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。