一昔前迄は、其の年のNHK紅白歌合戦が終わると同時に、“番組内でのトラブル”が矢鱈と指摘されていた様に思う。“余りにも御粗末なトラブル”なら仕方無いとは思うが、「人間誰しもミスをする。」という事を考えると、“揚げ足取りの様なトラブルの指摘”には「何だかなあ・・・。」という思いが在った。有名な所では・・・。
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・1981年の第32回NHK紅白歌合戦で、大取りを務めた北島三郎氏が歌唱中、降って来た紙吹雪が大量過ぎて、北島氏が鼻の穴に吸い込んでしまった。【(再現)動画】
・1984年の第35回NHK紅白歌合戦で、総合司会の生方惠一アナウンサーが、大取りを務める都はるみさんを紹介する際、誤って『美空(ひばり)・・・』と言ってしまった。【動画】
・1986年の第37回NHK紅白歌合戦で、白組司会の加山雄三氏が、少年隊の曲のタイトル「仮面舞踏会」を、誤って「仮面ライダー」と紹介してしまった。【動画】
・1992年の第43回NHK紅白歌合戦で、小林幸子さんの“電飾衣装”の大半が光らなかった。【動画】
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そういった過去を思うと、近年のNHK紅白歌合戦は「ああだこうだ。」とトラブルを指摘される事が余り無い様に思う。「何でだろう?」と考えた時、「良くも悪くも“紅白がじっくりと見られていた時代”だったからこその事だったのかなあ。」と思ったりもする。
昔とは異なり、「近年は老若男女を問わず、広く知られているヒット曲というのが皆無に等しくなった。」と言えるだろう。だから、「紅白も(視聴率が稼げるで在ろう)若者に受けそうな顔触れを中心に出場者を選ぶ様になり、結果として中高年の視聴者が離れた。」という方向に。長年の習慣として“惰性的に”見ている中高年で在っても、恐らくは昔程じっくり中身を見ていないだろうし、其れ紅白の事を報じるマス・メディアの人間も同様。
そんな感じなので、余程のトラブルでも起こらない限り、昔の様に大騒ぎする事が無くなったのではないだろうか?仮に指摘したとしても、「そんな事在ったんだ・・・でも、其れが何なの?」と“情報価値”を全く感じない人が増えた可能性も。揚げ足取りの様なトラブル指摘が無くなった(減った)のは良い事だけれど、紅白への関心度が低くなってしまったというのは、制作者側からすれば痛し痒しだろう。