蒸し暑い日々も終わりを告げ、数日前からは大好きな金木犀の香りが漂い始めた。此の香りを嗅ぐと、「秋になったなあ。」と感じる。1ヶ月程経てば、銀杏の木の下に沢山の種子が落ちている事だろう。銀杏は好物の1つなので、今から楽しみにしている。
時候の挨拶の様な書き出しで始めた今日の記事、取り上げるのは「季節の移ろい」とは全く無関係な内容。一昨日見たテレビ番組付いて、記してみたい。
先ずは、TBS系列で放送された「炎の体育会TV 2012秋~超豪華2時間SP~」に付いて。「運動神経の良い男性御笑いタレントが女性プロ・スポーツ選手を相手に、ハンディキャップや変則ルールの下で、スポーツ対決を行う。」というコンセプトの此の番組、肝心な御笑いが全く面白くない御笑いタレントも少なからず出演しているが、必死で対決している姿には魅了される。定番となった対決も結構在り、特に好きなのは渡辺正行氏が主将を務める「剣道対決」。今年で56歳になった彼の真剣さには心が打たれるし、何とか勝たせて上げたいのだが・・・。
で、一昨日行われた2時間SPも面白かったのだが、最後に行われたシュート・ボクシングでは興醒めさせられる場面が。46歳の今田耕司氏が23歳のシュートボクサー・未奈さんと対決したのだが、此の対決自体は見応えが在った。問題は今田氏が敗退した直後、スタジオ内の“後輩の御笑いタレント達”が口々に「兄さん、感動しました!!」、「兄さん、在り難う御座います!!」等と叫んでいた事。
タモリ氏が口にした全く面白くない話(スタジオの客すらも、苦笑しているレヴェルの話。)でも、大袈裟過ぎるリアクションで「タモさんったらー、もう面白過ぎ~っ!」といった見え見えのよいしょをする久本雅美さんにはげんなりさせられていたが、「兄さん、感動しました!!」や「兄さん、在り難う御座います!!」といった露骨な「馴れ合い意識」も又、見ている側を白けさせるだけではないか?“素材”としては面白い番組だけに、「感動の押し付け」や「馴れ合い」は不要だ。
そして、もう1つの番組はフジテレビ系列で放送された「土曜プレミアム・爆笑レッドカーペット史上最強オールスター歴代王者大集結SP]だ。「爆笑レッドカーペット」は可成り前に、1度だけ見た事が在る。其の時は面白さを感じなかったので、一寸見ただけで止めてしまったのだが・・・。
今回は30分程見たのだが、思ったのは「自分には、特別ゲストや審査員は務まらないなあ。」という事。仮令何れだけ高額なギャラを提示されたとしても、全く面白くないネタに対して笑う“振り”をしたり、「凄く面白いです。」と言ったり、高得点を付けたりする事は、御笑い大好き人間として出来ないから。
其れ位、面白いネタが無かった。笑いの壺は人によって異なるし、自分が面白いと思わないネタでも、「面白い。」と感じる人が居るのは充分判っているが、其れにしたって彼の内容で場内が大爆笑したり、審査員達が満点を連発するというのは、子供の頃から御笑い番組を見て育って来た自分には疑問。“普通に”登場しただけで笑ったりしているスタジオの客を目にすると、「仕込みの客か?其れとも『今日は、絶対に笑って遣るぞ!』という強い思いで訪れた客許りなのか?」と思ってしまうし、御愛想笑いの様な笑みを浮かべたり、無理無理に面白かったポイントを口にしている様な審査員達には、正直痛々しさを感じたりも。
中堅クラスの某御笑いタレントが「○○って、凄く面白いよ。」と、自身が司会をしている番組で良く呼んでいる御笑いタレントも此の番組の常連の様だが、物真似は上手いと思うものの、彼女のネタで笑えた事は殆ど無い。一昨日の番組でも全く面白さを感じ得ず、途中でチャンネルを変えてしまった程。
