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「甘い生活?」
「ハズバンド」
優しい夫は、会社では御荷物社員だった。
「絵理のエイプリル」
両親が離婚しようとしているらしい。
「夫とUFO」
突然、夫がオカルトに目覚めてしまった。
「里帰り」
結婚して初めての御盆休みに、其れ其れの実家に帰省する事にした夫婦。
「妻とマラソン」
妻がランニングに嵌まった本当の理由とは?
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今回読破した奥田英朗氏の小説「我が家の問題」は、6つの家庭で発生した「問題」を取り上げている。深刻さの違いは在りこそすれ、何処の家庭で発生してもおかしくはない「問題」。「絵理のエイプリル」は滅入る結末だったけれど(てっきり、大どんでん返しの結末が待っていると思った。)、其の他はハートウォーミングなストーリーで、個人的には「ハズバンド」と「里帰り」が好き。
「ハズバンド」は、初めて参加した夫の会社のソフトボール大会で、「どうやら、夫は仕事が出来ないらしい。」と知ってしまった妻の話。其の事で彼女は非常にショックを受け、落ち込んでしまうのだけれど、夫に関して知らなかった面を色々知る過程で、より深く心を通わせて行くのが何とも良い。
又、「里帰り」は、実家が「北海道の夫」と「名古屋の妻」が、結婚後初めて帰省する話。何方と言えばドライな生き方を好み、自身の故郷に対してマイナス・イメージを持つ彼等が、「“異文化”の土地に帰省する事で、相手が息苦しさを感じるのではないか?」と気を揉む。しかし豈図らんや、自分の故郷とは全く異なる文化という事で、夫も妻も相手の故郷に思いを深め、其の事で自らの故郷の良さを再認識させられる・・・という展開が面白い。
総合評価は星3.5個。