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峰岸晄(みねぎし こう)は5歳で伯父夫婦に引き取られ、空腹を抱え乍ら育った。母は死に、父は人を殺したからだった。学校では、椅子に画鋲が置いて在った、虐めに遭った。幼馴染みの木下怜菜(きのした れいな)は、万引き迄させられる晄を唯1人、案じてくれる存在だった。全き孤独の闇の中で、晄が向かう先は・・・。
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貫井徳郎氏の小説「我が心の底の光」は、「育児放棄の母」と「其の母を殺害した父」の間に生まれた晄の14歳から29歳迄の“人生”を描いている。“日”と“光”、即ち“日光”という漢字で構成された名前の「晄」だが、其の生い立ちは闇其の物。両親から捨てられ、幼くして死に直面させられる等、余りにも過酷だ。
そんな晄が、次々に他者を闇に引き摺り込んで行く。結末も含めて、全く救いが感じられないストーリー。読んでいて、辛くなる一方。
「晄」と「闇に引き摺り込まれて行く他者」との関係性に付いては、早い段階で見当が付いた。「そうも上手く、“相手”を見付けられるものか?」という御都合主義的展開は否めない。
又、心から寄り添おうとしている人間を冷酷に切り捨てる一方、「そんな理由で、此奴を必死で守るの!?」という晄の行動は、ハッキリ言って理解不能。
感情移入が出来ない作品で、総合評価は星2つ。