読みたい本が一杯在って、購入しても読まない儘の物が在ったりする。今回読了した小説「素敵な日本人」も、大好きな作家・東野圭吾氏の作品にも拘らず、上梓から約2年3ヶ月も経ってのレヴューとなった。
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登場する人物が何処か知人に似ていたり、貴方自身にも経験の在るトラブルだったり、つい思い浮かべてしまう妄想の具現化だったり、読み心地は様々。
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「素敵な日本人」は、9つの短編小説から構成されている。東野作品は数多く上梓されているが、個人的には「彼の場合、短編小説よりも長編小説の方が面白い。」という印象が在り、だからこそ「素敵な日本人」を読むのが遅くなったという面が在る。
「正月の決意」と「サファイアの奇跡」という2作品、ハッキリ言って駄作。特にコミカル色の強い「正月の決意」は、肝心の“笑いの要素”、そして“謎解きの面”で全く面白く無い。
「今夜は一人で雛祭り」という作品は、蘊蓄が鏤められており、雑学好きとしては面白かった。
意外性の在った作品としては、「君の瞳に乾杯」と「レンタルベビー」が挙げられる。「レンタルベビー」は、大好きだった星新一氏の作風と似た匂いがする。
最も印象に残ったのは、「水晶の数珠」という作品。「レンタルベビー」同様にSFチックな作品で、どういう結末になるかは想像が付いたけれど、ホンワカとした思いが残る。
全体を通してみると、「矢張り、東野作品は長編小説の方が良いな。」と、改めて感じさせられた。総合評価は、星3つとする。