利休道歌
余所などへ花をおくらば其の花は開きすぎしはやらぬものなり
梅が咲き・・桃や菜の花・・そして桜
これからは花を追いかけ、花を楽しむ季節ですね・・・・・
茶席の花は咲き始めの風情を一番として楽しみます。
いつも思うのですが、お客様に一番良い瞬間を見ていただくのは、
とても難しいということです。
茶室に入って床の前に進み、初めて目にする花は何よりも楽しみで心に残るもの。
「いいですね・・・」というお客様の心の声が聞こえてくるような
そんな花を床におくことができたらと思いますね。
花入れに活けた時の花の姿は時が移るとともに変化して、
開き始めを活けたつもりでも一時過ぎれば、見事に満開ということも。
満開ならまだ良いのですが、可憐な野草などは午後にはしぼんでしまいます。
一輪の風情ですから、
ことさら気をつけてて見守っていなくてはなりません・・。
ある茶席でご亭主が、
朝活けた椿のつぼみが、少しほころんできた姿を見て、
「開いてしまいましたね・・・とり変えましょう」
とおっしゃったのをうかがい・・もてなしの極意に触れた思いがしましたが・・。
お茶席の花のためには、
亭主は庭の花 の開き具合を常に気にして、
「今日はこのつぼみで、明日はこのあたりが丁度良いかしら」
と心積もりをしたりして大切にとっておきます。
お客様をお招きするときに合わせて、
冷蔵庫に入れておいたという話も嘘ではないようです。
時には鉢植えでやっと咲いた一輪を、
「この花はあなたのために咲いたはなですよ」と挿すこともあります。
そんな時はお客様も嬉しいでしょうし、
私も良くぞ咲いてくれましたと感謝したい気持ちになります