全員、他人事じゃない。
-感想-
もうね、作品に対して難癖付け様が無くて完敗っすわ。
だけど1つだけ声を大にして言える事がある。
それは
ファインダー越しに前田が妄想するゾンビの世界が神々しくて泣けた
って事だ。
まさか青春群像劇内で描かれたゾンビに感動しちまうとはわな。
8ミリに収められた“それら”は他の和製ゾンビ作品を寄せ付けない程に完成度の高い見事さ。
血が吹き出し、腕がもげ、内臓が引き出される。
素晴らしいグロさだ。
混乱が生み出した怒りによって映画部が引き起こすちょっとした抵抗。
「隕石にあやまれよ!」
「あ?ここはお前らだけの屋上かよ!!」
「こいつら全員、喰い殺しちゃえ!」
感情が爆発した≪ゾンビの反乱≫は正にフィナーレとして相応しいものだった。
人は何かしら目標に向かって生きている。
それが無くなってしまうと人生終わりだ。
宏樹が見せた涙の理由は前田の映画作りに対する真剣な姿に感化されての故だろう。
野球部に顔を出さず、チャラい仲間達と桐島の部活終わりを待つ為だけにバスケをしながらダラダラと毎日の放課後を過ごす。
でもその間にも野球部の3年生である先輩は見込みの無いドラフトを引退の区切りとして素振りに励んでいる。
映画部は映画部で頑張って作品を撮り続けている。
それらを目にした時初めて感付かされる。
じゃあ今の自分は何をしているんだ?
無駄にその日暮らしをしているだけなんじゃないのか、と。
「何やってんだろ、俺・・・」
虚しさだけが胸に突き刺さる。
何かに打ち込むというのはどれだけ大切な事なんだろうか。
野球部の練習風景を見つめる宏樹の背中からは“変わらなきゃ”という想いが滲み出ていて、重く漂う哀愁がずしんと私の心にも響いてきましたよ。
誰が主役って訳でもない群像劇な作品だが、個々のキャラが立っていて誰にでも感情移入する事は可能。
宏樹でも良いし、恋する乙女・亜矢でも良い。
けど映画を愛する者としてはここは映画部の前田でしょ。
ヲタク部である彼にも運動部の誰にも負けない程の活動に対しての誇りがある。
映画製作するに当たっての熱い想いを貫き通す姿勢には物凄く共感。
映画監督たる者はこうでなくっちゃ。
だから余計に前田がカッコ良く見えるのだ。
わたしも専門学校で映画製作してきた身なので、前田の生き様に自分の姿を無意識に被せて観てたのだが、好きなことに我武者羅に取り組むのはホント素敵な事だよなと感慨を抱かされましたよ。
この作品に最も惹かれた要素は、映画マニアを擽る描写なり台詞なりが多く使われていた事だろう。
前田はロメロをリスペクトしていて普段から黒縁眼鏡を掛けているし、彼が映画館で観る作品は『鉄男』っていうのも憎い。
愛読書は映画秘宝。
「今回の秘宝、頑張ってたよ」
こりゃあ秘宝ライターには堪らない台詞だろうね。
「『スクリーム』はやっぱり3より2の方が面白いよね」
うんうん、それ凄く解るわw
「ダイアリー・オブ・ザ・デッドじゃん!」
「なんだよそれ!」
「ロメロだよ、それくらい観とけ!!」
あはは、いいぞ、もっと言ってやれ。
ヲタク舐めんな!
学校風景は何処か懐かしくも感じる。
こういう態度がやたらとでかいだけの女子って居たよねとかさ。
監督は今時の学生たちの会話なり行動なんかを内面的からも鋭く丁寧に描いていましたね。
その辺リアルに描かれているだけの事はあり、私も学生の一員としてその場に居る雰囲気は持たされましたよ。
子供たちの演技も非常に上手かったですけど、とりわけかすみ役の橋本愛は誰の意見にも流されない立場という難しい役を表現に縛られず自然体に演じていて好感的だった。
序盤での金曜日ループは面白い試みでしょう。
この後どんな展開が待ち構えているのか、興味を持たせる意味でも、引き込ませる意味でもね。
別角度視点で同一場面を描く手法は割りと好みだったりする。
「“おまたぁ”笑」
「俺が監督だったら絶対あいつらは使わねぇ。みてろよ」
わろた。
ほろ苦い恋模様。
息苦しいライフスタイル。
これぞ傑作青春ラプソディー!
