アメリカ経済 3
2章に関しては、GSM内のみで読むことができます。
したがって、2章を読んでいなければ、この章の何を言いたいのかが、多少理解しづらい部分も出てくると思われますが、ご了承ください。
中国が、60兆円を国内のインフラへと注入したことが、随分と過大評価され、一人歩きした様相が、そろそろ 終わりかけてきている。60兆円の財政出動は、大きいと言えるかも知れない。だが、アメリカのインフラ整備には遠く及ばない。アメリカはそれこそ、過去200年、ずっとインフラを行ってきていた。様々な地域、そして道路、空港、ありとあらゆるものを、ヨーロッパの中世から綿々と伝わる建築の 技巧を駆使して、造り続けてきた。
アジアには、ほとんど それがない。
例えば、日本で言えば、国会議事堂などが、その典型的な技法で作られた建物だ。ああいう建物を、もっともっと国中に作り続けて、日本中に道路と建物の関係を日本の文化を損なうことなく、ブレンドさせることができれば、日本の交通事情はもっと良くなるかもしれない。
中国は上海などの一部の地域をのぞいての全体としては、日本よりさらに、都市計画がなっていない。道は人がどう通るのかを精査して初めて 道路としての意味を生み出す。だが、もしそうしなければ、道路の無駄は、都市計画そのものを意味のないものにしてしまうことも ある。
これは、例えば企業におけるマネージメントに通じることでもある。窮屈な社風から、新しい発想は決して生まれないことは、日本人の多くが感じていることだろう。感じていても どうしようもないと、あきらめている人が多いから、日本は、いつまでもストレス社会のままである。なぜなら、社会の構造をそのようにしておくことで、自らの位置を守る古い勢力が君臨し続けている限り、決して新しいチームの発想などは、できるわけがないのである。
オーガニックなチームを作るためには、そのチームの中に、遊びの部分がたくさんなければならない。雑草を抜き、生え抜きばかり集めた日本の官僚システムは、相手によってはとても強い。それは集団として法律や、秩序が通じる相手に限る。もし既成のルール以外のところで、勝負することになると、果たして、どうだろうか?経験値のない、今の世界経済で、一体どのような青写真が描けて、そのどの部分が正しく どの部分が 誤っているのかなど、今や、ケインズの理論では、解ける時代ではない。
中国が、失速してくるのは、時間の問題になってきている。もう、撃つ弾が後残り少ないのに、まだ、敵は大きく、そして、強いのだから、勝てる見込みのない勝負であるのは、目に見えている。
いわば、世界の負のデリバティブは、京の世界であるにもかかわらず、兆の単位で少々つぎ込んでも、桁が1000倍違うのである。そして、中国が出し切るまで、アメリカの徹底した不況は続くであろう。
アメリカの肉を切らせて 骨を絶つ政策が、対中国のものであると私は言い続けてきていた。今の世界不況はアメリカが新興国、特に中国をターゲットに、とことん財政支出をさせて、根っこから赤字を出させる。しかもアメリカの国債を買えるだけ買わせて、一気に富の移行を行うであろうということを、私は言い続けている。
アメリカは、すでに十分なインフラと 人材、それに金融テクニックと、技術、さらには、シリコンバレーに代表される次世代のソフトや、NASAの宇宙開発のノウハウ、軍事産業での今の私たちの知る世界のさらに20年先の技術をも、持っているのである。
これからも、アメリカでいくつかの企業が倒産するだろう。日本も多くの企業がその影響で、苦しむことは、確実である。だが、その結果、もっとも痛手を蒙るのは、中国だろう。今回の経済危機は、最初に大きなヒットを受けた地域は、立ち直るのが早く、遅く受けた地域は、遠心力がかかりより大きなGを受けなければならなくなり、痛手は深くなる。
アメリカはまだまだ苦しんでいくだろうが、そうなる前に、さっさと手仕舞いをしていった日本の経済は、結構したたかさがあるように思える。
ルールの上では日本は、まあまあ、いいところで戦っているが、しかしアメリカは自由な選択をし続けるだろう。つまり、ルールは後付けでいいから、まずは、なたで切る手法を取るはずだ。こうなると、日本の経済政策など、薄っぺらい防護策になってしまう。例えば、強烈な円高になると、日本は、どうするだろう?1ドル=50円を切ると、輸出はまずストップする。ここまでは、日本の官僚もきっと、想定しているはずだ。だが、さらに、1ドル1円になったら、どうなるだろうか?など、ルールの中で考える人はシナリオとしても、ナンセンスだと決め付けてくるのではないだろうか?ナンセンスなことは、起こりうるのだということを、はじめから否定して経済政策を打ち立てていてもいいのだろうか?と私は疑問を呈しているのである。
