私は時々京都で舞妓さんの変身体験をしますが、機会があれば衣装の仕立てを見せてもらってます。
ああ、こういう風に仕立てるんだ~、とね。
芸妓さんや舞妓さんがお座敷で着る着物って、私達が着る着物と仕立てが違いますからね。
舞妓さんは裾を引いて着るので、舞妓変身のお店によっては市販の振袖の胴の部分を切って別布を足して身丈を長くしていたり、最初から舞妓さんの衣裳と同じ縫い方をしたり、舞妓さんの本物の衣装のお下がりを置屋さんから譲られた物を使用していたり…
それぞれ違うので、実際に見て着て触って、仕立ての違いを知るのが面白いです。
芸舞妓さんの衣装はそれぞれ季節によって決まりがあって、今は7月なので絽の着物と絽の染めか織の帯という組合わせでだそうです。
1~3月は綿の入った着物を二枚重ねる二つ綿(二つぶき)に織帯、4月は裾に綿の入った一つ綿(一つぶき)に染め帯、5月は単衣袷に染め帯、6月は絽の帯、7~8月は絽の着物に絽の帯、9月は単衣袷に絽の帯、10月は単衣袷に染め帯、11月は一つ綿に織帯、12月は二つ綿に織帯という決まり事があるそうです。
9月については、近年は残暑が続くので前半は絽の着物と絽の帯、後半は単衣袷に絽の帯というように、気候に合わせて置屋のおかあさんが衣替えさせているみたいです。
また、舞妓さんのお店出しや芸妓さんへの襟替え、お舞台のある時などで黒紋付や色紋付を着る時には、着る時期によっては必ずしも季節の決まり事に合わない場合があるそうです。
6月にお店出しをしたある舞妓さんは冬物の二つ綿の黒紋付に織帯で、また別の舞妓さんは夏物の絽の黒紋付と帯で、気候によって冬物または夏物を着用されたようです。
黒紋付や色紋付きは滅多に着用するモノではないですし、季節季節で誂えるものではないようですね。
夏の黒紋付も祇園甲部では八朔の挨拶回りに着用しますが、他の花街ではほぼ着ないようですし。
芸舞妓さんの初夏から秋にかけての衣装は、身頃の部分に裏地が付いているので袷のような仕立てになっています。
衽や裏身頃の一部、いわゆる八掛の部分を共布、胴の部分は羽二重を付けていて、袖は袖口の部分を除けば裏は殆ど付いていない。
部分的に袷、部分的に単衣、という仕立てになり、単衣袷というものになります。
こういう仕立てになっているのは、おそらく裾を引いて着用するからだと思います。
夏物でも裏地が付いてると暑苦しく思いますが、普通の単衣だと裾が軽くて綺麗に裾を引けないのではないかしら?
裾に薄く綿も忍ばせているのではないかと思います。
それに裾を引くと衽や身頃の裏が見えるから見栄えのこともあるりそうですね。
舞妓さんの普段着の着物は一般的な仕立てですが、お袖がやや長めで肩揚げがしてあります。
今の時期は舞妓さんは良く浴衣を着られますが、浴衣もやはり袖が長めです。
この間も舞妓さんの衣装を間近で拝見する機会があり、なるほど、こうしてるのか~と、楽しく研究させて頂きました。
私が和裁を始めた理由も、着物が好きだったのもありますが、着物ってどうやって作るんだろう?と見よう見まねで縫い始めたのが切っ掛けでして、舞妓さんの衣装は好奇心がそそられます(^O^)
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