先日ご紹介した「茶の湯ブンガク講座」、
親しみやすい題と、軽妙な帯コメント、
「思わず話したくなる茶の湯の名作イッキ読み」でしたが、
とても内容が濃く、面白い本でした。
一つ一つの原典に触れてみたくなります。
多くの文学作品の中に見られる茶の湯は、
作者の茶の湯な対する様々な認識が、
作者らしい切り口で表現されていたように思います。
特に興味深かったのが、付録として紹介されていた、
「茶人つれづれ草」(抄訳)です。
おなじみの兼好法師の「徒然草」の文章を生かしつつ、
茶の湯の世界になぞらえて、語っています。
例えば
「つれづれなるままに、日暮し硯に向かいて、
心に移りゆくよしなし事を、そこはかとなく書きつくれば、
怪しうこそ物狂おしけれ」が、
「つれづれなるままに、日暮し茶の湯に向かいて、
よしなし道具を、そこはかとなくかき集むけば、
あやしうこそ物くるおしけれ。」
などと続きます。
多くは茶をたしなむものには、「あるある」と耳の痛い話題です。
「付録」となっていますが、多くのぺージを割いていて、
わかってはいるけれど、改めて反省させられたりすること多しでした。
あまり単独の本としては、手にすることができないようですから、
この本で、垣間見ておくのも良いと思いました。
ここのところはっきりしない空の毎日ですね。
シャキッとした日差しを浴びたいと、
人も、植物も、恋しく思っているものを。