地方を旅した際、「バスで移動しよう。」と時刻表を確認すると、「バスが来るのが、1時間に1本。」なんて事が在る。此の程度の頻度なら「次のバスが来る迄、何処かで時間潰しをしようなか。」と思えるが、「数時間に1本」とか、酷い場合には「半日で1本」なんて頻度になると、もう御手上げ。人気番組「ローカル路線バス乗り継ぎの旅」【動画】では、そんな時刻表の“悪戯”が、見ている側をドキドキさせるのだが。
昨日、「年1便『幻の片道バス』、今年も間も無く運行」という記事が、ネット上に載っていた。タイトルを見た時、「年に1便、其れも片道のバス!?そんな馬鹿な。一足早い“エイプリルフール・ネタ”か?」と思いきや、内容を読むと事実らしい。普通では在り得ない運航頻度も、理由を知れば、「成る程。」と納得。其の理由とは・・・。
*********************************
「年1便『幻の片道バス』、今年も間も無く運行」(3月20日、読売新聞)
「幻のバス」と話題を呼び、車内はファンで満席になると言う。春分の日、古刹・三千院で知られる大原から、天狗伝説で有名な鞍馬(共に京都市左京区)へと向かうバス。でも、何故年1便だけなのか。
「京都バス」の95系統(大原鞍馬線)。大原‐鞍馬間の約12km、21停留所を約30分で走る。両地区を通る府道が完成した1986年に運行を始めた。
春分の日から11月末迄の日曜・祝日に1日3往復(6便)走らせ、1994年度には約3,200人が利用した。しかし、大原、鞍馬を一度に回る観光ルートは必ずしも定着せず、乗客数は次第に減少。山間を走る為、住民等の利用も乏しく、2011年限りで事実上撤退した。
同社などによると、京都では、テレヴィ・ドラマの舞台になる等して、特定の観光地の人気が突然高まる事が在ると言う。唯、一度路線を廃止すると、国土交通省から再び認可を受ける迄に約3ヶ月を要し、自治体等との調整も必要となる。其処で、将来の「大原・鞍馬人気」に備え、取り敢えず路線を残す事にした。
国交省や日本バス協会によると、週末や観光シーズンのみ運行する例は在るが、年1回、然も片道だけのケースは「聞いた事が無い。」と言う。同社の担当者は「『路線バス』の体裁を保ち乍ら、経営効率を考えた結果、運行期間の初日に1便だけ走らせる事になった」と説明する。
*********************************
大原や鞍馬といったら、人気の高い観光スポットというイメージが在る。実際、京都好きの家人も、過去に何度か両方を訪れているし。だから「大原‐鞍馬」間の定期バスが定着しなかったというのは意外だけれど、将来の事を考えた上で、年に1便の片道バスを運行させているというのは面白い。
2005年、大河ドラマで「義経」【動画】が放送された際には、嘸や此の路線バスも、賑わいを見せていた事だろう。何やかや言っても、マス・メディアの影響力は大きいから。