「『真田丸』の第1回を見て」、「心がグッと鷲掴みされる」、そして「既成概念に捉われない脚本」で書いて来た様に、現在放送中のNHK大河ドラマ「真田丸」【動画】は非常に魅力的なドラマだ。様々な面で既成概念に捉われない脚本が見ている者を魅了し、53年に及ぶ大河ドラマの中で、エポックメーキングな位置付けの作品になる事だろう。一方で・・・。
ミステリー作品が好きなので、其の手の新作ドラマが始まると、ついつい見てしまう。一昨日から放送開始となった「IQ246~華麗なる事件簿~」【動画】も期待して見た。
織田裕二氏主演の此のドラマ、彼が演じるのは「止ん事無き貴族『法門寺家』の末裔で、同家の嫡子だけに受け継がれる『IQ246』というとんでもない知能の高さを武器に、難事件を解決して行く法門寺沙羅駆(ほうもんじ しゃらく)。」。とても癖の強いキャラクターで在る。
「若い。」というイメージが在った織田氏だが、「老けたなあ。」という感じが。アラフィフにしては若いのだろうけれど・・・。
で、肝心の内容だが、ガッカリさせられた。止ん事無き貴族の末裔という事で、エキセントリックで浮世離れしたキャラクターの法門寺沙羅駆だが、癖の在る喋り方といい、「相棒」【動画】の杉下右京と重なってしまう。
又、法門寺家に仕える89代目の執事として89代目賢正(89だいめ けんせい)というキャラクターが登場する。“旬”の俳優で在るディーン・フジオカ氏を起用したというのは、制作サイドのあざとさを感じなくも無いが、「銀縁眼鏡に、ビシッと決めたスーツ。謹厳実直を絵に描いた様な性格で、常に感情を表に出さないが、危機的な状況が迫った際には、驚異的な身体能力を発揮する。」という設定は、人気小説「謎解きはディナーのあとで」に登場する執事・影山(かげやま)と非常に似ている。
個人的な感想で言えば、「『相棒』だ『謎解きはディナーのあとで』だといった人気作品のエッセンスを寄せ集めただけの、実に安直な作りのドラマ。」といった感じ。既成概念に捉われない脚本の「真田丸」とは、対極に位置する作品だ。
過去に織田氏が出演した作品を思い起こさせる台詞にはクスッとさせられたが、全体的には魅力に欠けるドラマだった。
うちの嫁さんは事件の謎解きにだけ興味を示す性格から、福山雅治の「ガリレオ」を連想したと言い、私は気取った話し口調から田村正和の「古畑任三郎」をイメージしてしまいました。
いずれにしてもそういう連想をさせてしまうということは、個性的なキャラを目指したはずが、却って類型的なキャラの寄せ集めになっているということでしょう。
次回が楽しみ・・・という気分にはなれませんでした。
「ガリレオ・シリーズ」と「古畑任三郎シリーズ」との類似性、言われてみれば「成る程。」です。結局、人気作品のエッセンスを寄せ集めただけという感じで、結果としては纏まりの無い雑多さが目立ちましたね。
織田氏、ワンパターンな役柄が批判されている事から、今回は全く異なる役柄にチャレンジしたという事なのでしょうが、其れならば其れで、従来には無かったキャラクターを目指して欲しかった。
肝心な謎解きも「良く在るパターン。」でパッとしなかったし、今回の視聴率が「13.1%」と好発進(昔、「30%超えしてこそヒットと言える。」という時代を知っている者としては、此の数字で好発進としてしまうのは、何とも居心地の悪さを感じ無いでは無いのですが。)というのは、「織田裕二」というネーム・ヴァリューに頼った部分が大きかったのかなという気がしています。