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「車の走行でタイヤ摩耗による粉塵 欧州で新たに規制する動き 」(8月11日、NHK)
自動車の走行中、タイヤと道路の摩擦で排出される、タイヤの摩耗による粉塵に付いて、欧州では環境への影響が懸念されるとして、新たに規制する動きが出ています。
イギリスの大学、インペリアル・カレッジ・ロンドンが、今年2月に発表した報告書によりますと、タイヤの摩耗による粉塵は、世界全体で年間600万トンに及ぶと推計しています。
其の大きさは目に見えるサイズからナノ・レヴェルの粒子迄、様々だという事です。
其の上で、粉塵は大きさによって大気中に漂ったり、道路から側溝等を通じて川や海に流れ出したりする可能性が在り、人の健康や生態系への影響が懸念されるものの、長期的にどんな影響を齎すか充分な調査が出来ていないと指摘しています。
懸念の高まりを背景に、EUの執行機関に当たる欧州委員会は去年11月、タイヤの摩耗による粉塵に付いて新たに規制する方針を示しました。
欧州委員会は規制の策定に向けて、来年中にタイヤの摩耗の測定方法等を検討する事にしています。
タイヤの粉塵に付いて研究しているインペリアル・カレッジ・ロンドンのステファニー・ライト博士は、「タイヤの摩耗が問題なのは、タイヤ自体が様々な化学物質が組み合わさって出来ているからだ。こうした化学物質は、環境に放出される可能性が在り、一部は極めて毒性が強い。」と指摘しています。
其の上で、「環境にとって問題になる事は最近判って来た許りだ。人々の健康を守る為にも、知って貰う事が欠かせない。」と強調しています。
タイヤの摩耗による粉塵の問題に逸早く取り組む企業が、イギリスのロンドンに在ります。
此の企業では、自動車の走行中にタイヤと道路の摩擦で発生する静電気を利用して、粉塵を回収する装置を開発しています。
装置は車体のタイヤに近い場所に取り付けられ、粉塵は静電気で引き寄せられます。
更に、企業では、「回収したタイヤの粉塵を、新しいタイヤの材料等に再利用する事も目指している。」という事です。
此の企業を設立したメンバーの1人で、技術部門のトップを務めるヒューゴ・リチャードソンさん(28歳)は、大学院の研究過程でタイヤの粉塵の問題に付いて知ったと言います。
「ロンドンの最も長い路線のバスは、1日で凡そ300gのタイヤの粉塵を排出している。」という事で、大きさはグレープフルーツ1個分に相当するという事です。
其の量に衝撃を受けたというリチャードソンさんは、今の車に後付け出来る装置を開発する事で、即効性の在る解決策に繋げ様と、3年前、2人のメンバーと共に起業しました。
開発した装置は去年、環境問題の対策に力を入れる、当時、皇太子だったチャールズ国王が設立した賞にも選ばれ、リチャードソンさん達はタイヤの粉塵の問題や自分達の装置に付いて、直接、チャールズ国王に説明しました。
又、去年、3ヶ月間に亘り、ロンドンに拠点を置く物流会社と実証実験を実施する等、粉塵の回収率を高め、再来年の実用化を目指しています。
リチャードソンさんは、「タイヤが摩耗する事は誰もが知っているのに、其の粉塵が何処に行くかを考えている人は居ませんでした。私達の長期的な目標は、自動車メーカーと協力して、全ての車両に自分達の製品を装着させる事です。」と話していました。
「タイヤの粉塵は、環境に優しいとして利用が広がっているEV(電気自動車)にとって課題になる。」とも指摘されています。
自動車の環境への影響を分析する調査会社「エミッションズ・アナリティクス」によりますと、「EVはガソリン車等と比べてより大きいバッテリーを搭載し、車体が重い為、タイヤの摩耗による粉塵の排出量が凡そ20%多い。」としています。
調査会社のニック・モールデンCEOは、「より大きく、より重いEVへ移行する事で、タイヤの粉塵の排出量が増え、問題は大きくなる。安全性を損なう事無く、環境への影響を低減させるのは、技術的に非常に難しい。有害な化学物質の利用を減らして、タイヤを製造する事が重要だ。」と話しています。
タイヤの摩耗による粉塵に付いては、日本でも対策が進められています。
日本国内の主要なタイヤ・メーカー等で構成する「日本自動車タイヤ協会」によりますと、日本でも安全性を確保しつつ、摩耗し難いタイヤの開発が長年、進められているという事です。
又、規制の導入を視野に、タイヤが何の位摩耗し易いかを計測する国際的な試験方法の確立に向けて、各国政府の協議が始まっていて、タイヤ・メーカーも参加しているとしています。
「日本自動車タイヤ協会」の倉田健児専務理事は、「国際的な規制を導入するとしたら、試験方法をどうするかという事は、非常に大きな議論の対象になる。全世界が納得する試験方法の開発を進めたい。」と話し、積極的に関わって行く考えを示しました。
其の上で、「環境負荷の1つとなる粉塵を減らして行く事は、以前から大きな課題だ。タイヤの製造や利用、廃棄のプロセスで発生する環境負荷を低減する事は、規制の有無に拘らず、果たして行かなければならない。」と話し、粉塵の対策に取り組んで行くとしています。
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タイヤによる粉塵排出問題と言えば、スパイクタイヤによる物を強く意識していたが、“普通のタイヤ”でも世界全体で排出量が年間約600万トンというのは・・・「そんなに多いのか!」という驚きが。
「タイヤ自体が、様々な化学物質が組み合わさって出来ている。」というのも、言われてみれば其の通りなのだが、普段意識する人は少ない事だろう。中には有害な化学物質も在るだろうし、粉塵として大量に排出されているというのは問題だ。特にEVが増えれば増える程、粉塵の排出量が増える可能性が在るというのだから、大きな環境問題と言って良い。
「排出された粉塵を、どう回収するか?」も大事だが、(ニュースでも報じていた様に)“粉塵を排出しない(又は少なくする)タイヤの開発”というのも急がれるだろう。