最近濃茶に進まれた方がいらっしゃいます。
茶入や、仕覆の扱い、袱紗捌きなど、
新しいことがまた稽古に加わります。
濃茶を点てられるようになって、
「ようやく、お茶の道を本格的に歩き始めたのだ・・」
と気持ちも引き締まる、そして少しうれしくなる時ですね。
お茶入を拭く所作も、先輩のお点前を見て知ってはいても、
観るとやるでは大違いですね。
見ていて様になるには少し時間がかかるかしら。
稽古で使ってもう何十年にもなるこの茶入。
仕覆もだいぶ痛み、裏地も薄くなっています。
このお茶入れにはもう一枚仕覆がありますが、
何故かこちらの方が多く使われて、先に痛みが来てしまいました。
私もこの荒磯緞子の仕覆がとても好きです。
色も、緞子特有の手触りのよさも、波間に泳ぐ鯉の模様も、
そして、見ての通りで覚えやすい裂地の名前も。
覚えやすい「荒磯緞子」ですが、
あるとき、この裂地の名前を聞かれて、
うっかり「荒(新)巻緞子でございます」と答えた方が。
もう私の頭には、美味しそうな「鮭」が泳いでいました。
「地紋のお魚は鮭でございましょうか」と爆笑でした。
それからしばらく、この仕覆の裂地を問われるたびに、
頭に浮かんでしまう鮭の姿を拭い去れずに、
ひそかに笑いをこらえています。
さてもう六月です。
鮎の解禁ですね。
鮭も鯉もちょっと置いておいて、
鮎のお菓子を用意しなくては。
どこのお菓子やさんで釣ってこようかしら。