「“戦後の大スター”として、名前が思い浮かぶのは誰?」と問われたならば、長嶋茂雄氏や美空ひばりさん等と並び、上位に名前が挙がるで在ろうプロレスラーの力道山氏。空手チョップで外国人レスラーを次々に倒す彼の姿に、敗戦で自信を失っていた多くの日本人は勇気付けられたと言う。
そんな彼が暴漢に刺され、急死したのは1963年12月15日の事。享年39歳という若さだった。そして一昨日、彼が非業の最期を遂げてから、丁度50年が経った。池上本門寺に在る彼の墓の前で、没後50年の法要が営まれたと言う。報道によれば息子・百田光雄氏(65歳)や孫・力氏(32歳)の他、現役プロレスラー、ファン等が参列し、其の数は「50人以上」と記されていた。
「50人以上」という数を、どう捉えるか?人によって其れ其れ異なるだろうが、自分は「戦後の大スターの法要にしては、少ないなあ。」と感じた。唯、「半世紀」という時の長さを考えると、「其れも、仕方無いのかも。」と思う部分も在る。力道山氏の活躍に胸をときめかせていた人達も、仮に当時10歳だったら、今や還暦を迎えているのだから。人様の法要よりも、自らの周りの法要に意識が行っていても、おかしくない。
本題に入るが、「世間で『増加』が指摘されていたけれど、身近には感じていなかった。でも、近しい人間の身に降り掛かった事で、『本当に増加しているんだなあ。』と痛感させられた事柄。」に付いて、今日は書いてみる。先に断わっておくが、個人情報等の絡みから、以下の内容には「曖昧な表記」や「一部事実と異なる点」が在る。唯、「一部事実と異なる点」は在るけれど、重要な部分に関しては全くの事実なので、其の辺を御了承戴きたい。
先ずは、「徘徊老人」の件。“高齢化社会”では無く、“超高齢社会”に突入した我が国では、認知症患者が増加している。其れに伴い、「家や施設を抜け出して、街中を無意味に彷徨う。」という所謂「徘徊老人」を、見掛ける機会も増えているという話は見聞していた。数年前だが親戚から、「近所に住む御爺さんが徘徊老人となり、内の庭に入って来ては脱糞したりして困っている。昔は教師をしていて、確りした人だったんだけど。」という話も聞いていたし。
先達て、近所に住む知人が、自宅前で60代と思しき女性から声を掛けられたそうだ。行き成り「判らない・・・判らない・・・判らない・・・誰も教えてくれない・・・。」と言うので、「何が判らないんですか?」と問うた所、「判らない・・・判らない・・・判らない・・・誰も教えてくれない・・・。」を繰り返す許り。ポケットに両手を突っ込んだ状態でモゾモゾしているので、「刃物でも出すんじゃないか。」という怖さも在り、対応が大変だった様だ。
で、後日、近所の人達に其の話をした所、「徘徊老人から声を掛けられ、対応に困ってしまった。」という人が何人か居り、話を詳しく聞くと、知人が遭った人物とは異なっていた。どうやら、そういった人物が数人居る様だ。確かに、高齢者が多い地域では在る。でも、自分自身は此れ迄、徘徊老人と思しき人に出会した事が無かったから、意外な思いが在ったのは事実だ。
もう1つは、「振込め詐欺」に付いて。「今年1~10月の振り込め詐欺の被害額は約383億円に上り、2012年1年間の約364億円を既に上回った。4年連続の増加、2年連続で過去最高額を更新。」と、今月頭に報じられた。最近、知人3人が振り込め詐欺の電話を受けたというのを知り、「本当に増えているのだなあ。」と実感。
3人の内2人は、以前にも振り込め詐欺の電話を受けた経験が在る。3人共、結果的には被害に遭わなかったのだけれど、危うく引っ掛かりそうにはなったらしい。自分が一番驚いたのは、其の内の1人が「振り込め詐欺に、絶対に引っ掛かりそうにも無いタイプの人。」だったから。非常に確りしており、慎重な対応が出来る人間で、振り込め詐欺に付いても多くの情報を得ていた。「何で騙されるのか、理解に苦しむ。」いう自分の考えに、「俺も同感。」と言っていたのだが・・・。
