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療養型病院にピエロの仮面を被った強盗犯が籠城し、自らが撃った女の治療を要求した。先輩医師の代わりに当直バイトを務める外科医・速水秀悟(はやみず しゅうご)は、事件に巻き込まれる。秀悟は女を治療し、脱出を試みる内、病院に隠された秘密を知る。そして「彼女だけは救いたい。」と心に誓う。閉ざされた病院で繰り広げられる究極の心理戦。迎える衝撃の結末とは。
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医師で在り作家でも在る知念実希人が、5年前に上梓した作品「仮面病棟」。銃を持ったピエロが籠城する病院には、60人以上の寝た切り患者と病院のスタッフ等5人が人質となった。嘗ては精神科病院だった名残で、院内は刑務所の様な鉄格子の窓と扉が備え付けられている等、外に逃げ出せる状況には無い。籠城事件が発生している事を警察は全く知らず、何故か電波が遮断されている様で、携帯電話は圏外になって繋がらない。固定電話のコードも切断されており、外部に連絡を一切取れない。ミステリーでは良く使われる“クローズド・サークル(閉ざされた空間)”を舞台にした作品。
“医師でも在る作家の作品”という事で期待するのは、医療現場のリアルな描写。でも、残念な事に此の作品には、そういう描写が皆無に等しい。キャラクター設定に深みが無いのも、凄く残念。
“残念さ”で溢れる「仮面病棟」、最も残念なのはストーリーだろう。幾ら外部に発生が知られていないとはいえ、人質を取った籠城事件ならば“確実に行われる行為”が、一切されていない不自然さ。「現実的では無いなあ。」と感じるも、「何故、そういう非現実的な行為が許されているのか?」に疑問を持てば、事件の真相に辿り着くのは、そう難しい事では無いだろう。病院に隠された秘密、犯行動機、“犯人”(正確に書くならば“別の表現”になるのだけれど、ネタバレになってしまうので控える。)の正体、結末等、多くの事が早い段階で読めてしまった。
期待して読み始めただけに、読後の失望感が大きい。総合評価は、星2.5個とする。