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活発化した梅雨前線の影響で大雨が続く東京を、突如、謎のテロ組織が攻撃する。明確な他国からの侵略と断定出来ない中、政府は警察権で制圧を図るが、多数の死傷者を出す。首相は遂に、自衛隊の出動を決断。しかし、精鋭部隊の第1空挺団が敵の策謀に嵌まり、壊滅状態に。
緊急事態に、敵の正体を追う自衛隊総合情報部所属の情報官・真下俊彦(ました としひこ)三等陸佐は、敵が核を持ち込んでいる情報を掴み、奔走するが・・・。
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小説「生存者ゼロ」で第11回(2012年)「『このミステリーがすごい!』大賞」の大賞を受賞し、文壇デビューを果たした安生正氏。そんな彼が2作目として上梓したのは、「タイトルに冠された『ゼロ』。」、「自衛隊員が主人公。」、「テロをテーマにしている。」等、「生存者ゼロ」と同じ要素を含む小説「ゼロの迎撃」。
「こういう事態って、絶対に発生し得ないとは言えないなあ。」、「こういう事態が発生したら、成る程、現行の法律では対処し辛い面は在るかも。」等、考えさせられる点は在った。法律の条文が具体的に記されているのも、人によっては「判り難くて、非常に煩わしい。」と思う人も居るだろうが、個人的には悪く無かったと思う。
唯、「絶対に発生し得ない事態では無い。」と思う一方で、「何でも彼んでも発生し得る事態を取り上げて、過剰に危機感を煽るというのもどんな物か。実際にこんな事態が発生したら、加害“国”は世界中から猛バッシングを受けるだろうし、完全に世界から孤立させられてしまう。其処迄のリスクを負って、テロをバックアップする事が在るだろうか?」という思いも在る。
「備え在れば患い無し」なのは判るが、「前のめりになって軍備増強に走る事に懸念を持つ人達を十把一絡げにし、『頭の中が御花畑』だ何だと批判したいが為“だけ”の人達。」が、此の小説を“悪用”する事を懸念する。
出出しは面白いのだが、ストーリーが進むに従って、尻窄みして行く感が。「人って、そんな短時間に変われるものか?」という疑問を感じる面も在った。
総合評価は、星3つとする。