ば○こう○ちの納得いかないコーナー

「世の中の不条理な出来事」に吼えるブログ。(映画及び小説の評価は、「星5つ」を最高と定義。)

「月の恋人 ~Moon Lovers~」

2010年07月21日 | 書籍関連
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冷徹な手腕でビジネスを成功させる青年社長・葉月蓮介が、夜の上海で巡り合った女・椋森弥生。在り得ない二人の物語は、美貌の中国人モデルのリュウ・シュウメイ、そして部下の社員等を巻き込んで予測不能の展開に・・・。
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道尾秀介氏が“月9ドラマ”「月の恋人 ~Moon Lovers~」の原作として書き下ろした小説「月の恋人 ~Moon Lovers~」。このドラマはつい最近放送されていたので、御存知の方も多い事だろう。自分はどうも“月9ドラマ”のテースト不得手で、これ迄に全てを通して見たのは「教師びんびん物語」、「ひとつ屋根の下」、そして「ひとつ屋根の下2」の3作品だけ。話題になった「東京ラブストーリー」や「101回目のプロポーズ」も見ていない。“月9ドラマ”の平均視聴率ベスト10にはズラリと木村拓哉氏主演の作品が並んでいるけれど、これ等も初回をチラッと見ただけで、その後は全く見ないまま。彼のファンには申し訳無いのだけれど、「誰を演じても、結局はキムタクに過ぎない。」というワンパターンさが鼻についてしまうのだ。だから「月の恋人 ~Moon Lovers~」の主演がキムタクという事でから見る気が起らず、結果的に全く見ないままだった。

概して「非現実的な世界を描いたミステリー」を著して来た道尾氏だが、この作品は全くにしている。範疇で言えば「恋愛小説」なのだろうが、“悪い意味で”月9ドラマ・テーストな恋愛小説になってしまっている感じが。後書きで道尾氏は「舞台となる場所、登場人物や、彼らの背景にあるもの、あるいはストーリー自体に対してテレビ局側からの様々な希望や制約があり、なかなか大変な仕事ではありました。」と記しているけれど、主人公の蓮介の言動が「如何にもキムタク」という記述で成立しており、読んでいて辟易とさせられた。

このドラマに篠原涼子さんが出演されているのは知っていたので、小説を読んでいる際にはてっきり「椋森弥生」役を演じているものと思い込んでいたのだが、こちらの情報を見ると「椋森弥生」という人物自体がドラマには登場していない様だ。「ドラマ制作の過程でいろいろと都合が生じ、最終的にこの本とドラマ版はかなり内容の違うものとなりました。」と後書きには記されていたけれど、椋森弥生という人物設定は篠原さんを意識して作られたのではなかろうか?椋森弥生の言動に触れる度、その思いは強くなった。

これ迄の道尾作品を読み漁って来た自分からすると、この小説は非常に詰まらなかった。登場人物達のキャラクターが実に凡庸で、ストーリー展開も予定調和的だったから。上記した「“悪い意味で”月9ドラマ・テーストな恋愛小説」というのは、そういった点でだ。

総合評価は星2.5個

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