評価:★★★★★
13/02/16DVD鑑賞(新作)
にほんブログ村
レンタル開始日:2013-02-15
メーカー:バップ
オフィシャル・サイト
-感想-
もうね、作品に対して難癖付け様が無くて完敗っすわ。
だけど1つだけ声を大にして言える事がある。
それは
ファインダー越しに前田が妄想するゾンビの世界が神々しくて泣けた
って事だ。
まさか青春群像劇内で描かれたゾンビに感動しちまうとはわな。
8ミリに収められた“それら”は他の和製ゾンビ作品を寄せ付けない程に完成度の高い見事さ。
血が吹き出し、腕がもげ、内臓が引き出される。
素晴らしいグロさだ。
混乱が生み出した怒りによって映画部が引き起こすちょっとした抵抗。
「隕石にあやまれよ!」
「あ?ここはお前らだけの屋上かよ!!」
「こいつら全員、喰い殺しちゃえ!」
感情が爆発した≪ゾンビの反乱≫は正にフィナーレとして相応しいものだった。
人は何かしら目標に向かって生きている。
それが無くなってしまうと人生終わりだ。
宏樹が見せた涙の理由は前田の映画作りに対する真剣な姿に感化されての故だろう。
野球部に顔を出さず、チャラい仲間達と桐島の部活終わりを待つ為だけにバスケをしながらダラダラと毎日の放課後を過ごす。
でもその間にも野球部の3年生である先輩は見込みの無いドラフトを引退の区切りとして素振りに励んでいる。
映画部は映画部で頑張って作品を撮り続けている。
それらを目にした時初めて感付かされる。
じゃあ今の自分は何をしているんだ?
無駄にその日暮らしをしているだけなんじゃないのか、と。
「何やってんだろ、俺・・・」
虚しさだけが胸に突き刺さる。
何かに打ち込むというのはどれだけ大切な事なんだろうか。
野球部の練習風景を見つめる宏樹の背中からは“変わらなきゃ”という想いが滲み出ていて、重く漂う哀愁がずしんと私の心にも響いてきましたよ。
誰が主役って訳でもない群像劇な作品だが、個々のキャラが立っていて誰にでも感情移入する事は可能。
宏樹でも良いし、恋する乙女・亜矢でも良い。
けど映画を愛する者としてはここは映画部の前田でしょ。
ヲタク部である彼にも運動部の誰にも負けない程の活動に対しての誇りがある。
映画製作するに当たっての熱い想いを貫き通す姿勢には物凄く共感。
映画監督たる者はこうでなくっちゃ。
だから余計に前田がカッコ良く見えるのだ。
わたしも専門学校で映画製作してきた身なので、前田の生き様に自分の姿を無意識に被せて観てたのだが、好きなことに我武者羅に取り組むのはホント素敵な事だよなと感慨を抱かされましたよ。
この作品に最も惹かれた要素は、映画マニアを擽る描写なり台詞なりが多く使われていた事だろう。
前田はロメロをリスペクトしていて普段から黒縁眼鏡を掛けているし、彼が映画館で観る作品は『鉄男』っていうのも憎い。
愛読書は映画秘宝。
「今回の秘宝、頑張ってたよ」
こりゃあ秘宝ライターには堪らない台詞だろうね。
「『スクリーム』はやっぱり3より2の方が面白いよね」
うんうん、それ凄く解るわw
「ダイアリー・オブ・ザ・デッドじゃん!」
「なんだよそれ!」
「ロメロだよ、それくらい観とけ!!」
あはは、いいぞ、もっと言ってやれ。
ヲタク舐めんな!