ルールの変更に対して、ただ従う方法もあれば、それをあらかじめ予想しておいて、手を打つこともできる。手を打つとは、そうなることを前提にしておいて、自分の仲間を作っておくことであったり、あるいは、コンセンサスとして織り込んでおくやり方であったり、根回しであったりであるのだが、日本人のもっとも苦手とするところは、実にヨーロッパなどの白人に対しての、根回しとそのルール作りに参入する人材の不足を、補うこともしないで、いや、それどころか、父祖から伝わる伝統と文化とやらを相手に押し付けるやりかた・・・を取る事である。韓国の宇宙船への搭乗がNASAに嫌われているのは、キムチを宇宙食として持っていくという強引さで、他の隊員がその強烈なにおいに、宇宙の限られた酸素のなかで、過ごさなければならないことに、閉口しているからだという笑い話にもならない話があるが、日本もそこまで強引ではないかもしれないが、それに近い強引さを持っていて、それが国際社会では奇異に映っていることが多きにあることも、肝に銘じておいていいのではないだろうか?その上で、ルールにのっとって行うことと、誰が、どこで どんなルールを 誰のために作っているのかを良く知っておくべきである。ただ、陰謀だとか、あるいは、ずるいとか、卑怯だなどという言葉は、何の役にも立たない。国際競争とは権謀術数が、渦巻いているもので、陰謀もずるさも、卑怯さも当然そのなかに、織り込んで戦わなければいけないし、相手の出方を何手先までも、読んで準備しておくことが、肝心だ。無論 言うまでもないことだが、100%読むことは難しいにしても、だ。
アメリカは、1ドル1円の時代になったとしても、困らない。なぜなら、困らないように彼らは今もいくつかの実験をしながら、落としどころを探っているからである。そこを、押さえておかなければ、日本の未来像は描けない。例えばGMを破綻させるためには、まず、クライスラーで実験をしてから行う。兆インフレを行うためには一度ジンバブエで実験をしてみる。混乱を収める方法は、どんなやり方がいいのかを、様々に見極めてみる。ところが、日本は、そういう準備もなく、いきなり来たらそれからどうするかを考える。だから必ず一歩か半歩 アメリカに遅れるのである。
経験値であったり、また、想定内のことであったりなどは、こんなに世界が混乱し始めているのに、それらは、どれも雑音でしかない。今は想定外のことと、未経験のことを、大胆に考えて推し進めていく時期で、こういう時期に必要なリーダー像とは、トランスフォーメーショナルでなければならないはずなのに。自民党や民主党は、どちらも、育ちが良すぎる人が多いんじゃないだろうか?
今、すでに景気は底を脱出していると見る経済学者がいる。だが、本当に、そうだろうか?
もしかすると、今の段階は、ほんの序曲で、これからもっともっと、大きなことが起こるのではないだろうか?
私は、おおよそ5段階に分けて考えてみる。そうすると、理解しやすい。
第一段階は、フォーミング。まずはサブプライムローンの問題を、指す。これで地価が、下がり続けることで、アメリカの富が減る最初の形である。
第二段階は、カオス。つまり混沌とした状態で、ストーミングといってもいいだろう。これがデリバティブ問題から始まりAIGなどを救済したり、様々な金融機関の問題が次々と浮き彫りになってきては、あわてて政府が隠す現在の状況。GMが破綻したのも単にその影響でしかなく、台風の本命はまだまだ勢力を持って暴風雨を伴っているとみる。
第三段階は、ノーミング。業界再編の動きがここで見られるだろう。ここまでくれば、ストーミングの状況は脱出しているので、大幅に下落することはない。今がここの段階になっているかどうか?おそらく、自動車産業に関しては、すでにこの段階に入っているが、まだ金融業界は、怪しいと言わざるを得ない。政府が介入すればするほど、遅れるだろう。なぜなら、感覚の麻痺している金融業界の常識は、すでに根太から腐っているからだ。
第四段階は、パフォーミング。爆発したバブルが、また形を変えて復活し新たな局面と高い景気対策により、好景気に沸く時期だ。これは、もちろん、まだまだ先の話である。
第五段階では、アジャーニング。次の段階へと、それぞれの好景気の立役者たちが形を変えていく段階だ。
今が第二段階にあると私は思っているのだが、多くの人は、第三段階であると言いたいか、あるいはそうであってほしいと願っている。
無理もない。
この不況の壁はとても分厚いだけでなく、トンネルの出口はとても遠くて見えそうもないのだから。
中国が崩れると、どうなるかなど、想像もしたくない人たちが一杯いる。この人たちは、木を見て 山を見ず の間違いをおかしていると 言っては言いすぎだろうか。多分、今が第三段階に来ていると言う人にとって、私の言葉は到底受け入れられないはずだ。