上記した様に「笑いの壺は人によって異なり、自分が面白くないと思うネタでも、『面白い。』と感じる人は居る。」だろうけれど、少なくとも妙な「馴れ合い」は持ち込まないで貰いたい。そういう馴れ合い意識は、ヴァラエティー番組を駄目にするだけなので。
お笑いタレントを呼んで、仲間内でふざけ合い馬鹿騒ぎしているのを見て、こんな馴れ合いを公共の電波で流すなよ! と思うようになったのはいつの頃からかな。
この手の番組で唯一例外的に「たまに」見るのは、クイズ形式のものぐらい。
昔テレビが一般に普及し始めた頃、一億総白痴化と言われた事がありましたが、今がまさにそんな感じ。こんな番組が乱立するのは、それなりの視聴率を取っているからなのでしょう。
「面白くも無いバラエティー番組を見ながら、へらへら笑っている視聴者の姿」を想像してしまい、ゾッとします。
馬鹿馬鹿しい番組は嫌いじゃ在りませんが、飽く迄も「真剣に馬鹿馬鹿しさを追求した番組」が好きなので在って、近年目立つ「馴れ合いの中から生まれた、生温い番組。」は嫌いです。
景気低迷による、制作予算の大幅削減が影響しているのでしょうが、ギャラの安い若手&中堅クラスの御笑いタレント(雛壇芸人)を並べただけの番組には、辟易としてしまう物が多い。肝心な芸も無く、話す内容も「誰々さんの派閥に入っていて、先日は飲み会に誘われた。」みたいな、どうでも良い“内輪話”許り。そんなのを面白がっている視聴者が居るのが不思議なのですが、視聴率を稼いでいるとしたら、需要は在るのでしょうね。本当に不思議です。
「ブレイクしたのがこのネタってことは、それまではどんだけつまらなかったんだ?それとも、以前はもっと味のあるネタをやっていたものの、お客さんがわかってくれなくて、手っ取り早くウケるためにこういう芸風にしたのか?」などと考えてしまいます。もしかしたら、味のあるネタはスターダムに乗るために使い果たしてしまったのかもしれません。現在はいったん売れたらどこの局もこぞって起用してくれて、仕事の内容はひな壇やレポーターが主ですから、ステージ披露用のネタを錆びつかせている芸人も多いのではないかと思います。
歌手や俳優、スポーツ選手のトークショーで内輪話が受けるのは、彼らやその同業者は歌、芝居、競技といった「芸」がちゃんとあり、仕事人としての姿とオフの時の落差が、聞いている側にとって興味深いからであって、肝心な「芸」がなかったら、そこらの人の井戸端会議と変わらないと思うのです。
こういう内輪話を展開する番組が少しはあってもいいですが、どこの局もがやる必要はないし、ゴールデンタイムではなく準深夜(23時ごろ)に放映すべきだと考えます。「準深夜で試験的に放映して、評判が良ければゴールデンへ」というのは、番組スタッフや出演者のモチベーションアップにつながっている面は大いにあるでしょう。しかし、準深夜ものとしては面白くとも、ゴールデンとしては不足という番組がゴールデンを張っているのが現在の状況です。準深夜で評判が良くても、必ずしもゴールデンに昇格させる必要はないと思います。
今年の正月、「嫌いな同業者をぶっちゃける」番組の番宣が流れていました。何でわざわざ、めでたい三が日の夜9時にそんな企画をやるのだ…。
テレビ番組って抑、露悪的な面が在って良いと思っているんです。「品行方正な内容」許りというのも、何処ぞの独裁国家の様な不気味さを感じるし。
露悪的な面の中には、御笑いタレントの“内輪話”も入るでしょうけれど、其れしか出来ない御笑いタレントというのも、「自らの無能さ」を曝け出している様で、「プライドって物が無いの?」と思ってしまいます。(「内輪話で在っても、視聴者の関心を惹き付けられるなら、其れは立派な芸。」と考えられる人も居られるのでしょうが・・・。)