学校風景は何処か懐かしくも感じる。
こういう態度がやたらとでかいだけの女子って居たよねとかさ。
監督は今時の学生たちの会話なり行動なんかを内面的からも鋭く丁寧に描いていましたね。
その辺リアルに描かれているだけの事はあり、私も学生の一員としてその場に居る雰囲気は持たされましたよ。
子供たちの演技も非常に上手かったですけど、とりわけかすみ役の橋本愛は誰の意見にも流されない立場という難しい役を表現に縛られず自然体に演じていて好感的だった。
序盤での金曜日ループは面白い試みでしょう。
この後どんな展開が待ち構えているのか、興味を持たせる意味でも、引き込ませる意味でもね。
別角度視点で同一場面を描く手法は割りと好みだったりする。
「“おまたぁ”笑」
「俺が監督だったら絶対あいつらは使わねぇ。みてろよ」
わろた。
ほろ苦い恋模様。
息苦しいライフスタイル。
これぞ傑作青春ラプソディー!
評価:★★★★★
13/02/16DVD鑑賞(新作)
にほんブログ村
レンタル開始日:2013-02-15
メーカー:バップ
2012年
日本
103分
青春/ドラマ/学園
劇場公開(2012/08/11)
監督:吉田大八『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
原作:朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
脚本:吉田大八
主題歌:高橋優『陽はまた昇る』
出演:
神木隆之介『劇場版 SPEC~天~』・・・前田涼也(映画部)
橋本愛『貞子3D』・・・東原かすみ(バドミントン部)
大後寿々花・・・沢島亜矢(吹奏楽部)
東出昌大・・・菊池宏樹(野球部)
清水くるみ・・・宮部実果(バドミントン部)
山本美月・・・梨紗
松岡茉優『ポテチ』・・・沙奈
落合モトキ『るろうに剣心』・・・竜汰
浅香航大・・・友弘
前野朋哉『アフロ田中』・・・武文(映画部)
高橋周平・・・キャプテン(野球部)
鈴木伸之・・・久保(バレー部)
榎本功・・・日野(バレー部)
藤井武美・・・詩織(吹奏楽部)
岩井秀人『曲がれ!スプーン』・・・片山(映画部顧問)
奥村知史・・・屋上の少年
太賀・・・風助(バレー部)
<ストーリー>
ありふれた時間が流れる金曜日の放課後。誰もが認めるバレーボール部のスター・桐島退部のニュースが駆けめぐったことから、校内の人間関係が静かに変化していく。
日本
103分
青春/ドラマ/学園
劇場公開(2012/08/11)
監督:吉田大八『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』
原作:朝井リョウ『桐島、部活やめるってよ』
脚本:吉田大八
主題歌:高橋優『陽はまた昇る』
出演:
神木隆之介『劇場版 SPEC~天~』・・・前田涼也(映画部)
橋本愛『貞子3D』・・・東原かすみ(バドミントン部)
大後寿々花・・・沢島亜矢(吹奏楽部)
東出昌大・・・菊池宏樹(野球部)
清水くるみ・・・宮部実果(バドミントン部)
山本美月・・・梨紗
松岡茉優『ポテチ』・・・沙奈
落合モトキ『るろうに剣心』・・・竜汰
浅香航大・・・友弘
前野朋哉『アフロ田中』・・・武文(映画部)
高橋周平・・・キャプテン(野球部)
鈴木伸之・・・久保(バレー部)
榎本功・・・日野(バレー部)
藤井武美・・・詩織(吹奏楽部)
岩井秀人『曲がれ!スプーン』・・・片山(映画部顧問)
奥村知史・・・屋上の少年
太賀・・・風助(バレー部)
<ストーリー>
ありふれた時間が流れる金曜日の放課後。誰もが認めるバレーボール部のスター・桐島退部のニュースが駆けめぐったことから、校内の人間関係が静かに変化していく。
オフィシャル・サイト