2章に関しては、GSM内のみで読むことができます。
したがって、2章を読んでいなければ、この章の何を言いたいのかが、多少理解しづらい部分も出てくると思われますが、ご了承ください。
中国が、60兆円を国内のインフラへと注入したことが、随分と過大評価され、一人歩きした様相が、そろそろ 終わりかけてきている。60兆円の財政出動は、大きいと言えるかも知れない。だが、アメリカのインフラ整備には遠く及ばない。アメリカはそれこそ、過去200年、ずっとインフラを行ってきていた。様々な地域、そして道路、空港、ありとあらゆるものを、ヨーロッパの中世から綿々と伝わる建築の 技巧を駆使して、造り続けてきた。
アジアには、ほとんど それがない。
例えば、日本で言えば、国会議事堂などが、その典型的な技法で作られた建物だ。ああいう建物を、もっともっと国中に作り続けて、日本中に道路と建物の関係を日本の文化を損なうことなく、ブレンドさせることができれば、日本の交通事情はもっと良くなるかもしれない。
中国は上海などの一部の地域をのぞいての全体としては、日本よりさらに、都市計画がなっていない。道は人がどう通るのかを精査して初めて 道路としての意味を生み出す。だが、もしそうしなければ、道路の無駄は、都市計画そのものを意味のないものにしてしまうことも ある。
これは、例えば企業におけるマネージメントに通じることでもある。窮屈な社風から、新しい発想は決して生まれないことは、日本人の多くが感じていることだろう。感じていても どうしようもないと、あきらめている人が多いから、日本は、いつまでもストレス社会のままである。なぜなら、社会の構造をそのようにしておくことで、自らの位置を守る古い勢力が君臨し続けている限り、決して新しいチームの発想などは、できるわけがないのである。
オーガニックなチームを作るためには、そのチームの中に、遊びの部分がたくさんなければならない。雑草を抜き、生え抜きばかり集めた日本の官僚システムは、相手によってはとても強い。それは集団として法律や、秩序が通じる相手に限る。もし既成のルール以外のところで、勝負することになると、果たして、どうだろうか?経験値のない、今の世界経済で、一体どのような青写真が描けて、そのどの部分が正しく どの部分が 誤っているのかなど、今や、ケインズの理論では、解ける時代ではない。
中国が、失速してくるのは、時間の問題になってきている。もう、撃つ弾が後残り少ないのに、まだ、敵は大きく、そして、強いのだから、勝てる見込みのない勝負であるのは、目に見えている。
いわば、世界の負のデリバティブは、京の世界であるにもかかわらず、兆の単位で少々つぎ込んでも、桁が1000倍違うのである。そして、中国が出し切るまで、アメリカの徹底した不況は続くであろう。
アメリカの肉を切らせて 骨を絶つ政策が、対中国のものであると私は言い続けてきていた。今の世界不況はアメリカが新興国、特に中国をターゲットに、とことん財政支出をさせて、根っこから赤字を出させる。しかもアメリカの国債を買えるだけ買わせて、一気に富の移行を行うであろうということを、私は言い続けている。
アメリカは、すでに十分なインフラと 人材、それに金融テクニックと、技術、さらには、シリコンバレーに代表される次世代のソフトや、NASAの宇宙開発のノウハウ、軍事産業での今の私たちの知る世界のさらに20年先の技術をも、持っているのである。
これからも、アメリカでいくつかの企業が倒産するだろう。日本も多くの企業がその影響で、苦しむことは、確実である。だが、その結果、もっとも痛手を蒙るのは、中国だろう。今回の経済危機は、最初に大きなヒットを受けた地域は、立ち直るのが早く、遅く受けた地域は、遠心力がかかりより大きなGを受けなければならなくなり、痛手は深くなる。
アメリカはまだまだ苦しんでいくだろうが、そうなる前に、さっさと手仕舞いをしていった日本の経済は、結構したたかさがあるように思える。
ルールの上では日本は、まあまあ、いいところで戦っているが、しかしアメリカは自由な選択をし続けるだろう。つまり、ルールは後付けでいいから、まずは、なたで切る手法を取るはずだ。こうなると、日本の経済政策など、薄っぺらい防護策になってしまう。例えば、強烈な円高になると、日本は、どうするだろう?1ドル=50円を切ると、輸出はまずストップする。ここまでは、日本の官僚もきっと、想定しているはずだ。だが、さらに、1ドル1円になったら、どうなるだろうか?など、ルールの中で考える人はシナリオとしても、ナンセンスだと決め付けてくるのではないだろうか?ナンセンスなことは、起こりうるのだということを、はじめから否定して経済政策を打ち立てていてもいいのだろうか?と私は疑問を呈しているのである。
