僕はここらあたりにいるよ
君が今 僕のことを何とも思っていないとしても
僕はここいらにいるよ これからもずっとね
君の恋が終わって 彼が去って行ったら
僕がその辺にいるからね
また別れが来て そして君が
時々「元気だよ」って短い便りをするだけの
僕みたいな存在もあるって思い出してくれる時が来たら
それから 物事がうまくいかなくて辛い時とか
たぶん 僕がぴったりなんだってわかってくれると思うんだ
だから
彼が行ってしまっても
僕がそのあたりにいるよ
1942年 作詞作曲:Alec Wilder あまりにシブい
具体的にその状況や情景がどうなのかは別として
スタンダード曲は「そーだよね~」と共感できる歌詞の内容と、
その「真理の一部」をさらに強く説得するような曲想で成り立っている、と
私は思うのです。
その昔、「歌いたいけど何を歌ったらいいのかな?」と漠然と
感じていたころは、カラオケもなかったし、日本の歌謡曲の中で
シャレた感じのするものか、または洋楽のコピーかしか、
選択肢がありませんでしたが、聞き覚えたそれらを歌うたびに
「自分の柄じゃないよなあ」という違和感で、居心地が悪かったものです
ジャズ業界の現場に入って、スタンダードの数々を知ることになってから
「あ~、良かったここに歌うべきものがあった」と思ったのが
そもそもの始まりだったような気がします。
「何を歌うか」は、私にとって大命題で、従って、いろいろな歌手が
みんな歌っているからといって、全然歌う気になれない曲もあり、
誰も知らないのにものすごくのめりこむものもあるわけです。