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10年前、洋食屋を営んでいた父親が通り魔に殺されて以来、母親も失踪、其れ其れ別の親戚に引き取られ、不遇を託つ日々を送っていた小林(こばやし)姉妹。
然し、妹の妃奈(ひな)が遺体で発見された事から、運命の輪は再び回り出す。
被害者で在る筈の妃奈に、「生前保険金殺人を行なっていたのではないか?」という疑惑が掛けられる中、
妹の潔白を信じる姉の美桜(みお)は、其の疑いを晴らすべく、行動を開始する。
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第21回(2022年)「『このミステリーがすごい!』大賞」で文庫グランプリを受賞した小説「レモンと殺人鬼」(著者:くわがきあゆさん)は、「殺された妹の冤罪を信じ、自ら調査を開始した小林美桜が、軈て『10年前の父親殺害事件』との関係性に気付かされる。」というストーリー。
二転三転どころか、四転五転して行く展開は、面白さが無い訳では無い。意外な人間関係や正体にも、「そうだったのか。」という驚きが無い訳では無い。
だが、個人的には“好きな作風”とは違う。「人間の持つ“悪なる部分”が、矢鱈と描かれている事。」や「残酷で猟奇的な事件を起こした加害者の心理(犯行動機)が全く理解出来ない事。」、そして何よりも「偶然に頼り過ぎた設定(人と人との接点等。)」が、自分には好ましく思えないのだ。「レモンと殺人鬼」というタイトルも、内容を読むとぴんと来ない物が在る。
総合評価は、星2.5個とする。