銀座ジャズバーエムズのブログ

 生演奏のある小さなバー・・・「大人のくつろぎ空間」をお探しの方にご案内申し上げます。

昭和は遠く・・・

2016-05-18 15:58:01 | つれづれ

 20年以上も前に、つまり駆け出しでまだ「何を歌いたいか」と

「何が歌えるのか」が一致していなかった頃、共演した大先輩の

光井章夫さんが休憩時間に

「レパートリーなんてなぁ、オレなんか30曲くらいかな。

自分にしっくりくる曲だけを、大事に歌ってりゃいいんだよ」というような

意味合いのお話をしてくださったことがありました。 たぶん、私を含め

若かったVocalist達が、いろいろ新奇な曲をステージに持ち込んで

不完全な譜面で初見を強いる、というのを苦々しくも思っていらしたのでしょう

実際、若さと未熟さは周りのミュージシャンに多大な迷惑をかけていたろうな、

と思います。

で、経験を積んでそれなりにこなれてきて、伴奏のほうも馴染んでうまくいくように

なればそれでいいのか?というと、この頃特に思うのです。

「いま、自分が本当に何を歌いたいのか、目の前のオーディエンスは何を

聴きたいと思っているのか、共演者も一緒になって入り込めるような曲は・・・」

つまり「本当の自分のレパートリー」とはって。

そんなに何百曲もないような、なくてもいいような気もする。

「いつ聴いてもバンチャンのスターダストはいいねえ」というのが

Standard Loversの真骨頂ではないかな、と

 

 ジャズバーエムズがオープンして数年の間、つまり光井さんが具合を悪くされるまで

「三管:進駐軍サウンド」として河辺浩市(Tb)芦田ヤスシ(Ts)光井章夫(Tp)

三氏のフロントで時々企画をしていました。

 このたび天国に「三管」が勢揃いしてしまいました。

昨年末の愛好会に遊びに来てくださった光井さんの記事を

こんなふうに書いたのに     最後の共演

きっと河辺さんが「オヤ、バンチャン、ずいぶん早く来ちゃったね~~」と

おっしゃっているのではないかしら

「佳き時代」がしずしずと遠ざかっているような、今はそんな気持ちです。

 

小林洋さんの記事

高浜和英さんの記事