「厄介な病気になってしまったかもしれない。」、地方に住む子供を装った“犯人”は、そう切り出したそうだ。「厄介な病気」というのに、普段は冷静な彼もパニックに陥ってしまった。其の時の電話では「金銭」に触れる事が無かったのも、振込め詐欺と思わせなかった要因。「後日、改めて電話を掛けて来て、其の時に初めて金銭を要求する。」という手口だったが、彼から話を聞いた家人が「おかしい。」と指摘。警察に相談した事で、被害に遭わずに済んだ。
「絶対に騙されない自信が在ったのに・・・。」と、彼は非常に落ち込んでいた。誠実な彼を嵌め様とした犯人に、強い怒りを覚える。
私の大伯母の徘徊は小中学生が既に登校し終わった時間帯に行われたのでまだよかった。大伯母の「現場」を他の子に見られてしまったら、見てしまった子も気まずい思いをしたでしょう。狭い町で住民同士の人物相関が把握されており、「○○ちゃんの親戚のおばあさんがこういうことをしていたぞ」にもなりかねない。「病気がそうさせているんだ」と思えて、そっとしておきつつも可能ならば家族にだけ連絡するというのは、小学生の段階では誰にでもできることではないですし。
振り込め詐欺の背後には、元公務員や元銀行員などの「元・本物」が指南役として存在するのではないかと推測しています。過去に詐欺に遭った人のリストが取引されているとの報道もあります。被害者の中には「相手の言う事をうのみにしやすい人」の他に、「なんとなく変だと察知しつつも、断るスキルや度胸に自信がないために断れない人」「相手の心証を気にしてしまい、『とにかく駄目なものは駄目!』と切り上げることができない人」も結構いるのではないかと思います。注意喚起の報道や防犯教室で断り方を指導してほしいとは思いますが、特に不特定多数が見る報道では、悪党どもにヒントを与えてしまいかねず、難しい面もあるのかもしれません。具体的な言い回しではなく、断る時のポイントだけでも押さえておけば違うのではないかと思いますが…。
あと、お金がない人でも相談できて対応してもらえる機関の紹介。実務的な対応は弁護士・司法書士に任せるとしても、専門家にかかることについての相談者の不安を緩和してくれる初期対応をする場所をより周知していく必要があると考えます。
父方の祖父は、認知症に罹患していました。と言っても、今からウン十年前の話で、自分が非常に幼かった頃の話。祖父と同居していなかったし、当時の話は後になって両親から色々聞いた次第。
比較的若い年代で認知症を罹患した為、世話は大変だった様です。老人と呼ぶには未だ体力が在ったので、徘徊を抑えるのも一苦労で、祖父が亡くなった際、祖母達は哀しいというよりも、ホッとしたという思いが先に来たと。
又、遠い親戚に、昔は行儀や作法に滅茶苦茶五月蠅い女性が居り、当人は常に身形には気を遣っていたそうですが、晩年は認知症に罹患し、介護施設に見舞いに行った際には、昔の姿が考えられない程、だらしない姿だった事にショックを受けたそうです。
犯罪行為って、警察と犯人との鼬ごっこ的な面が在りますよね。犯罪を防ぐ手段がTV等で取り上げられると、「より巧妙な犯罪を生む。」という批判も在りますが、今はネット等を通して次々に新しい犯罪が生み出される時代で在り、TV等が取り上げなくても、其れは変わらないと思うんです。嫌な事では在りますが、「或る程度は、他者を疑って掛かる。」という姿勢が無いと、我が身を守れない時代。困った物です。
昔は普通に、「惚け老人」なんて言ってましたね。「差別的だ!」という批判が在ったからなのか、何時の頃かか「惚け」が「認知症」という用語に置き換わった。個人的には「惚け」の方が、「愛らしさ」を含んでいた様な感じがするのですが・・・。