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「中国で象の群れが謎の北進 環境の変化?道迷い?」(5月29日、朝日新聞)
中国南部の雲南省で、亜細亜象の群れが、生息地の北限を越える様な謎の北進を続けている。5月下旬には、此れ迄象が現れた事が無い街に入り込み、住民が避難する騒ぎも起きた。警察等が餌で誘導する等して迂回を促しつつ、経過を見守っている。
中国メディアによると、同省シーサンパンナ・タイ族自治州のミャンマー国境近くの自然保護区に居た15頭程の群れが、2020年春、突然北進を始めた。同年末には約400km離れた墨江ハニ族自治県に入り、北回帰線を越えた。同県に入るのは中国で象の生態観測が始まってから初めてで、現代の生息地域の北限を越えた可能性が在る。付近で暫く過ごしていたが、今年4月に再び北へ向けて歩き出し、5月下旬迄に約100km進み、省都・昆明迄100km程に迫っている。
人里近くの畑が踏み荒らされたり、玉蜀黍が食べられたりする被害が出ている。被害額は最近の40日間で680万元(約1億2千万円)に上るとされ、地元政府が加入する野生動物被害の保険で賄われる事になると言う。人が近付けば興奮して人的被害に繋がる可能性が在る為、地元の消防隊等は街や集落の入り口に車等の障害物を置く等して、人の居ない方向への誘導を続けている。 亜細亜象の主な生息地はインドや東南アジアで、中国南部が北限とされる。中国政府の国家林業・草原局によると、中国では絶滅危惧種とされて約300頭が生息するが、此れ迄は北回帰線の南の地域で活動していた。
異例の移動の原因に付いては明らかになっておらず、中国メディアは専門家達の「環境の変化で保護区の餌が少なくなり、引っ越し先を捜しているのではないか。」、「群れのリーダーが経験不足で、道に迷ったのかも知れない。」等との見方を伝えている。
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8年前の記事「北海道には元々居なかった」の中で、「元々は青森県が生息の北限だった甲虫が、今は北海道の略 全域に生息している。」事を記した。「38年程前からペットとして飼われていた個体が逃げ出したり、飼い主が野に放ったりした事により、道内の略全域に繁殖して行った。」という事だった。「甲虫は元々熱帯に生息する昆虫なので、寒さには弱いのだが、幼虫は主に堆肥の中で育ち、発酵熱の温かさで生き延びられている。」と。
甲虫の北限が北上したのは人為的な理由だが、「他の動植物でも、北限が北上した。」という話は結構見聞する。地球温暖化の影響が理由の様だが、今回の亜細亜象も「環境の変化で保護区の餌が少なくなり、引っ越し先を捜しているのではないか。」という説が正しいならば、抑の原因は地球温暖化に在る可能性が高そう。