ルールの変更に対して、ただ従う方法もあれば、それをあらかじめ予想しておいて、手を打つこともできる。手を打つとは、そうなることを前提にしておいて、自分の仲間を作っておくことであったり、あるいは、コンセンサスとして織り込んでおくやり方であったり、根回しであったりであるのだが、日本人のもっとも苦手とするところは、実にヨーロッパなどの白人に対しての、根回しとそのルール作りに参入する人材の不足を、補うこともしないで、いや、それどころか、父祖から伝わる伝統と文化とやらを相手に押し付けるやりかた・・・を取る事である。韓国の宇宙船への搭乗がNASAに嫌われているのは、キムチを宇宙食として持っていくという強引さで、他の隊員がその強烈なにおいに、宇宙の限られた酸素のなかで、過ごさなければならないことに、閉口しているからだという笑い話にもならない話があるが、日本もそこまで強引ではないかもしれないが、それに近い強引さを持っていて、それが国際社会では奇異に映っていることが多きにあることも、肝に銘じておいていいのではないだろうか?その上で、ルールにのっとって行うことと、誰が、どこで どんなルールを 誰のために作っているのかを良く知っておくべきである。ただ、陰謀だとか、あるいは、ずるいとか、卑怯だなどという言葉は、何の役にも立たない。国際競争とは権謀術数が、渦巻いているもので、陰謀もずるさも、卑怯さも当然そのなかに、織り込んで戦わなければいけないし、相手の出方を何手先までも、読んで準備しておくことが、肝心だ。無論 言うまでもないことだが、100%読むことは難しいにしても、だ。
アメリカは、1ドル1円の時代になったとしても、困らない。なぜなら、困らないように彼らは今もいくつかの実験をしながら、落としどころを探っているからである。そこを、押さえておかなければ、日本の未来像は描けない。例えばGMを破綻させるためには、まず、クライスラーで実験をしてから行う。兆インフレを行うためには一度ジンバブエで実験をしてみる。混乱を収める方法は、どんなやり方がいいのかを、様々に見極めてみる。ところが、日本は、そういう準備もなく、いきなり来たらそれからどうするかを考える。だから必ず一歩か半歩 アメリカに遅れるのである。
経験値であったり、また、想定内のことであったりなどは、こんなに世界が混乱し始めているのに、それらは、どれも雑音でしかない。今は想定外のことと、未経験のことを、大胆に考えて推し進めていく時期で、こういう時期に必要なリーダー像とは、トランスフォーメーショナルでなければならないはずなのに。自民党や民主党は、どちらも、育ちが良すぎる人が多いんじゃないだろうか?
今、すでに景気は底を脱出していると見る経済学者がいる。だが、本当に、そうだろうか?
もしかすると、今の段階は、ほんの序曲で、これからもっともっと、大きなことが起こるのではないだろうか?
私は、おおよそ5段階に分けて考えてみる。そうすると、理解しやすい。
第一段階は、フォーミング。まずはサブプライムローンの問題を、指す。これで地価が、下がり続けることで、アメリカの富が減る最初の形である。
第二段階は、カオス。つまり混沌とした状態で、ストーミングといってもいいだろう。これがデリバティブ問題から始まりAIGなどを救済したり、様々な金融機関の問題が次々と浮き彫りになってきては、あわてて政府が隠す現在の状況。GMが破綻したのも単にその影響でしかなく、台風の本命はまだまだ勢力を持って暴風雨を伴っているとみる。
第三段階は、ノーミング。業界再編の動きがここで見られるだろう。ここまでくれば、ストーミングの状況は脱出しているので、大幅に下落することはない。今がここの段階になっているかどうか?おそらく、自動車産業に関しては、すでにこの段階に入っているが、まだ金融業界は、怪しいと言わざるを得ない。政府が介入すればするほど、遅れるだろう。なぜなら、感覚の麻痺している金融業界の常識は、すでに根太から腐っているからだ。
第四段階は、パフォーミング。爆発したバブルが、また形を変えて復活し新たな局面と高い景気対策により、好景気に沸く時期だ。これは、もちろん、まだまだ先の話である。
第五段階では、アジャーニング。次の段階へと、それぞれの好景気の立役者たちが形を変えていく段階だ。
今が第二段階にあると私は思っているのだが、多くの人は、第三段階であると言いたいか、あるいはそうであってほしいと願っている。
無理もない。
この不況の壁はとても分厚いだけでなく、トンネルの出口はとても遠くて見えそうもないのだから。
中国が崩れると、どうなるかなど、想像もしたくない人たちが一杯いる。この人たちは、木を見て 山を見ず の間違いをおかしていると 言っては言いすぎだろうか。多分、今が第三段階に来ていると言う人にとって、私の言葉は到底受け入れられないはずだ。