テレビ局も出演する人間も、TPOに合わせた番組作りを考えて欲しい。(「内輪話は、深夜帯で遣る。」というのも一案だと思います。)金太郎飴の如く、何処を切っても同じというのでは、余りに能が無い。
時代劇も減っていますが、お笑いもだんだん減っていくのでしょうか?(そうそう、時代劇も昔よりもなぜかちゃっちく感じてしまい、役者さんも???という感じで、時代劇ファンの私には「ふざけるな!」という怒りが湧いてきて、見る気になれないのです)
家族みんなで素直に笑える「お笑い」が、また見られる日を待っていますが・・・。
昔に比べると接せられる情報が格段と増え、趣味や嗜好も多様化している現代に在っては、「家族揃って楽しめる番組」というのも中々難しいかもしれませんね。ヴァラエティー番組1つ取っても、若い人達は概して「瞬発系の笑い」を好み勝ち。「起承転結の笑い」はまどろっこしく感じるのか、一発芸的な物が好まれる気が。M-1ではジワジワと笑いが湧き上がって来る様なネタも見られたけど、其れ以外の番組では中々見られないし。
時代劇は視聴率が取れないと言われますが、時代劇専門チャンネルは加入者が増えているとか。要は、内容なのでしょうね。
ドラマでは“今が旬”というだけで掻き集められた様なキャスティングが目立ち、肝心のストーリーも似たり寄ったりの物が目立つ。「ジャニーズで1、2を争う芝居上手。」なんて評される人も、「飽く迄もジャニーズの中では上手いのだろうけれど、俳優全体で言えば然程上手いとも感じない。」と個人的には感じています。なのに、次から次へと主役を張り、其れなりの視聴率が稼げてしまう。「本当に此れで良いのかなあ?」と、元祖テレビっ子の自分なんぞは思ってしまいます。
芸で勝負すると、いう本来の笑いを
テレビで見たいものなのに
トークすることで瞬発力の笑いで済ませる。
それができるかできないかで
プロのお笑い芸人が決まると、いうふうに
なってしまっている。
ひな壇トークで笑いをとることしか出来ないのは
真のお笑い芸人ではないと思うので。
こういう反則がまかり通るいまのテレビは
廃れるだけ。いや、廃れてみないと
わからないと、言うところまで来ている。
そう言わざるを得ません。
どうしても見たければお笑いのコントライブで
と、テレビの作り手側が思い込んで手抜き
しているのがいまのTVバラエティなんです。
これでは見る気をなくすのも当然でしょう。
いまの社会だって馴れ合いが通じなくなっているのに
芸能界にテレビの番組にこういうウソっぽい
やらせくさいのがあると他のチャンネル
ニュース、情報番組などにチェンジしています。
ビートたけし氏は自分が好きな芸人(個人的には御笑いに従事する人を表記する際、芸の在る人物を「芸人」、そして芸が感じられない人物は「御笑いタレント」としていますが。)ですが、全盛期の彼を思うと、今の彼は「惰性で熟しているなあ。」と哀しく感じる事が多いです。マシンガンの様に喋る姿を思うと、言葉に詰まるケースもしばしば見受けられ、「老けたなあ・・・。」と。
事程然様に、昔の芸人が全て良く、今の御笑いタレントが全て悪いとは思っておらず、若手の中にも「芸人」は居ます。要は「芸人」と「御笑いタレント」のレヴェル差が、格段に離れてしまった感じですね。
「見る側が、長いネタを好まない。」、「作り手が、短い時間でのネタ見せを望んでいる。」等、「作り込んだ笑いをしたい。」と思っている若手芸人でも、其れが出来ない環境というのも在るのかもしれません。
政治もそうですが、御笑いの世界も国民(政治の場合は「有権者」、御笑いの場合は「視聴者」という事になりましょうが。)のレヴェルが低ければ、政治家や御笑いタレントも質が下がるという事は在りましょう。