ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「往復書簡」

2010年12月14日 | 書籍関連
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手紙だから付ける嘘。手紙だから許せる罪。手紙だから出来る告白。過去の残酷な事件の真相が、手紙の遣り取りによって明かされて行く。衝撃の結末と温かい感動。書簡形式の連作ミステリー

は本当に事故だったのだと、私に納得させて下さい。」。高校卒業以来10年振りに放送部の同級生が集まった地元での結婚式。女子4人の内1人だけ欠けた千秋は、行方不明だと言う。其処には5年前の或る「事故」が影を落としていた。真実を知りたい悦子は、式の後日、事故現場に居たというあずみと静香に手紙を送るが・・・。
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湊かなえさんの小説「往復書簡」は「十年後の卒業文集」、「二十年後の宿題」、そして「十五年後の補習」という3うの短編小説から構成されている。どの作品も遣り取りされた手紙を通して、ストーリーは展開されているのだが、湊さんが得意とする「モノローグ・スタイル」なのは変わりが無い。

遣り取りの最初はまあ普通の内容なのだが、回数を経るに「人間の持つ暗部」が晒されて行く。どろどろとした悍ましい部分も在り、重い気持ちになってしまうのだが、冒頭梗概を記した「十年後の卒業文集」以外の2編は、最後の最後に「救い」が感じられる。

刊行された湊作品は此れで6作品目だが、「どんどん質が落ちている。」とは言わないも、質の向上が見られない様に感じてならない。毎回モノローグ・スタイルの作品というのが、マンネリ感を募らせる。同じモノローグ・スタイルを貫く事自体は決して悪い事では無いけれど、其れならば毎回、多くの読者を唖然茫然とさせる“大トリック”を用いなければ、作家としての彼女の未来は明るくない気がする。実際問題、2008年度のミステリー界では彼女の処女作告白」が大絶賛されたけれど、昨年及び今年に刊行された彼女の作品で、“一般的に”高い評価を得た物は無かったと思うし。

総合評価は星2.5個

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