角岸's blog (Kadogishi s' blog)

酒、酒&映画・・時事問題?

東西冷戦時代の冒険小説の傑作 「ファイアフォックス」

2012-07-20 16:19:42 | ミステリー
今年、6月に中国外交官が日本でスパイ活動をしていたことが判明し、大騒ぎになった事件がありましたが、当の本人はさっさと中国に帰国し、中国政府も否定していますよね。
まぁ日本政府もことを荒立てたくないみたいで(毎度のこと)、うやむやになりそう。

というわけで、「スパイ」と言えば、「東西冷戦時代」が諜報戦において、もっととも激しく両陣営ともしのぎを削り、またそれを題材とした傑作小説があまたあります。

この間紹介した、公開中の「裏切りのサーカス」の原作ジョン・ル・カレ「ティカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」もその傑作群の一つ。

で、今日紹介するのは、その最高傑作のひとつグレイグ・トーマス「ファイアフォックス」


時代背景は1980年ごろ。「ファイアフォックス」は今の人たちなら、ブラウザ名だと思うでしょうが、この原作ではソビエト連邦の最新鋭機ミグ31。最高速度マッハ5以上、レーザーを無力化し、ミサイルを脳波で操る驚異の戦闘機という設定なんですな。
で、航空機開発において、それと同等の技術力を持たない西側は当然慌てるんですが、米国CIAと英国SIS両諜報機関がたてた作戦とは・・・

ミグ31ファイアフォックスをかっぱらう!!

という無茶なもの。

で、こっからが、面白いんです。もうノンストップ活劇です。夜に読んだら寝られなくなります。
ミグ31イメージ

この小説は大きく分けて2部構成になっています。

密命を受けた米空軍ミッチェル・ガント少佐(主人公)が単身モスクワに潜入し、ミグ31がある空軍基地から飛び立つまでが前半。

で、奪ったミグ31をソビエト空軍の追跡をかわす、ドックファイトと頭脳戦を駆使する脱出劇は、もう手に汗握る冒険小説の王道というものです。

前半のKGBの追跡をかわしながら空軍基地へ潜入するあたりも、ひやひやモノなんですが、特に面白いのが後半部分。
ブレジネフ書記長、アンドロポフKGB議長などの実在の人物も登場し、この戦闘機の争奪戦をめぐり、ソ連中央政府の権力闘争も描かれていて実に重厚なドラマとなっています。

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さて、この小説クリント・イーストウッド主演、監督で映画化され大ヒットしました。


かなり、原作に忠実に映像化されてはいるものの、やっぱり原作の重厚さにはかないません。

何よりも、後半のドックファイトシーンがなんか「スターウォーズ」っぽくてリアリティが今一つ。
(実際、このドックファイトシーンは「スターウォーズ」のスタッフらが制作した。)

当時、この映画のファイアフォックスの機体デザインがあまりにも未来的でおもちゃっぽいなぁと思ったものですが、今だとスティルス機に似ているせいもあって、違和感なくなりました。
映画ミグ31

ちなみにこの映画、今GYAOで無料で観られますのでチェックしてみてください。
↓↓↓
http://gyao.yahoo.co.jp/player/00597/v07537/v0753700000000524589/?list_id=68308&sc_i=gym003

さて、この小説には続編「ファイアフォックス・ダウン」があってこれがまた、1作目に勝るとも劣らない面白さなんです。

後で、紹介したいと思います。