*********************************
「今日は、章子(あきこ)。私は、20年後の貴方です。」。或る日、突然届いた1通の手紙。送り主は、未来の自分だと言うが・・・。
*********************************
「読んで嫌な気分になるミステリー。」の事を“イヤミス”と呼んだりするが、そういう作品を十八番にする代表格が湊かなえさんだ。文壇デビュー作「告白」が大ヒットを記録し、一躍人気作家の仲間入りを果たした彼女。デビューから10年という節目を迎え、書き下ろし作品として上梓されたのが、今回読了した「未来」。
「10歳の章子と亜里沙(ありさ)。同級生の彼女の下に其れ其れ、“20年後の自分”から手紙が届く。」という設定で、彼女達が“20年後の自分”に宛てた返信の内容により、“今の彼女達”が置かれた辛い環境が次々と明らかになって行く。
当ブログを古くから読んで下さっている方ならば御判りの事と思うが、自分は湊かなえ作品を評価していない。プロの作家に対し、こんな失礼な事を書くのは申し訳無いけれど、「文章が稚拙で在り、ストーリー展開がワンパターン。」なのが、どうにも引っ掛かるのだ。だから、彼女の作品が直木賞候補になった時は、「受賞という事になったら、自分の中で直木賞の価値が下がるなあ。」と思ったもの。
「だったら、彼女の作品を読まなければ良いではないか?」という声も在ろう。確かにそうだ。其れなのに読み続けてしまうのだから、彼女の作品に何等かの魅力が在るのだろう。
SF作品なら話は別だが、「“20年後の自分”から手紙が届く。」というのは、普通考えられない。そうなると、誰かが“20年後の自分”を名乗って送って来ているという事になるし、其れが誰なのかは消去法で容易に察しが付いた。
幾らイヤミスの代表格とは言え、不快な設定を「此れでもか!」と盛り込まれると、イヤミス・ファンで在っても「うんざり。」と感じてしまうのではないか?
又、「文章が稚拙で在り、ストーリー展開がワンパターン。」という欠点だが、何作か前に少し改善された感じが在ったけれど、今回の作品では再び元に戻ってしまった。文章のみならず設定も雑で、此の作品が直木賞候補になったのが全く理解出来ない。
総合評価は、星2つとする。