野田首相は先月、民主党の会合で世襲候補を容認する自民党を批判した。野田首相は「~特定の後援会がずっと続いて、特定の家柄が政治を続ける。これ、稼業じゃありませんか。2世、3世、ルパンじゃありません」と述べた。「地盤、看板、かばん(お金)」の面で有利なだけに、時として政治家としての資質に疑問を抱かざるを得ない人物が候補や議員に選ばれるというのだろう。
こうした野田首相の世襲批判に、自民党は反論している。
自民党の高村副総裁は「世襲だから悪いというのは、世襲だからいいというのと同じくらいの間違いである。まさに血によって差別すると、こういうことだと思う」と述べた。
さらに、自民党の石破幹事長は「党の綱領も決められず、憲法や社会保障に対する考え方も決まらないから、選挙で世襲反対をスローガンに掲げるというのはまやかしだ」と述べ、野田首相を批判している。
確かに、今回の衆議院選挙の世襲候補の内訳は自民92人で圧倒的に多いが、民主党にも26人いる。かつては、鳩山由紀夫元総理、小沢一郎元幹事長なども世襲議員だった。日本維新の会にも15人いる。
しかし、世襲候補=悪いとは決して思わない。要は、その善し悪しは有権者が決めることだからだ。それよりも、はるかに問題なのは、組合などの組織丸抱えの候補者を多く有する民主党こそ問題なのだ。
連合には「組織内議員」として、前衆院議員46人、参院議員29人(産経新聞:2012年11月24日)と報道されている。ほとんどが民主党議員だ。世襲候補者は、「地盤、看板、かばん(お金)」で一般の立候補者に比べて格段に有利とされ、世襲が批判されるのだが、労働組合の組織内議員は、「地盤とかばん(お金)」では絶対的に有利な条件がそろっている。選挙になれば、労働組合員がビラ配りやポスター貼りなどの実働部隊になる。選挙資金も丸抱えだ。
かつて、北海道5区で当選した民主党・小林千代美議員(辞職)の選対幹部が公職 選挙法違反(買収約束、事前運動で立件され有罪の判決が下った。小林千代美議員の選対には北教組側から1600万円の闇選挙資金が提供されていたことも明らかになった。同じようなパターンで議員バッチを着けているのが、日の丸も君が代も認めない日教組の親玉である輿石幹事長だ。こうした、組織丸抱えの候補こそ批判されるべきで、民主党に、世襲候補批判をする資格など有りはしない。
野田総理は、選挙戦の第一声で「前に進むか、昔に戻るか」と叫んでいるが、政権担当能力がなく、政党の体をなしていなかった民主党では、ますます後退するばかりだ。こんな民主党に明日の日本を任せるわけにはいかない。世代交代が進んできた自民党中心の政権運営の方が、「よりまし」というものだ。