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「世界初『全て無料』のスーパー 値札無し、レジも無し」(7月8日、朝日新聞)
オーストラリアのシドニーに「全て無料」のスーパーが出来た。賞味期限切れ前でも処分されてしまう様な食品を、大手スーパー等から譲り受けて提供する。未だ食べられるのに廃棄される「食品ロス」問題に対する意識を高めて貰い、生活に困っている人々の支援も狙う。
シドニー南部の「オズハーベストマーケット」。約200平方メートルの店内に果物や野菜、パンやコーン・フレーク、ビスケット等が並ぶ。値札は無く、レジも無い。客は買い物籠1つ迄、品物を手に出来る。
運営するのは、2004年以来、オーストラリア各地で支援が必要な人に計6,500万食を提供して来た市民団体「オズハーベスト」。ロニ・カーン最高経営責任者が「此れを見て下さい。」と見せたのは、賞味期限迄4日在るヨーグルトだ。大手スーパーではもう売れず、引き取った。こんな食品ロスの問題に付いて「理解を深めて欲しい。」と言う。客にはスタッフが個別に付いて、説明をし乍ら選んで貰う。小売業者等から譲り受けた食品を売るスーパーはデンマークにも在るが、「無料」なのは「世界初」と言う。
開店時間は、平日の午前10時から午後2時迄。毎日150人程が来店し、約2千点の品物の大半は無くなる。客には代わりに寄付を御願いしている。4月の開店から5週間で2万豪ドル(約170万円)が集まった。寄付は団体の食事提供事業の費用に充てられる。客のジェニー・モーガンさん(42歳)は野菜やビスケットを手に、「充分食べられる。困った人達の手助けもしたい。」と話した。
無料でも運営出来るのには理由が在る。約10人のスタッフはヴォランティアで、家賃や光熱費は趣旨に賛同したビルのオーナーの厚意で無料。こんな条件が満たされれば、別の場所でも展開したいと言う。
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「善意を悪用する輩も居るから、無料の食品を大量に得て、其れ等を転売する事が出て来るのでないか?」という懸念は在るが、「客にはスタッフが個別に付いて、説明をし乍ら、買い物籠1つ迄選んで貰う。」という事で、“最低限の縛り”としているのだろう。
農林水産省及び環境省の「平成26年度推計」によると、我が国では年間約2,775万トンの食品廃棄物等が出されており、其の内、未だ食べられるのに廃棄されている食品、即ち「食品ロス」は約621万トンとも言われている。世界中には今日食べる物も無く、餓死して行く者が多く居るというのに、実に悲しい現実だ。
大量の食品ロスが出ている一方で、貧困家庭が増大している。食品ロス減少と貧困家庭の救済(「子ども食堂」等の取り組みは在るけれど。)という意味で、オーストラリアの取り組みが、日本でも行われて欲しい。“国に頼る形”では無く、“企業や国民個々が支える形”というのも、今後は重要になって来るのではないだろうか。
良い取り組みですね。
話は少しそれますが、知人に戦中戦後の食糧難の時代に子供の頃を過ごした方がいて、その反動で食卓には食べきれないほどのおかずが並ばないと満足できない、と言っていたのを思い出します。
今でいうトラウマ、一種の軽い精神疾患なのかもしれませんが、そういう人や飽食の時代を過ごし、美食には関心があっても食品ロスには無関心という人たちも世間には居るわけで、店に並ぶ食品だけでなく、購入後の家庭でのロスやレストランなどでの調理済みの食品のロスも多いでしょうね。
何はともあれ、日本でもこういうシステムができ、普及することを望みます。
ちなみに大阪では10円の缶ジュース自販機があるそうです。
賞味期限が十分に残っているものの、通常では廃棄せざるを得ない缶を回収して、この自販機に装填し、賞味期限を1日残して今度こそは廃棄するそうです。
これで廃棄にかかるコストを大きく減らし、10円で売っても採算が合うとか。
ただ、こういう善意につけ込む輩もいるのはgiants^55も懸念されている通りです。
戦時中に幼少期を過ごした父は、疎開先で食べる物が満足に無く、蛇等を捕まえて飢えを凌いでいたとか。其の経験も在り、食べ物を残す事には大変厳しい人でした。茶碗に御飯粒が残っていると、「汗水垂らして米を作ってくれた御百姓さんに申し訳無いだろ。」と良く言われたもの。
幼き頃にひもじい思いをすると、極端な方向に振れてしまうのかもしれませんね。気持ちは良く理解出来ます。
10円の缶ジュース、初めて知りましたが、良い取り組みですね。大分前、「MOTTAINAI」という言葉が流行りましたけれど、非常に大事な概念だと思います。
善意の行為、我が国では得てして“偽善”と捉えて叩く傾向が在る。「困っている人達を、助けられる人が助ける。」というのは決して悪い事では無く、後ろめたく思う事でも無い。心無い人達のバッシングに負けず、善意の輪が広がって欲しい物です。